T-140Vのキャブを変更する(2)

 AMALからミクニへ 
 前回でキャブレターの状況をお知らせした。大筋は、AMALのコンセントリックが、最近のものは良くないこと、それなら、国産のミクニにすればいい。単純な法則である。そこで、東京のサイドバルブというショップから、32mm口径のVMタイプを購入した。

 取り付けを前にしばらく考える時間が必要であった。というのは、シリンダヘッドへのジョイントパイプが異常に長い。それにキャブレターを取り付けると純正のサイドカバーは取り付けできない。すなわち、ツェナーダイオードの取り付け場所などの問題が出てくるのは必至と考えられた。それに、フィードパイプの取り付けも考えなければならない。こういった外装関係の問題が出てくる。それらを、あらかじめ机上でまとめて、取り付けの注意点などを書き留めておいた。



 キャブレター装着の際オリジナルのままでは絶対にダメだ。特にキャブレター本体を箱から取り出して直ちに装着してはならない。
手順としては

1. スロットルバルブ、フロートをはずす。
2. 各調整用スクリウはそのポジションの戻し回数をメモってからはずす。
3. ジェット類をはずし、番手をメモっておく。
4. 穴という穴ををエアーで吹く。絶対に高圧だ。
5. 注意して元のように組み付けする。

 これらの作業によって、気づかない切削くず、埃などが除去されるのだ。肝心なところを新品だから、といって装着することは危険きわまりない。要注意だ。

 次に付属のアダプターを加工する。これは、シリンダーヘッド面に当たる部分の平面確認と混合気がスムースに流れるようにするだけでいい。

1. 混合気挿入部分の内側面取りを軽く行う。
2. シリンダーヘッドに当たる面を触らないように、内部にペーパーを軽く当てる。
3. 洗浄して、エアーを吹いて塵などを飛ばす。
4. 国内使用では取り付けボルトはステンレスに交換した方がいいようだ。

ここから本題に入る。

 付属の1と1/2インチ口径のラバーパイプは非常に固いように感じるが、装着するとそのポジションで止まるため、具合がいい。長さはSUDCOで検討してあるようだが、一応寸法をメモっておく。(リプレースチューブは対油のもので、比較的熱に強いものを選ぼう。)

 ここで問題になるのはホースバンドだ。付属のABAはかなりラバーパイプにやさしい。リプレースはこのタイプがいいように思う。それでもパイプの外径の関係で、あえて交換するとなると僕は最初イギリスのジュビリーを使用していたが、行きつけの船具店で「最近のジュビリーはダメ」ということで、ドイツの「イデアル」(英語読みはアイデアル)を使用している。
 これはマイナスドライバーで締め付けるとき、軽いトルクながら締め付け完了時に急激に重くなる、という非常に優れた機能を持っている。そのポジションから2/5回転ほど締め付ければ、およそひどいバックファイアーでもキャブレターは後ろへ飛ばない。
 ステンレスポリッシュのきれいな製品だ。ただし、ウォームギアのホールド部分がホースを傷つける。



 装着は次のように行う。
   取り付けは、ものの20分もあれば出来上がる。時間をおいてはならない。手早くしないとインレット・マニホールドから埃を吸い込み、シリンダにダメージを与えるからだ。キャブが取り付くと、付属のエアフィルターを装着しておく。理由は上記のとおりだ。


 当然、サイドカバーは取り付かないから、簡易なスカチューンのようになる。

 以後、キャブのセッティングを各で行えばいい。その際、どういったパーツナンバーかというと、次のとおりだ。

の中から番手を選べばいい。K&Nのエアフィルターも同様である。で、僕の場合は発注しやすいPLOTのカタログから選び出した。

 以上で、最初の取り付け段階を終了して、僕の場合を申し述べたい。
 


 ここで一服しよう。

 次は事前に計っておけばいいのだが、ノギスの反対部分でキャブのピストンからトップまでの長さを出しておく。今回のミクニだとおよそ70mmであった。この長さを基準にしてあとは、ジョイント部分までのアウターで長さを先に出しておく。この長さは慎重を要する。理由は、ワイヤーの途中にアジャスターを用いないからだ。最終の微調整はキャブのトップで行う。

 フィードパイプは耐油のビニルパイプを使用した。ペトタップからは左右をクロスして取り付ける。付属のエアフィルターを取り付ける。これで一応、取り付けが完了する。この時点で、エアスクリウは1回転半戻しにしておき、ストップスクリウは、最初の位置が3回転戻しだったので、一応この位置にとどめておくことにしよう。

 いよいよ、エンジンを始動するが、これはAMALの時と同じだ。チョークレバーを下げて、空キックを2度行う。チョークを戻してキーをオンにしてキックをすると、エンジンはあっけなく始動する。5分程度1500回転ぐらいでエンジンを回し、完全にオイルが暖まるのを待って、調整を行う。調整方法は各人に任せるが、僕の場合はエアスクリウは1回と3/4戻し、アイドリングは1100rpmで落ちついた。

 さ、最初のテスト走行、結論から言うと「もっと早く交換しておくべきだった」ということである。1999年7月25日には完全にT-120Rより速いことが分かったし、今でもT-140Vがアメリカなどでレースに使用されている理由がよく分かった次第だ。
 これからチューニングに移るのだが、これは次回に。
 

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