SUDCO MIKUNIのまとめ
 どれだけの時間が経過したか分からない。ずいぶんと実験をしてきた。採るに足らないものから、結構入り組んだことまで、青空工房でよくやったものだ、と我ながら感心する。
 が、一面では公器の器であるホームページだし、今までのことが覆される結果になると何をか況わんや、になってしまう。僕としても面目ないところ、になってしまうのだが、技術の日進月歩は僕らの経験を遙かに通り越したところで、「早く着いておいで」と手招きし、着くとそれ以上のところで待っているように感じてしまう。
 僕のTRIUMPH T-140Vに装着したSUDCO MIKUNIの32mm径VMキャブレターは、このホームページに掲載して、一応の結果が出ても何かしら物足りないことが多く、やはり試行錯誤の繰り返しを行っていた。逐次ここで申し述べても結果が結果でしかないために、いちいち報告しなかった次第である。

 バイカーズステーション誌'00年12月号、ここの特集記事のほんの一文を読まなければ、いまだに試行錯誤を繰り返し、「この程度かな」で終わらせていたことだろう、というものを参考として、以下に記す。おそらくこれが僕のT-140Vとミクニの32mmVMキャブの最終仕様ではないか、と感じる。先に申し述べて置くが、これまでに記載したSUDCO MIKUNIの部分でカットしたものが数カ所ある。そこは、この修正文で補充していただきたい。今回の文章が最終章になると思う。羅列もそのように配置した。

2000年11月23日(木)はれ
 メインジェットを#240に上げてみた。理由はもう少し上まで伸びるはずだし、アクセルの付きをもう少しよくしたかったからだ。一応、#260から10番ずつ落としての結果である。
 少し力強くなったかな、と感じるが、この結果、考察は後日、ということにしよう。

2000年11月24日(金)はれ
 出張と雑事で一日が終わる。夜、酒宴の席から帰り、うとうとして眠ってしまい、それからはどうも眠れぬ。何気なく読み落としていたバイカーズステーション誌'00年12月号のキャブセッティングに目を通す。CB-750F(860改)に37mmのFCRを装着してのレポートだ。字が細かいので立ち読みする気にもならず購入していたものだ。
 そのレポートの終わりに近いところで、「メインジェットは開度1/2以上を変化させる、といわれているが云々」を見て、実際はパイロットジェットもその都度、現状にフィットさせなければならない、のではないか、と考えたのである。
 家のトライアンフはどうだ。調子が出ないので押し殺す方向で調子を出そうとしているのではないか。メインジェットを上げたのだから、根本としてパイロットも上げなければならないか?。
 明日、一通りのことを再度行ってみよう、とランダムにメモ書きを始めた。

 急遽、メインジェットを#240に上げたのが勤労感謝の日であった。

2000年11月25日(土)くもり時々はれ一時雨
 土曜日の休みがまたも取れる。この際だから一気にキャブの問題を解決しよう。何かが間違っている。手持ちのジェット類を持参して内田自転車商会さんへ。
 が、とんでもないことが起きる。アクセルにエンジンが着いてこない。発進できない。発進しても1kmぐらいはおかしい。ローからセカンドへガッガッガガ、とつながりが悪い。めちゃくちゃだ。しばらく走ると何でもないようになってしまう。ちょうど最初にミクニを装着した頃のようだ。
 エンジンが少し冷えるのを待って、パイロットジェットを下げる方向で#17.5にしてみた。アイドリングの調整からしてエアスクリウを1回転しか戻せない。走ってみるとパワーの出ないのなんのって、エンジンはバスバスいうし、這々の体で戻ってきた。
 かといって、いきなり#30や#35ではまずい。これは以前に経験済みだ。パイロットだけで走ってしまう。しからば、その中間で#25をチョイスした。
 もう一点疑問がある。通常だと32mmの出口は32mmで受け取るのが正論だろう。しかし、アルミのインマニは30mmのままだ。コヴェントリーの清水さんから送られてきたインマニは32mmだ。今まではこれを見かけの30mmとしてセットしてきた。これは成果があった。その上に、となると、挿入している外径32内径30のパイプをとりはずしてやることとする。
 ラバーインシュレーターも元の55mmにしてやる。
 キャブレターはパイロット#25、メイン#240、この組み合わせで行った。2〜3度パチンという音がした後は快調になってきた。
 やや、アイドリングが安定しない。どうも先ほどのことでプラグがお釈迦になりそうになっている。SRでもよくあるが、こういったことでプラグが死ぬことが最近多い。
 しかし、走ってみると快調だ。トルクも十分だ。坂でもぐいぐい引っ張る。忘れていた何か、そう、最初にこのバイクに乗った感覚だ。点火系をさわる前に味わっていたダルさではない。明らかに何か別のバイクのような感覚、そういったものだ。
 走行後家にもどってプラグを確認。アチャー、左が真っ黒、調子の悪かった右が灰色。左は死にかけだ。これでは高速は持たない。6番に上げてみよう。手持ちの中からスプリットファイアーのSF-426Cを持ってきて装着。
 あ、これって、そうポイント点火のときSF-405Dに交換したときと同じだ。
 これで暫くは乗ってみよう、と思った。しかしすごい。

 これが一部始終だ。ここまで来るのに1年と7か月かかっている。気長い話といえばそれまでだが、何かを変えると何かがよくない方へ変わる。幸い、僕の場合はベースはさわっていなかったんで良かったが、ようやく僕流のトライアンフになってきたように思う。
 26日には相当距離走った。かなりのパフォーマンスを示した。何もかもがすさまじい勢いで今になりつつある。
 僕はAMALの新しいキャブをエンジンからの熱をモロに感じてしまうような場所にこのキャブを持って行くわけにはいかないのである。

 以下にまとめて報告したい。

・ベース:T-140V(1976年)
・キャブレター:ミクニVM32mm
  メインジェット・#240
  パイロットジェット・#25
  エアスクリウ・1回と1/2戻し(プリセット状態)
  インレットマニホールド・特製32mm
  インシュレーターラバー・径38mm×長さ50mm
  アイドリング・1100rpm
・イグニッションコイル:ダイナコイル2個封入タイプ(3Ω)
・点火システム:ボイヤートランジスタ

 この仕様で暫くは乗りたい。やはり気分良く乗れるのはいいことだ。

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