K&N Powerfilterを交換する
お約束どおり、2004年7月22日、テーパーラウンドのフィルターを
ストレートラウンドに交換した。バイカーズステーション誌の中村トライアンフの記事および、空気の充填効率の関係から結構大きいものを取り付けるハメに
なってしまった。幸いにしてSUDCO MIKUNIの32mmキャブボディーが大きいタイプなので、装着後はなかなか迫力があってよろしい。
取り替えた成果は次のとおりである。
最初のもくろみ
「な〜に、そんなに気にすることはない。同じメーカーの製品だし、形状が変わった程度で走れないことはないさ」。こんな考えで、これまでのセッティング
のままヤッテシマエーってなものだ。
これが前日までの偽らざる考え方である。そもそも、フィルターの違いで空気の吸入効率に影響が出るのだろうか。僕は一般のアマチュアエンジニアだったら
影響はないだろう、という考えを変えやしないと思っている。
SRにしたって、キャブレターを交換しない限り、エアクリーナーボックスは最後にはずすかどうかを考えればいいし、(ダイレクトに空気がキャブレターに
入ることとの差はあるけれど)ストックのキャブだって、空気の流量はエアクリーナーボックスに改造を加えたところで、エンジンの作動が大きく変化したと感
じ取れるようなものではなかった。
最初からマフラーもキャブレターもストックの状態ではないので、SRの結果を当てはめることはできないまでも、今回の場合、空気の流量が大きくなるとし
たなら、結構キャブレターの効率もT-140Vのエンジン作動には好結果が出るのではないか、という期待の方が大きかった。
そのために、下記のセッティングのままでフィルターだけ交換する方法を採ったところだ。明日(22日)は職場へT-140Vを乗りつけてやるんだ、と意
気揚々オヤスミしたのだが... 。
項目
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状況
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内容
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キャブレター
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SUDCO MIKUNI VM32
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ハイパフォーマンスキャブレターキット
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メインジェット
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#220
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SUDCOのキットに付属(ミクニ純正)
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パイロットジェット
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#25
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SUDCOのキットに付属(ミクニ純正) |
ニードルジェット
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6DP17 |
SUDCOのキットに付属(ミクニ純正) |
ニードルクリップ位置
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下から2段目
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インマニアダプター
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SUDCOのキットに付属 |
エンドより1段目の滑り止めをカット
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インシュレーターラバー
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50mm長
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東洋ゴム製耐油(耐熱) 内径38mm
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エアクリーナー |
K&Nストレートラウンド |
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エキパイ
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ノーマル
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マフラー
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メガホンタイプ
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リプレース品
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「何がどうなったの
か?」一瞬とまどう
明けて7月22日、身支度を整えて、午前7時半、エンジン始動。いつものとおりだが、何かがおかしい。一瞬にしてストール。「またプラグ?」と思いつ
つ、再始動。うまく行くがアイドリングが続かない。少しスクリウを閉めこんでOKとした。
発進。ここまで苦労してきたセッティングだ。確かに行けるはずだった。ブォ〜、エンジンが...
。我慢してアクセルをホールドしたままにすると、グリップ1/2程度で二段ロケットに点火状態。とても走れたものではない。
幸いにして原因がプラグではないことは理解できたが、走れないもので職場へ乗っていっても整備関係は二度手間だから、途中から引き返して自転車に乗り換
え、遅刻ぎりぎりで到着した。
仕事なんか手につくはずがない、とはいうものの、写真へ家屋配置を書き込むトレース作業だから、手は動いている。休憩時間を有効に使い、朝の原因を究明
していた。
アクセル1/2程度から二段ロケットになることは、ニードルが上がってメインジェットから燃料供給が始まるとキャブ本来の作動ができるようになる。が、
このT-140Vはレーサーではない。キャブレターも半分はレーシングパーツだが、ハイパフォーマンスキャブのとおりを信じればいいが、
2000回転がアイドリングっていうことにはならない。
このことから、メインジェット、ニードルポジションが問題ではないことが判明。
そうなると、パイロットジェットの番手を引き上げなければならないことが、おぼろげながら解り始めてきた。それに、空気の充填効率のことがようやく理解
できた。
このフィルターは想像以上の働きをしている。
#30か#32.5か?
パイロットジェットをどの番手にするのか?。これがなかなかシビアなんです。どうしてこういった半端な番手が必要なのか?。
これらのことを過去のセッティングの状況から考えてまとめてみると... 。
まず、#30装着で考えられることは、通常の走りはできるだろうが、スロットルワークが若干シビアになりそうなこと、が考えられる。現在までの#25の
二段ロケット点火が少し弱められ、アクセルワークは少し楽になるだろうか。が、実際は信号待ちからの発進時に少しもたつく。1速で4000回転、半クラッ
チで発進はばかげている。
微妙なバランスだが、通常走行での上り坂など、少しきつい面が出てくるのではないか、ということなどが想像できる。
この辺の絡みを汲み取って仮に#27.5にすると、これが最低レベルの範囲という結果が出るであろうことは明白だ。
今度は上の#35を考慮すると、これは少々リッチになる。リッチ気味ではない。どの領域でもパイロットジェットの作用が常に働きっぱなしの状況を呈する
のではないだろうか。
そういったことから、#32.5でテストしてみることとした。
#32.5でのテスト
午後から夏期休暇をとって、ガイヤ・カーニバルの写真撮影を行う予定にしていたので、その前の3時間程度をテストに費やすこととした。
久々にキャブレターのトップキャップをはずしてピストン部分もウェスで拭っておく。ピストン、ニードルとも異常はなかった。キャブレター本体は良好であ
る。
ジェット交換はものの20分。ずいぶんとやった経験の賜であろう。気温は34℃を示しているが、幾分緊張しているのと、日差しが少しばかり弱いため胸ド
キドキ、汗タラタラの状態ではない。作業がはかどる。スクリウの戻し回転などはそのままとした。
エンジン始動、キック3発。ン?かからない。エンジンに火が... ?。そんなことはない。アクセルをわずかに開いてようやく始動。が直ちにストール。
そんなバカな?。待てよ、スクリウの戻しはそのままだから、エアは一定としても、アイドリングしないことはストップスクリウを少し閉め込めばいい。
再びキック、今度は2発でOK。それでもアイドリングは800回転ぐらい。もう少しほしいな、と900で落ち着かせる。今回ばかりは上げておいて下げる
方法しか採れない。作業人数は何しろ1人だから。
えらく吸気の音が大きい。シュパッシュパッシュパっというものでもない。一種独特の音だ。かなりの高効率を感じた。
バケツに水を張って種類の違うフィルターを一定速度で沈めたら、どの形状が一番速く沈むか... 、などど、またしても空気の充填効率を考えてしまう。
ウォーミングアップの後、いつものテストコースへ入れる。
1速へ入れて発進。スゴイ!。ピーっと3000回転あたりへ上がっていく。2速へシフトするときにエンジンストール?、いや、アクセルを少し戻している
だけだが、急激に回転が落ちて静かになってしまうため、思わずストールに感じただけだった。このSUDCO
MIKUNIのVMキャブは2サイクル用のキャブの流用ということが一層明白になって来だした。
務田の坂にさしかかった。若干の振動とともに力強さが加わった走行になっている。フィルター形状によってこんなに変わるものだろうか?。若干リッチ気味
ではあるが、このままで行けるような気がして来だした。
広見から須賀川ダムへの途中、アイドリング調整を行う。エアスクリウは締め込むと回転が落ちるため、パイロットジェットの適正を確認し、1回と3/4に
プリセットした。時によっては1回と1/2を標準でもいいのではないだろうか。
アイドリングは1100程度にした。理由は先ほど申したとおり、キャブレターの性格から判断してだ。そういえば、同じキャブ(30mm)を装着したMさ
んのヴィンセント・コメットもアイドリングが少しばかり上げてあったのを思い出した。
左右のバランスはアクセルワーク上の吸気音で判断した。慣れとはいえ、人間の感覚というものは捨てたものではない。
やや興奮気味で帰宅し、早速スクリウ戻しの確認をやったところ、ほぼ同一であった。SUDCO
MIKUNIのようにキャブレター単体を2個用意してペアとしているものは、インラインフォー用のように4個ひとまとめにしたものとか、ダウンドラフトで
のVツイン用のように2個一つをズボンのようにまとめ上げているものとは大きく異なるのである。
完全同調は難しいものの、作動するものがほぼ同じであれば、吸気の音でのスクリウ戻しなどの判断はなかなか効果の高いものが解る。現在の状況は下記のと
おりだ。
項目
|
状況
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内容
|
キャブレター
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SUDCO MIKUNI VM32
|
ハイパフォーマンスキャブレターキット
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メインジェット
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#220
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SUDCOのキットに付属(ミクニ純正)
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パイロットジェット
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#32.5
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キタコより購入(ミクニ純正) |
ニードルジェット
|
6DP17 |
SUDCOのキットに付属(ミクニ純正) |
ニードルクリップ位置
|
下から2段目
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インマニアダプター
|
SUDCOのキットに付属 |
エンドより1段目の滑り止めをカット
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インシュレーターラバー
|
50mm長
|
東洋ゴム製耐油(耐熱) 内径38mm
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エアクリーナー |
K&Nテーパーラウンド |
間もなくラウンドタイプに交換予定 |
エキパイ
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ノーマル
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マフラー
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メガホンタイプ
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リプレース品
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考 察
7月23日、午前中に再びいつものコースへ入れてテストを行った。すばらしいの一言である。夏のツーリングで、気温の高い日中を避け、午前中と夕刻に走
れるような予定を組みたいものだ、など考えてしまう。
ここで#30にしてテスト、とは、もう必要ない。しばらくはこのままで様子を見ることとしたい。
K&Nのエアフィルターだが、今回はRU-0610という長さが15cmのものをチョイスした。冒頭、迫力があってよろしい、と記載したが、実
際
としてはK&Nのフィルターではスタンダードクラスではないか、ということである。現実に、SUDCO
MIKUNIの付属フィルターでセッティングは出しやすいだろうが、おそらく行き詰まりを感じるのではないだろうか。もっとよく回るはずだ、ってね。
当初はスペースの関係からテーパーラウンドにした。信じられないがフィルターの表面積は変わらないまでも、すぼんだ部分の効率は相当に悪い、ということ
が、今回のフィルター交換で確認できた。
まだまだOKということにはならないだろうが、ここ当分はこの状態で走らせたい。