こういった状況になる。周辺を加えると、BOYERのトランジスタ点火方式への変更、DYNA点火コイルへの変更、点火プラグの熱価の調整などなど、多くの付随したものが加わる。
中でも、28mmへのアプローチはなかなか効果があったが、その前にインシュレーターの長さの決定をするまでが、その効果を生む先がけになっているのは言うまでもない。
こういったことを先に行って、バイカーズ・ステーション誌'01年9月号の記事に触発され、最終セットを行った、というのが、前回までのことだ。
事前に
2001年8月7日(火)はれ
これまでやったことをコヴェントリーの清水さんに報告。キャブセッティングに対してのサゼストをお願いした。要約すると、プラグの状態からは、少しばかりガスを濃くした方がいい、というものだった。また、パイロットは現状の#22.5でいいようなので、メインジェットを#10程度上げて#220として行ってみてくれ、というものであった。
そういえば、英車の集いで知り合った大坂の小川さんも、雑談の中で、少し燻ったプラグをポケットから出して、この程度にしていないと、高速で万一の場合、エンジン、特にピストンへのダメージが大きくなるような気がしてならない、と言っていたのを思い出した。
その時に同席し反論した方は、それは燻りすぎだ、と言っていた。この方も僕と同じBOYERの点火システムにしてはいたのだが、僕のプラグがやや燻り気味だったんで、その時は気にもとめていなかった次第だ。
清水さんも、現在のCDIもトランジスタ点火も「いかなる状態に陥ってもエンジンを回そうとする傾向にある」と言っていた。たまにキックアーム(ピストン)の踏み下ろし位置を間違えると「パチン」といってエアフィルターから煙がでることがあるが、そういったものか、と思い直した次第。
同様に、最近のバイクは希薄燃焼傾向にあるので、プラグの焼け具合だけでセッティングの良否を判断出来ない。そういった中で、本当に点火方式を変更し、キャブセッティングがある程度出せている僕のT-140Vでは、プラグの番手を今まで記述したように、過去に行ったテストの結果から6番に落としたことは間違いではなかったか、とも感じて来だした。
またまた迷路に入ってはならないため、まずはキャブのメインジェットを決定することから開始した。
キャブセッティング
2001年8月9日(木)はれ
この間のキャブセッティングで、ようやく気分良く走れるトライアンフになったが、焼け方が若干気になるところから、先日、コヴェントリーの清水さんに電話を入れたわけだ。その時のやりとりの結果、メインジェットを#210から#220に変更してみることとする。
夕刻、夏の太陽が九島の沖に沈む頃、仕事の後だったがメインジェットを#210から#220に換装してテストを試みる。午後5時を過ぎてはいるが天候は相変わらず。西日を浴びてムッと来る高い気温に閉口しながらの作業だ。といっても、フロート室のキャップをはずしてメインジェットを交換するだけだから簡単だ。素早く交換をする。プラグはスプリットファイアーのSF-405Dのままだ。万一のためにB7ES、B8ESを用意した。この状態で行くとSF-405Dは6番から8番までカバーすることになる、すごいキャパシティーだ。悪く言うとアバウトなプラグだ。
午後5時25分にエンジンを始動して、アイドリングが落ち着いて感じたのは、ウム〜、この時点からなかなか判断が難しい。ほとんど同じ操作をやっているのだが、#210の時とわずかに違う。その違いが少し分からない、という微妙な差だ。アイドリング回転は1100rpmほどとする。
その都度、その都度のキャブレター調整は比較的簡単なのだが、どうも左右のバランスがイマイチだ。とりあえずのテストだから、この程度、っていうところで止める。
もちろん、当初のAMALではインマニにバランスチューブが設けられていて、排気のバランスパイプ同様に重要な意味合いを持っていた。これをやろうとして出来なくはないが、インマニをワンオフでもう一組作る必要が生じる。高価な制作費だし、これは行っていない。現状では、右が少々焼け気味というところである。
したがって、最終のスクリウ設定はプロの手を借りることにしたい。
テストコースの統一をするために、今回は広見〜三間のコースをとる。
走りながら、#210の時とどう違うのかを探っていた。走行性能そのものは大きく変化したわけではない。しかし、登りなどは確実にトルクがアップしたような気分が感じられる。4速のままで登って、下りになってそのまま走り、タコメーターを見てあわててシフトアップする始末。かなりエンジンに余裕が出てきたような感じになってくる。スラップ音も少ない。ガスの濃い薄いの判断をすると、この辺を言葉にするのは少々難しいが、低回転域では若干濃いようである。しかし、中速域からは#210の時とは比べものにならない。#210から#10アップ、#240から#20ダウン、などとバカなことを考えている。三間街道を走っているときは至福の時を味わった。「どこかこんな気持ちで走ったことがある」と気をもみ始めた。大本神社を越える辺りにさしかかったとき、「これって、完全ノーマルの購入して1年目辺りの走り方だ」と気付いた。それよりも、もっとこなれた、それでいてパフォーマンスもある、というものだ。当てつけがましいかもしれないが、相当にいい走りなんだ。興奮気味でテスト走行を終えた。
帰宅してプラグを覗くと、若干「焼け気味」を示していた。それでも#210の時より少し燻っているというか、電極部分を含めた点火部分全体が「やや正常な状態」なのである。
それにしても数字の世界とはいえ、#210から上げた10番の変化の差をどう受け止めるか、もう感性の世界...
、とはいかない。こういった状態で高速もこなさないと、はっきり言ってオールマイティーにはならない。今回はそういった意味では大成功だ。本当にこれほどまでにしなければならない。たとえばマフラーを交換したときの変化には、メインジェット交換で対応すればいいい、という程度までにならないと、安心して乗れないからである。
笑い話
そうそう、メインジェットを揃えるために、SUDCO MIKUNIのパッケージを引っ張り出して来たときのことでした。メインジェット、パイロットジェットを順に並べていて、ハタと気付いたんです。つまりこういうこと... 。 メインジェットは#190、#200、#210、#220、#230がセットになっていて、パイロットジェットは#25、#30、#35がセットされていました。SUDCO MIKUNIへのストック装着状態はメインジェット#210、パイロットジェット#30で出荷されていたわけです。 「なーんだ、そんなことか」と思われる方はアマチャンです。以前の僕のセッティングは#240のメインジェットと#25のパイロットジェットでしたよね。そして今回は#220のメインジェットに#22.5のパイロットジェット。何か気付かないでしょうか?。 そうなんです、750のT-140Vに装着するとなれば、僕が感じたように650よりマイルドでトルクフルな味付けですから、メインジェットで#100アップ、パイロットジェットは#2.5ダウンとしたセッティングになったわけです。偶然の結果ではなく、SUDCO MIKUNIをストック状態で(オイルベアリングフレームになる前1971年までかもしれませんが)650のT-120Rに装着すると、おそらくポン付けで一定な結果が出るはずなのです。資料によれば、何とAMALのセッティングとほぼ一致するので、こういえるのですが。 終うときにパッケージを見て、またしてもびっくり。パッケージサイドにはTBR 650/32と記載があるわけです。つまり、基本としては「トライアンフ・ボンネヴィル T-120R用の32mm口径のキャブですよ」となっているわけなんですよね。 購入時にあわてる必要はなかったのかもしれません。あのときは何しろ救われた気分が支配していたし、キャブレター本体の事前清掃はしたものの、説明書もないために、ここまで考えが回らなかったのが本音です。 敢えて言うのですが、取り付けのとき、最初は本当にひどかったのですが、インシュレーターを取り上げれば、これまた、いいゴムホースが入手できて、長さを散々検討してパッケージに附属のものの長さに近づいた、という笑えないこともあります。実際は1cmほど長い(現在の55mm)わけですが、これは排気量を含め、ストック状態での750のエンジンにフィットさせるために実験した長さでしょうが。 こういったものは、とにかくSUDCO社のホームページにパーツの記載もあるわけですし、パッケージを開封したときに、どういった状態になっているかをもっと注視しておくべきであった、と自責の念で一杯です。 |
プラグの選定(NGKを基準として)
前回のキャブセッティングまでは、一気にB6ESまで下げて調子を見ていた。例題としてはデボン・トラがルーカス・リタのトランジスタ点火システムを採用してでのこと。BOYERの場合でも同様であろう、と判断したからだ。ところが、点火コイルを同時発火のDYNAコイル(3Ω)に交換したものだから、キャブセッティングが出ると同時に、どうやらこれは番手を熱価の高いものに変更しなくてはならない、と考えた。
オリジナルのT-140VではチャンピオンのN3、NGKならB8ESに相当する。そのままで行くとスプリットファイアのSF-405Dとなる。スプリットファイアでは、ほぼ満足な結果になったが、通常のプラグではどうであろうか。しかも最近ではRタイプと称する抵抗入りのものが大半を占めているから、熱価の関係はノーマルプラグとは一線を画す。ずいぶんと難しい世界になったが、トランジスタ点火に対しては有利かもしれない。
これも清水さんに聞いたところだが、電極突出タイプはトライアンフのような握り拳のように盛り上がったピストンヘッドにぶつからなくても、側面点火を採っているため不適当、ということであろう。この辺で購入できるスタンダードプラグの種類からすると、B7ES、B8ESということになるが、最近の自動車のエンジン傾向から、突出タイプが多く、しかも抵抗入りばかりだから探すのも困難を極める。、購入する際もワンカートン単位で取り寄せないとならない。今のところスプリットファイアーで行けているからOK。ま、手元にB7ESと、テストで使用したB8ESがあるので、とりあえずはこのノーマルプラグでのテストを行ってみることとする。スプリットファイアーのSF-405Dでいい焼け具合だから、B6ESまで下げるのと今度はプラグ、エンジンとも良くない状況になってしまう。特に今のキャブセッティングではなおさらである。
僕は雑誌などに書かれているように、先に記したような最近のエンジン傾向から、プラグの状態がどうのこうのはあまり参考にならないように感じる。強いて言うと、快調なエンジンが突然不調を訴えるようになったりしたとき、それがプラグかもしれない、と判断できるようにしておくことが大切に思う。そして定期的な交換。通常は3000km走行毎に交換、ということだ。いかに高性能のプラグでも同じである。
そこから考えを派生させるなら点火そのものを考慮しなければならないが、このことは僕の場合はすでに行っているので、こと、プラグに関しては、その都度その都度の状態で判断とする以外にないようだ。
2001年 8月11日(土)はれ
一昨日、昨日と酒の席が続き、少々ゲンナリ気味だが、世界陸上で為末 大選手が400mハードルで銅メダルの成果に気をよくして、午後2時前に出発。道路はお盆の帰省客で混んでいるだろうけど、とにかくテスト走行だ。宇和町まで行って歯長峠を通って、三間街道から松野町松丸まで行き、須賀川ダムから帰って来るというルートだ。
いつもどおりのエンジン始動。走行、法華津峠の登りにかかる頃から、どうもエンジンの回転に気にくわないものが感じ始めた。どこといって悪くはないのだが、9日のテストの時とは少し違う。#190のメインジェットでやったときは、こういった感じの時にプラグが昇天したのを思い出した。
歯長峠に入る前に、状況によって換えてみようとしていたプラグを見る。
SF-405Dはいい焼け方だ。若干白っぽい、といわれれば、そうとも受け取れる。ちょうど大坂の小川さんに反論された方が抱くイメージであろうか。SF-405Dは6番〜8番をサポートする。どちらかというと真ん中の7番辺りがパフォーマンスの中心だろう。それで、わずかに白っぽいのだから、B8ESに交換する。キャブレターの調整をして、歯長峠を登る。登りでもピックアップなど申し分ない。三間街道では100km/hの速度域を数キロやってみた。なかなか余力のあるエンジンの回り方だ。タペットが小躍りしている。これ以上詰めると、いい結果が得られない。今のマフラーからの排気音が静かだから余計にエンジンのメカニカルノイズが感じるからかもしれない。
途中、モーリスの1300をコーナーでパスをする。いくら同じ英国の製品でも、運転している奴がいい加減だと、自動車そのものがいい加減に見えてくるから、ミニがかわいそうになってくる。
多くの事柄が頭の中を駆けめぐり、とりとめのない考えを巡らせながら帰宅した。何の疲れもない。ごく自然にTRIUMPH
T-140Vを現在のリズムで扱えるようになってきた。再度プラグを点検。今度は左右とも「こんがりタン塩色」であった。確実に性能を取り戻している。
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