が、どうもそうではない。今までは、燃料をタンクにある左右のペトタップからホースをクロスしてキャブレターに供給していた。これはどうもよろしくない。つまり、トライアンフ本来の右が通常で、左がリザーブの形式(逆も可)にした方が、タップを交換した時にいいのではないか、その方が燃料供給がスムースに行くはずだ。そこで、K&NのT字型バイパスを2個使用してフィードパイプを作成した。燃料供給がスムースになったのは言うまでもない。
しかし、依然として走行1kmあたりまではエンジンの調子が思わしくないのである。やはりジェット類の選択間違いだろうか。待てよ、今まで行ってきたことをまとめると、インマニなどは純正と同じようにした方が好ましい。点火系も確実なものにした。通常の回転領域は満足がいく。しからば、オイルが温まるまでの時間が短いうちに発進しすぎるからか。そうではない。アマルの時はすぐさまでも発進できたではないか。
T-140Vと同じような多くのツインモデルのパーツリスト、サービスマニュアルを見たり読んだりし、あわせてT-140Vのアマルと対比させてみて、おぼろげながら概要がつかめてきた。
スーパートラップを装着し、エアクリーナーダクトを改造した僕のSR500のキャブを検証する。ストックではメインジェットが162.5番、パイロットが45番だが、オレブル推奨値からそれぞれ#170、#50にしている。フムフム。今人気のカワサキのW650に至ってはパイロットが35番一定だ。に対してスドコ・ミクニのパーツでは付属の#35がパイロットの上限だ。しからば、メインジェットを考察すると、どうやら、#200でも#190でも用件は満たしている。
ム〜、むずかしい。同じ国産のミクニではないか。ツーサイクルエンジンではどうだ?。同じ様なのは手持ちのRD250に装着してある。そういえば、花園村で話をしたT-120Rさんはスズキのガンマ250の(フラットバルブ)キャブを流用されていたのを思い出した。フムフム、メインジェットに対するパイロットジェットの役割上、今付けている20番では低速(回転)域は無視されている、ということが分かった。
そりゃそうだわな、パドックでウォーミングアップして、いきなり数千回転の世界のレースならメインジェットが主になる。ところが、我々では気象条件から道路条件まで、多くの要因がとりまく中でのエンジン回転環境、そしてフィルターを通しての混合気の吸入環境で走らせている。当然、排気の環境も考慮しなくてはならないのだ。
書店で櫂ムックのキャブレター本を読む。ついでに、ヨシムラの会社カタログもバイク店で読む。アチャー、すっかり忘れていたことがそこに書かれてあるではないか。各ジェットが司る回転範囲のことだ。残念ながら、今のFCR、TMRのキャブレター対応の書物なんで、そのジェットの司る領域は簡単なVMキャブと少々異なるが、とりわけパイロットジェットの司る回転域を軽き見過ぎていたようだ。特にストリート走行の場合はかなりのウエイトを占める。現在T-140Vのスドコ・ミクニに装着しているものでは小さ過ぎる、という自分なりの結論を導き出した。
そこでキャブレターをはずしてSUDCOに付属していた最大の#35パイロットを取り付けてみる。
その結果、エンジンが温もっていれば始動してすぐのピックアップがいい。アイドルがぐっと下がる。ほぼ1100rpmにセットする。先に申し上げると、エンジンが熱くなっても、ほぼこのアイドリング回転数は変化無かった。無負荷の状態では5000rpmぐらいはスーっと上がる。急激なピックアップは出来ないが、とにかくよどみなく回る。テスト走行を開始すると対回転の速度感覚がにぶい。このことは...、とスピードメーターを見るとは70km/hの辺りを指している。ところが、まだ加速を要求する。こういった状態に変化した。
ところが、エンジンが冷えていると3速までしか使えやしない。その上は速度範囲が高すぎる。困った。やはり#35はフィットしない。
これ以降は、またしても目に見えない範囲になってしまうし、おまけに測定器がないので勘に頼るしかないが、パイロットジェットはやはり、国産の同程度のVMキャブの場合#25ぐらいである。後はメインジェットでまかなう。するとマージンを少しとって#210で、現在調子を見ているところである。
教訓として、スドコ・ミクニのこのキャブはどうも低い回転域はサポートしていないようにも思う。しかし、単純なVMキャブレターなので、対応するメインジェット、パイロットジェットを数種類そろえて組み合わせを行い、結果をデータベース化しておくことなどが得られた。もちろんデータとして手書きで十分だ。
本年3月までには何とかこの続きを報告したい、と思っている。でないと、小豆島に行けなくなってしまう。
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