スプリットファイアーの一考察
 ちょうど一年前ぐらいになると思うけど、一斉にプラグ、いわゆる通常の電極構造を有したものとは違うプラグが出現し始めた。僕のSRにも最初にノーマルマフラーの最終バッフルに大穴を開けて以来、NGKのBP6ESが真っ白になって、アフターバーンがひどくなった。キャブレターの調整はそのままで、ホワイトブロスのスーパートラップを装着して、事なきを得たが、今度はプラグが死んでしまう。3,000rpmぐらいから急にアクセルをあおると一発であった。こういったことを経験した後、バイカーズステーションに発表された今のセッティングにして、オレブルのスーパーサンダーを装着して、プラグを7番に上げて良好な結果を得ていた。
 ところが、プラチナ電極などのプラグがないものだから、NGKのノーマル電極のVタイプを使用していたとき、スプリットファイアーを、まずはトライアンフに装着してみた。これがあっと驚くほどの変身だった。それなら、SRに装着してもいいのではないか、と考えて装着したわけだ。
 SF426Cというのがそれである。こいつが6番7番をサポートする。抵抗入りのRタイプにも適応するので、かなり幅広い熱価であるようだ。装着してみると、変化がないのである。トライアンフほどの変化が感じられないのはどうしてだろう。大いに悩んだ。
 何となく分かったのは点火コイルをスーパーサンダーに交換しているから、気にすることなく調子がいいのではないか、というおぼろげな結論を導きだした。数カ月乗らなくともバッテリーが少しでも生きていれば、数度のキックで目覚める。以前のノーマルコイルだとそうはいかなかったのである。
 そういったところで、今度は燃焼室と、ピストンヘッドの形状によって、突出型の電極か、ノーマルの電極か、に意見が分かれるところになる。
 トライアンフにAMALのキャブを装着していたとき、東京のコベントリーから送られてきたスプリットファイアーはSF-405Dであった。これが抜群の相性であった。今でも、ノーマル仕様のトライアンフT-140Vにはこのプラグが一番、と感じている。
 ところが、ミクニに換装してからは、プラグとしてはくすぶる傾向になってくる。それでは、SF-426Cにしてみたが、やはり同じであった。同等のNGKのBP6ESに変更しても、同様の結果であった。あわてて、ノーマルのプラグを探したが、最近は低熱価のノーマル電極プラグが巷にないのである。止むなく、SF-405Fに換装する。
 このプラグは調子がよかった。すでに、プラグキャップをNGKの抵抗入りに変えていたし、ずっと以前にボイヤーのトランジスタ点火システムに換装してある。本来トランジスタ点火にすると火花が出ている時間が長いことが言われている。断続的で機械的な接点を持たないピックアップの点火部分に増幅するアンプ部分、リプレースパーツとして、この設計ではボイヤー社は一番優れているのではないだろうか。国産でやろうとすると、もっと大げさなものになるだろうことは、容易に判断できる。
 このプラグで徳島往復も難なくこなすことができた。給油と休憩でエンジンを止める以外は常にアイドリングは安定していた。
 次はどこまでこのプラグの性能が維持できるかどうか、この点に注目してみたい。
 くれぐれも申し述べるが、プラグを変更しただけでよくなった、と感じたのはNGKのVプラグとデンソーのUカットプラグ、それに、このスプリットファイアーだけであったことを報告する。比較的安価なチューニングアップとして、これからは点火系にもっと注目すべきではないか、と考えざるを得ない。

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