スパークプラグの決定

 2000年8月19日、所用で松山へ行く。通常ならここではSRに鞭が入るのだが、バッテリーが消耗して外しており、バッテリーレスにするかどうか考えているところだから、今回はトライアンフの出番だ。
 やおらエンジンを始動する。どうもおかしい。回るには回るがどことなくおかしい。わずか100mも走っただろうか。下手な運転の軽四をやり過ごしたとき、一つの気筒が爆発しなくなった。いわゆる片肺になってしまった。このバイクを愛用して23年間のうち、5年前の5月のこと、倉敷からの帰りにこの現象が現れて以来、エンジンがダメになるときは常にこの症状を示す
 今回は絶対条件として、キャブレターはSUDCO MIKUNIのため、調整はほぼ完全だ。点火の電気関係は万全である。この状態で本年は小豆島まで出かけたのだから。そうやって思い当たる要因の内、手を付けていないものは点火プラグに行き着く。Uターンができないので、城山を1周して引き返すときに、そういったことが頭の中を駆けめぐった。
 あわててプラグを交換するのだが、よく考えると我が家のストックプラグはNGKB6EVXBP6ESBP5ESB7ESスプリットファイアーSF426CSF405Dだけである。どちらにしても7番であるB7ES、SF405Dは使用できない。6番でのくすぶりなら、5番にしてもいいのではないか、と判断した。どちらにしても急なことで時間がない。とにかく5番であるBP5ESを装着する。ここまでで20分もかかってしまった。
 エンジンを再始動する。祈りに似た気分だ。おかしかったらすぐにストップの体制を整えてはいた。アイドリングでは異常がない。ま、とにかく、途中でおかしくなったらJRに途中乗車(?)しようと考えていた。走り出してすぐに異変に気づいた。「あれ、気難しい初期スロットル操作がないぞ」と。この気難しさにどれだけ苦労したことか。吸入側での処理は一応解決したと思っている。一部エアフィルターの表面積、容量の関連が残っているが。
 走ってすぐさま、ウォーミングアップは終わっているが、いつもと違いスムースさがまるで違う。あれ、今までは少なくとも500mは走らないと調子が出なかったんだが、こういった心配は消えてしまっていた。こういったことだから、満を持して一般国道を走った。実のところ高速よりも走りやすいし、自動車の数の少なさにびっくりする始末だ。
 帰路、再出発まで所用が2時間あったのだが、エンジン始動後のウォーミングアップは、ものの3分で通常の走行ができてしまった。本来ならプラグを開けてみてみるべきなのだが、その必要もないようだ。
 僕のトライアンフT-140Vは点火システムをボイヤーのトランジスタ方式に変更している。12Vのコイルを直列接続にして6Vとして使用している。オリジナルのコンタクトポイントとコンデンサー点火ではプラグはチャンピオンN3NGKならB8ES)で、国内では7番に落として使用している場合が多い。ルーカス・リタのトランジスタ点火を使用しているT-140ENGKB6ESが指定になっている。しかし、コイルは最初から6V仕様になっている。この辺りが微妙な関係だけれど、SRの前身XT500ではポイント方式だったがBP5ESを使用していた。今のSR並にエンジンを使用していれば6番でも行けたわけだ。ヨーロッパ指向のバイクには、ヤマハの場合1番熱価の高いプラグが使用してある。それなら750ではトルクがあって、650のトライアンフとは性格が異なるエンジン、それに口径が大きいミクニのキャブを装着しているのだから5番でもいいのかもしれない。結論めいたものはない。
 仮に、今注目しているダイノコイルを持ってくると、同時爆発だから6番にしてもOKなのかもしれない。そして、プラグコード、抵抗入りのプラグなどの総合の抵抗値によっても、トランジスタによるアンプで増幅させるトランジスタ点火方式では、ピックアップからプラグまで流れる電流量によって、プラグの番手は微妙に変わってくる、と僕は信じている。オリジナルの配線は、ほとんどが芯線7本撚りの#18AWGだから、丈夫さは国産の50芯以上のものだ。電気の流れによる抵抗はあまりないように思う。まして、単純な電気回路だから。
 しかし、ノーマルのプラグが500円、2本で1,000円。点火方式、吸排気関係から微妙に変わるこのパーツの選択は非常に難しいことがよく分かった次第だ。幸いにもピストンヘッドが650モデルと違い、若干フラットなので、NGKのBP(R)5ESが使用できる。BP(R)5ES-11がクスブリに強い点火方法と解説されているので、これもテストしてみたい。今のところNGKなら、この5番で落ち着いているので、今後おかしいことがあったら、レポートしたい。

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