SUDCO MIKUNIと点火系のまとめ


SUDCO MIKUNI 32mm VMキャブレターの特徴

 過去さんざん苦労を強いられてきたこの32mm径のVMキャブレターだが、ようやく特性というものが解ってきた。
「決して AMAL コンセントリックMK-Iにフィットさせてはいけない!」
これが全てである。

  現実には、高効率のパーツが相乗すると、思わしくない 方向へ突っ 走るように感じられてならない。SUDCO MIKUNIのキャブはリプレースメントのハイパフォーマンスキャブレターだ。ユーザーは当然のように「これで全てが良くなる」と思いこみガチだが、どう もAMALの時のような走りが望めない。トライアンフにはAMALがまるで定番?。
  あにはからんや、MK-IIを装備したT-140系列は調子の出ないものも数多く存在する。MK-Iにすると、途端に活気づく。かといっ て、MK- II が決して悪いキャブではない。むしろSUDCO MIKUNIと同様にシリンダーからの熱を遮断できる方策が採られているのだから。要はセッティングを出すことだろう。
  ただし、MK-Iのつもりとか、MK-Iの状況とかを追い求めてはならない。全くフリーな気持ちで違う性格のエンジンになるかもしれない が、調子のいい ものを求める気構えで対処すれば必ず結果が出てくる。
 バカげたことだろう、と思う。が、本当のことである。SUDOCO MIKUNIに交換したのが4年ほど前になるのだろうか。その時まではAMALオンリーで、トライアンフ(T-140V)ってものはこんなものなんだ、と いうことが体に染みついているのだから、こういった標語のようなものが思いつかないでいたところだ。



SUDCO MIKUNIの個人的見解

 キャブレターでオートバイの性格が変わる話はよく聞く。特に普段の性能を発揮しているSRにFCRを装着すると「俄然走り出す」と異口同音にユーザーさ んはおっしゃる。過去(ミクニの34mm加速ポンプ付き)VM キャブのSR500、その前身のXT500に乗った僕としては、今、僕が持っているミクニBSTの34mmSUキャブでは走らなくなったとは一切感じな かった。
 このことがあってかしら、T-140VにSUDCO MIKUNIを装着してもAMALの時と同様にツーっと走ってしかるべきもの、と信じていたのだ。2004年9月までのセッティングの大半はAMALと同 様にするために行っていたようだ。
 ところが、そうはならなかったし、やればやるほど「おかしい」という訳が分からない泥沼に入り込んでいたように感じる。端的に言うと、メーカーが違うわ ずかに2mmの口径の大きさが生み出す( これまでとは逆の)パフォーマンスに苛まれてきたのである。
 それに、キャブレターセッティングに付随して吸排気系に使用するパーツにも影響が及んだ。点火プラグが死ぬ、という訳の分からないことまで発生して、い い加減にしてくれ!、と世界の中心で助けを呼ぶ状況(爆)になっていた。もっとも顔と言動は 「結構いいよ」な〜んちゃって、平常さを保っていたけれど... 。

 そういった中でも、とにかくSUDCO MIKUNIでの中速域から始まる一連のアクセル反応を経験すると、AMALには戻る気がしなかった。それがSUDCO MIKUNIのキャブを捨てなかった理由だ。
 そのことを唯一の支えとして、あーでもない、こーでもないを繰り返していたのだが、K&Nのエアフィルターを交換したときから少々状況が変わっ てきた。
 別項で記載している通りだが、テーパー ラウンドからラウンドタイプへ交換したときから、後述する点火系の一件もこの頃に理解できだした。
 ブロロロロロ〜、といういつものエンジンの回転状態からスタタタタタタタ〜という回転に変化したとき、「オ〜、このくらい空気を必要としているんだ」、 と いう充填効率を身をもって知った時でもあった。それ以後はアイドリングは高くなるし、スクリウの調整が今まで通りではなくなるし、ジェットの関係も解らな くなるし.... 、という状況に追い込まれはじめた。これまで経験したことのない、ある種の大変化を示し始め、僕の考え方にも変化をもたらし始めたのもこの頃からだった。

 しかし、一筋縄ではいかない。空気は大量にやってくる。混合気は一定。しからばどうなるのか。ポン付けでも十分に行ける、すばらしいキャブレターのはず ではないか。そう、そのとおり なのだ が、キカイが出す結果がすべての答えに、意志ある人間ななかなか反応しないため、実際はそう簡単なものではなかった。
 アメリカのダート、モトクロスでもこのキャブの使用率は高い。どうして、僕のT-140Vは「すばらしい」にならないのか?。
 過去、このキャブレターに行ったインマニの見かけの28mm改造、インシュレーターホースの長さ決定など、有効手段と思われるものを講じてきたが、これ らはいずれ もAMALを装着していた頃を目標 にしていたに過ぎなかったようだった。
 K&Nエアフィルター交換から、「新たに違うT-140Vのエンジンを目 指すのだ」を主にして、T-140VのエンジンはAMALの時とは違う方向性を追うことにした。

 セッティングに対してようやく「ナ〜ルホド」と納得できる記事をWEB上で見いだしたのが、カワサキMACH-IVにケーヒンのPWを装着してセッティ ングする方法であっ た。これまでの考えを一新するとはいえ、粗方は僕の方でクリアーできていた。これが2004年9月18日〜20日までの間に行った作業の参考となった。
 上手く走りだした頃に理解できて来だしたのは、SUDCO MIKUNIのVMキャブレターは... 。

1.SUDCO MIKUNIのVMキャブは2サイクル用のキャブと構造はほとんど同じ。
このキャブは、ハイパフォーマンスキャブレター の名前のとおり、下はあまり重視していないのだ。そう、低回転域は重視していない、ということが解り始めた。
結局、SUDCO MIKUNIを装着するときは、あくまで2サイクル仕様のキャブレターのモディファイであり、今までとは違うエンジンになることを前提にすべきである、と いうことが解った。

2.アイドリングさえ無視するレー スに使えるんだから、あくまで中回転以上が持ち味
スタート時にはエンジンを回し始めて即座には発進できない。この特性を何とかした、ということでキャブレター、点火システムに考えをめぐら せてきたが、ことのごとくダメであった。
とどのつまり、このキャブの特性に従った方がいい、という結論に達した。チョークを引いてエンジンを始動して、ア クセルをひねらずにバラバラと回るようになれば、チョークをはずす。そこから5分以上はウォーミングが必要である。
これがエンジンに対するSUDCO MIKUNIとAMALとの根本的な違いであろう。

 が、同じSUDCO MIKUNIの同シリーズで30mmがあるが、これはT-140Vに装着されているAMALコンセントリック MK-Iと同じサイズだ。また34mmも存在する。
 念のため申し上げると、僕としてはこのシリーズ中、32mm口径が標準なんだろう、というところで選んだわけである。



点火系のチューニングが及ぼすもの
 
単純にダイナコイルを選んだのか?、といえば、そうでもない。問題はボイヤーのトランジスタ点火にしたときからである。朧気ながら、ルー カスのカンタイプの点火コイル自体が劣化したのではないか、と思われるフシがあったし、スバル360にBOSCHのブルーコイルを装着し、かなりの性能 アップが確認できた。
 そのような経験を持っていたし、ボイヤーの説明書に「2個封入コイル」のことが記載してあって、ブリティッシュビートへ相談したところ、ダイナコイルを 薦められ、グリーンの3Ω/14000Ωの点火コイルを装着したところである。点火システムはかなり強力なものになったのは、交換後、長期間にわたり「火 が出ない」 などの経験が皆無ということからもお分かりいただけるであろう。バッテリーさえ良好なら全くノントラブルだ。

 2004年になって、スプリットファイアのプラグコードにテイラー のコードを接続してから、再び点火プラグが頻繁にダメになって 来だした。理由がさっぱり分からなかった。誰に聞いてもワカラン。
 T君のいう電気的特徴から始めるとすれば、まずはトランジスタ点火とダイナコイル(3Ω/14000Ω)の関係からではなかったか。散々関係記事を読み ながら理解できたのは、想像以上の電圧が長い時間点火プラグの中を走る、ということだ。
 おそらく、ブリティッシュ・ビートから送られたコイルに付属していたのは、普通のヤザキ電線製のカーボンサプレッサーであった。これに NGKの5KΩの抵抗入りプラグキャップを装着して、点火に関しては、ほぼ満足な結果を得ていたが、キャブレターのセッティング不足を尻目に、何とか強い 火花を、とテイ ラーに交換したが、そんなに変化があったわけではなかった。そのため、カーボンサプレッサー+スプリットファイア、そしてテイラー+スプリットファイアに したところだ。
 が、セッティング不足の時でも、テイラー+スプリットファイアで点火プラグが死ぬ。これはどういうことだろうか、全く理由が分からなかった。まさに目に 見えぬ電気の流れであろう。
 テイラー+スプリットファイアの組み合わせで、最初にこの強大な電気が流れているんだ、と解ったのはBR7ESが昇天したときであった。同時に、強い 火花が出ているのに、どうして燻るのか?。そして、番手を落としてもプラグ がオシャカになるのだろう?。相反することが起きて対処できないでいた。

 コベントリーの清水さんから「とにかく薄く薄くセッティングして、そこから始める。今の場合はパイロットからだネ。メインジェットなんてなくっても平気 だし、むしろニードルの形状の方が問題だけど、クリップ位置がOKだと、パイロットジェットとエアスクリウの戻し回転じゃないの?」との指摘を受けて、上 記のとおり、パイロットジェットを下げた。
 途端に、今度は焼け気味になってくる。再びT君曰くの「電極のギャップを広げよ」との指示どおり行って良好になった。今のところOKだが、はたして、本 当にいいのだろうか?。



関連事項・プラグコードの確認
 まず、一連の電気の流れは、直接の電気はバッテリーから始まる。点火に至るパルス等はボイヤーのトランジスタ点火システムのピックアップ部分で拾い上げ た電流が、通常ブラックボックスと呼ばれるアンプ部分で増幅され、ダイナコイル(同時点火・3Ω/14000Ω)から強大な電流を効率よくテイラー+ツイ ンコアケーブルで点火プラグに火花を発生させる。
 このシステムで、当初はプラグ(B7ES)の焼け方が少々焼け気味、という判断から、電極のギャップを広げた。
 大方の機器は変更せず、プラグコードのみを変更すればどうなるのか?。もしや、と考えて、テイラーのプラグコードを直接ダイナコイルに接続してみた。
 結果から申し上げて、テイラーにするんじゃなかった、と思いはしたが、単純なスパイラル芯線をシリコンジャケットでカバーしたハイテンション(プラグ) コードは、カーボンサ プ レッサーそれ自体が持つ性能維持と耐久性とを向上させるのが目的であり、このことが最大のウリのように感じられた瞬間であった。
 今のテイラーのコードは数年前のものより外被が丈夫になっているし、仕上げが丁寧である。このコード自体の性能はなかなかのものを持っ ているのは事実だが、その意味からすると、僕のT-140Vにはフィットしなかった、というべきであろう。
 再びテイラー+ツインコアに戻す。やはりイイ。今のところ、このシステムには、このコードが合っているように感じる。堂々巡りになるが、プラグを B6ESにして、テイラーのコードを試すことはしなかった。
 ともかく、このプラグコードというのは眉唾物が多いように感じる。本質的に良品が多いというのは納得できるが、コード自体が持つ性能が全く不明である。 それに、仮にコードの品質を一定とした場合でも、点火システム全体で変化するし、吸排気を含めたエンジンによっては期待したパフォーマンスが得られない場 合も出てくるからである。



関連事項・点火プラグに関して

  点火系はある程度抑えの効くものを持ってきた方がいい場合も存在する。車体を取り巻く環境で電気的にパルスを発生させて作動させる機器が存 在しないのな ら、点火プラグはスタンダードなものでいい。国産オートバイの標準のプラグキャップには10K Ω程度の抵抗が入っている。これに高性能プラグコードに変更し、抵抗入りプラグを使うとなると、おそらくプラグは死ぬのではないだろうか。
  逆にプラグキャップに抵抗が入っていない場合は、抵抗入りプラグを使えば同じだろう、と思われるが、これは同じではない。NGKではRプ ラグに5KΩ の抵抗が封入されている。ストレートで強い電気が流れてくるのに、最終の作動を司る点火プラグで効率を落とすとどうなるか?。これは流れてくる電気をプラ グに伝える前に落とすこととは似て非なるものだ、と僕は確信している。
 テイラー+ツインコアの組み合わせでエンジンが回っていてもテレビジョン画面にはノイズとかメダカは走らない。このことからツインコア付属のプラグ キャップには抵抗が入っているものと想像する。
  トランジスタ点火で高性能の点火コイルを使用している場合の電極ギャップは、1mmが適当ではないか、と思われる。NGKの場合、電極の ギャップは0.7mmに設定されているようだ。それをマイナスドライバーの先で1mmまでに拡大するの が一般的ではないだろうか。要はL字電極を中心電極に対して直角にすればいい。
  確認はエンジンの回り方である。先に記載したように、潤いのない回り方なら、ギャップを広げれば解決すると思われる。



SUDCO MIKUNI と点火系の仕様

品     名
仕       様
種      類
単      位
備       考
バッテ リー
GS  GT7L-BS
シール バッテリー
12V7A
(LUCAS PUZ5A) GS 12N9-4Bとの換装
点火シス テム
ボイヤー ブランズデン
マイクロ MK-3
トラ・ ノートン用
並行輸入 品
点火コイ ル
ダイナコ イル
2個封入
3Ω/14000 Ω

プラグ コード1
テイラー シリコンコード

10cm カット
プロト製 の接続端子装着加工
コード ジョイント
NGK


固定袋 ナット部分の穴拡大
プラグ コード2
スプリッ トファイア
ツインコ ア

プラグ キャップ付き
点火プラ グ
NGK
B7ES

電極 ギャップ1mmにセット
キャブレ ター
SUDCO MIKUNI
VMタイ プ 32mm
2個入り セット
T-140 専用
エアフィ ルター
K&N
RU-0610
15cm、 口径57mm
ストレー トラウンド



現在のキャブレターセッティング
項        目
状       況
内               容
キャブレター
SUDCO MIKUNI VM32
ハイパフォーマンスキャブレターキット
メインジェット
#210
キタコより購入(ミクニ純正)
パイロットジェット
#22.5
キタコより購入(ミクニ純正)
ニードルジェット
6DP17 SUDCOのキットに付属(ミクニ純正)
ニードルクリップ位置
下から2段目

エアスクリウ戻し回転
1回と3/4回転戻し
通常アイドリング1200回転〜1300回転固定
インマニアダプター
SUDCOのキットに付属 エンドより1段目の滑り止めをカット
インシュレーターラバー
50mm長
東洋ゴム製耐油(耐熱) 内径38mm
エアクリーナー K&Nストレートラウンド 15cm長 RU-0610
エキパイ
ノーマル

マフラー
メガホンタイプ
リプレース品



SUDCO MIKUNIのレポートを読み返してみる
 
ようやくセッティングが落ち着いて来始めた2004年9月、セッティング一覧を見ていたとき、急に [このセッティングはどこかで見たことがある] と感じた。恐る恐る過去のレポートを読み返してみると、ありゃりゃ、見かけの28mmの時と同じではないか。今のセッティングとの唯一の違いは「見かけの 28mmでは、同じ方法で対処していたホンダのオートバイと同じく上(の回転域)が苦しい」ということであった。
 本当に、相当に長い回り道を走ってきたものだ、と思う。新しい発見は、これまでが主に冬季にテストを行ってきたレポートで、今回は夏期に行ったレポー ト。比較すると、ほぼ同じ結果を得ることができた。
 このことから、「僕のT-140Vには、およそ、このセッティングデータを元に煮詰めていけばいいのだ」ということが解った。この収穫は大きいものがあ ると自負している。
 本当に稚拙で堂々巡りのテストレポートだったけれど、このSUDCO MIKUNIのVMキャブはなかなかのパフォーマンスを有している、といって間違っていない、と断言できる。



終わりに
 
今にして思うと、相当に長い回り道をしていたかもしれない。が、今回の状況から少し解り始めたことは、調子のいいエンジンなら、キャブレ ター一つで相当に変化することと、T-140VにAMALコンセントリックMK-Iを装着しての調子が出ている、あるいは出す、という方向付けの代わりと してのSUDCO MIKUNI 32mm VMのキャブレターを使用した結果の報告だったのだが、エンジンは即座にAMAL=MIKUNIの構図にはならなかった。そこから幹は AMALのとき、枝葉はAMAL以上のものを求めて、SUDCO MIKUNIとのつきあいが始まったことであった。
 が、30mm径、34mm径が存在するSUDCO MIKUNIの同シリーズ、当然キャブの口径如何では僕のような結果にはならないであろう。それほど口径のmm単位の大きさがもたらす変化は大きいものが あると今でも思っている。
 今のところ、費用の面からもこれらキャブレターの装着確認をすることは今のところ考えていない。

 これまでの稚拙なトライ&レポートに対しては、多くの方々は「こんなレポートなど信用するものか」と一笑に付せられたことは重々理解している。
 が、コン セントリックMK-Iで少々困った問題が発生し始めると、おそらくや、キャブレター交換に及ぶだろうことは必至だ。特に国産のオートバイに乗っていらっ しゃって、程度のいい古い英国のオートバイに乗られて、「悪くないのにおかしい」というフランジ部分からの二時空気の混入や「キャブがキス(張り付き)し た」とか、「夏場はキャブレターがさわれなくなるほど熱い」とかになると、キャブレター 一つにしても「こんなに手がかかるの?」と疑問に思われることもあろう。
 僕の場合はT-140Vという現代のオートバイに近い仕様であったため、一難は逃れたものの、イギリス流の考え方に付いていけない面も多々あった。その 中の一件がキャブレターだったのだ。

 キャブがくっつく症状に対して、どうしてピストンにメッキを施さないのか?。この疑問は常々イギリスの人々の中にもあったようで、AMALのボアをスク イーズして 鉄板のスリーブを挿入する小さい工房も、かつては存在した。今では極端な話、アンチモニー(亜鉛合金)のMK-Iはピストンがキスしたり、キズがあると キャブ レターを交換した方がいい。ここ(新品)での当たりはずれはどうすることもできないし、対米仕様のタンクではAMALのキャブは雨水が直接キャブのトップ に降りかかるが... 。

 キャブがさわれなくなるほど熱を持つことに対して、どうして金属同士でシリンダーヘッドとキャブレターを連結しているのか?。ベーク板のシールは別とし ても、インマニの取り付けを兼ねるスタッドボルトをグラス(繊維で編んだ)チューブで覆った上にセラミックのワッシャーを使用してエンジンからの熱を防ぐ などの工夫をされる方。
 何かの樹脂板でインマニの原型どおりのものを削り出されて作成されている方。いずれも涙ぐましい。

 おそらくイギリスとかアメリカではこの方式でも良かったのだろうが、日本国内、僕の住む愛媛において使った結果、僕はこれらをヨシとしなかったのだ。イ ギリスへ手紙を出してはみたが、その工房は無かったし、数年前、九州だったかしら、内容は別にして、ピストンにメッキを施してMK-Iをリリースしていた ところがあって助かりはしたが、エンジンの熱がキャブに伝わる問題はT- 140Eのデボントラで、コンセントリック MK-IIのキャブレターが装着されるまで解決できなかった。
 いずれにしても、熱を遮断する方法がイマイチの ように感じたのも含めて、僕はSUDCO MIKUNIに交換したまでだ。

 その前に、ボイヤーのトランジスタ点火に変更していたが、キャブが代わっても何となく点火システムのパフォーマンスを発揮していない気分があって、点火 コイルをダイナコイルに交換した。ここまでは良かったが、今度はプラグがすぐにおかしくなるとして、プラグコードを交換する。次はキャブレターのセッティ ングがイマイチに思えて、エアフィルターを交換する。こういったことの繰り返しであった。

 2004年になって、スプリットファイアのツインコアプラグコードに思い切って交換した途端に、曇り空が晴れてきた。このコードはすさまじいものを提供 してくれたが、今度はキャブレターが再びおかしくなってきた。
 以前なら、参考書を引っ張り出してきたものの、もうその必要はない。けれども「AMAL の時と違うのだ」をすっかり忘れてしまって、またしてもキャブの セッティングに忙殺され始めた。
 2004年の8月頃、「SUDCO MIKUNIのこのキャブはベースが2サイクル用ではないのか?」ということが朧気ながら解り始め、「それならセッティングは少し違う」ことに気づいた。 9月の初め、WEB上で、カワサキ750SSフリークの方がキャブのセッティングにいつもとは違う方法を紹介されていたのを見つけ、「そうなんだ」とやっ てみた結果が「何か間違った... ?」のレポートだ。

 キャブレターの成果が出ると、今度は燃焼系に矛先が向かい始める。そう、再びプラグがヤバイ状態になってきたのである。この時点で、1976年製のイギ リスのOHVハイカムエンジンだが、エンジンを回す方法は今日のやり方なんですよ。
 「そんなことはワカッテラ〜イ。でも、おかしいのはおかしいんだ、バャ〜ロー!」と言ってはみたものの、サッパリ。
 こんな時は最初に戻る。点火方式、点火コイル、プラグコード、キャブレターは単純なVM ... 。「アッ!」。
 もうお分かりだろう。点火プラグが旧態依然なのだ。「そんなん、変えようがないジャン」。ごもっともです。
 しかし、違うんです。スタイルこそ同じですが、これには火花をコントロールする仕組みがすっかり抜け落ちていたわけです。

 どうだろうか、今の乗用車で点火プラグの焼け方なんて確認するだろうか?。おそらくやらないし、今の四輪では大半がEFIで、点火も(セミ)トラン ジスタ方式。よほどのことがない限り、一般のユーザーには無縁の箇所だろう、と僕は思う。当然、オートバイにしてもそうだろう。大半がバッテリー点火の CDI方 式だし、ACGを装備して封印されたボックスで充電等のコントロールがなされている。
 かつて、CB-750がリリースされたとき2番、3番のプラグ交換はどうやってやるのか、相当困難なことが話題になったが、今ではプラグ交換に際しては タンクの脱着なんぞ簡単にできるし、火花とか焼け具合も確認などする必要がない。3000kmに一度プラグの交換をすればイイだけである。吸入状態は毎年 1回ぐらいに調整すればいい。そんな四輪ライクな時代になってきた。
 が、T-140Vにいくら現代を注入しても点火のシステムは昔どおりの(トランジスタになったものの)やり方はバッテリー点火のコンタクトポイント方式 のままである。
 どこが抜け落ちているのか?。それが点火プラグの電極ギャップだったのだ。横から見て、L字電極を中心電極と平行になるように曲がりを90℃にすればい い。この状態で、およそ1mmのギャップだ。
 ナ〜ンダ、という無かれ。おそらく、今のオートバイでは電極間のギャップはこの数値になっているはずだ。これ で一応の結果が出る。

 終わりに、もう一つだけAMAL=MIKUNIでないことを思い知 らせられることは、始動直後には走り出せない、ということだ。 ここをどうにかしたい、つまりAMALの時のように... 、といったところも考え方の間違いであったようだ。SUDCO MIKUNIのこのキャブでは、アクセルの付きとストールしない範囲になるのに5分以上の暖気を要する。これを無くすようにすると、パイロットジェットは #30程度にして、アイドリングは2000回転。よほどのことがない限りチョークを使用しない。これならOKであろう。しかし、マフラーがその回転域では 用をなさない。やはりプラグは燻るに違いない。

 戯れ言を申し上げても仕方がない。
 なお、今回が決して最終章ではない。「一応のセッティングが出た」ということだけだ。これらを克服しようとして記載してきた過去の多くの稚拙な対処方法 に赤面する のだが、日常整備ができる程度の一般の古い英国オートバイ愛用者の独白として、お許しいただき、一応まとまった点火系とキャブレターの報告としたい。

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