僕の気分にレクイエムよりヒムを

 そう、PowerBookで今相当悩んでいる。憂鬱なんだ。そもそも、ディザインが変わって大々的にリリースされた時、Appleのサンディー・グリーン女史がこのパワーブックの日本発表で来た時からはじまって、今のモデルになった時も来日された。彼女はこのPowerBookのマーケティングをずっと担当してらっしゃるように思う。このことはかなり「力」を入れているということには違いないんだ。
 今のPowerBookはかなりのところが改善されている。先般、発熱に関して僕の思うところを申したが、これがヒートパイプと大きい放熱板でのヒートシンクで改善されている。これには少々技術的なことを含めて、そのユニークさに考えさせられた。
 が、SCSIの端子がない、など、古くからのユーザーは資産が活用しづらい点で、今度のPowerBook導入に二の足を踏んでいるようなところもある。
 翻って、僕の使用環境などで考えてみるとどうだろうか。現在使用しているPowerQuadra700で十分なのだが、これにG3のカードを装着したり、様々なことを施してもどうもイマイチぴんと来ないのである。そうまでするなら、少し筐体が大きいがG4を導入すればいい。幅も少ししか違わない。しかし、僕の使用環境からは大きく逸脱する。17インチのモニターさえ使えない広さだ。
 iBookでもいいのはいいが、次に出るモデルのことを考えると少々待たざるを得ない。SEにしてもカラー部分の取り付けノッチが外からモロに分かるし、どうもビジネスシーンではイマイ。あえてiBookで押し通すとしても、数万円の差で今のPowerBookに金額では追いつく。けれども僕の場合では外付けのマウスとかキーボードは必要ないので、単体として考えればiBookでも妥当なところか、と今までは考えていた。
 これからのMacを根本から考えてみた。そう、最初にSE/30を購入してからの時と同じように。SE/30のときは、購入してしばらく後、それ以前のモデルを購入したし、机の上に置くMacが大きくなりすぎて愛想を尽かしたために、PowerQuadra 700などというものを自作したりしたわけである。当然、仕組みからはじまって、ソフトウェアのバージョンに対してもずいぶんと考えさせられた。この意味からすると、いい勉強だった。
 SE/30を購入しようとしたときの最大のポイントはちゃぶ台の上でデスクトップ並に使えて、たまには家の中で移動する、という使い方であった。どんなに周りがDOS-Vの世界でもMacを使い続けてきた。そういった環境とかけ離れた今、全く新しいMacを購入するならPowerBookを選んでもいいのではないか、と考えるようになったわけだ。
 話を再び9年前に戻してSE/30をわが家に最初に迎え入れたとき、「コンピューターなんて勝手が悪くて不便だ」と感じた。
 当時は漢字トーク6.0.7の時代。システム7もようやく出るかもしれない、といった時代だった。間もなく、VJE2.5をインストール。漢字の変換はずいぶんと楽になったが、所詮TeachTextしかインストールされていない(当然の)状態だったんで、ワープロ専用機で行っていたことが全く出来なくなってしまった。そういった意味からも不便さを感じたんだろう。
 ところがMacでもソフトウェアが必要なんだ、と分かったとき、何しろの暗中模索状態、ノートンユーティリティーを一番先に購入した具合だから、肝心のハードはよかったのだが、ソフトウェアが現在のように廉価な気分には感じられなかったため、購入は控えていた。中でも、Mac Wordをためしに使用させてもらったとき、「こりゃワープロよりいい」と感じた。が、いかんせん、当時の僕にとっては高価なこと極まりない。
 とにかくソフトウェアの金額のこと考えると悩んでしまう状態がずいぶんと続いた。購入後半年、TeachTextで充分鍛えた状態になったとき、初のワープロソフト「Flash Writer」を購入する。当時7800円だった。このソフトウェアが僕を大きく変えることになる。何しろ現在でも使っているんだから、大変なもんだ。
 あれから、OSもGomTalk7を皮切りに、9.0.4までになった。ハードウェアはどうしてもQuadra950までしか僕の気分をよくしてくれるものがないので、とんとご無沙汰だ。次期機種選定にこれまで9年も掛かったというのは、性能とかディザインとか、コストパフォーマンスなどではない。単に「これだ」の気分にさせるような、購入意欲を沸かせるものが少なかった。デスクトップ同様にノート関係もDuoシリーズのように気分が高揚しない。本当に不思議な感覚だ。友人に言わせると、「古いものオンリー」の称号さえ戴けるような立場になってしまっている。メインのPowerQuadra 700を本当に過不足なく使えている訳なんだ。
 しかしながら、最近異変が起こりつつある。冒頭申した気分に近づきつつあるのだ。インターネットやっていても見える状態にするまでに時間が掛かりすぎる。もちろんOSとの関係もあって、マシンのせいにはしたくないところもあるが。一般に作業するときにもどかしさを感じてならない。
 ひとつ、本当の意味で今後数年間しっかり使えるマシン、しかもコンパクトで今の使用感覚が生かせて今後とも十分機能を発揮できるもの。新しいソフトに対応できるもの。もっとも最後のものはOSのバージョンに対応するかどうかだが、OSが安定したその後になってマシンが対応しなきゃどうにもならない。
 これらを満たすのが本当にあるか?。実はないのである。というか、あるけど懐が対応しなかった。が、今回ようやくうまくいく方法が見つかった。それはPowerBook 400だ。これがショップのBTO、しかも長期ローンで購入できる。もっともG3のPowerBookは発熱の心配がつきまとっていたが、今回の熱対策は誰もが考えなかった、というか考えたが実施できなかった方法を採っているようだから、松山で一日中作動させているものに触って「暖かい」という感覚の確認がとれた。これなら十分だ。
 不安もある。今までの規格の周辺機器がそのまま使用できない。しかし、これは致命傷ではない。同じようなもののドライバーがいらないものは、USBのものなら多くのものが巷にあふれている。仮にプリンターならシリアルの変換アダプターを用いればいい。
 手元にあるマシンを売却などしない。ただ、僕のメインマシンが変わる、というだけである。そうした方が僕自身の労力も助かるし、何しろ時間の短縮になるのはいうまでもない。まずは、PowerBook 400を購入した後、どうやって今までのバックアップ分を移植するかを考えないといけない。

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