形成外科

 常々書こう書こうと思っていたことがある。それは、Macの成形である。そもそも、最初の頃のMacはよかった。樹脂そのものがかなりの強度を持つ上に日焼けのこと、使用場所のことなども考えられて、かなり筐体に注意を払われていたのは容易に判断できるものを持っていた。
 それが、7100の筐体になる頃に金属製のカバーでDOSになってしまった、と嫌われた。すでに、コンパクトMacはSE/30の後期モデルでは筐体が別の面でダメになっていた。
 そういった筐体の状況なんだが、スタイルだけならとにかくの批判は浴びることに違いないが、実はとんでもないところで、僕は批判を加えたい。
 PowerBook 5300csを購入したときに初めて気が付いたことがあった。とにかく筐体の合わせ目という合わせ目のエッジがシャープだったんだ。指の腹で触ると切れそうな感覚。ここんとこPL法に引っかかるんではないか、と思えるほどエッジがシャープだった。もちろん形状のシャープさを否定するものではない。しかし、万一の時は指先などを切ってしまいそうだったから、どうしても恐かった。
 今までの筐体は一部には見受けられたが、断面は直角よりわずかに内側に入り込んだ感じがしていた。もちろん面取りをしてRを付けたような形跡はないが、古いPowerBookとか、IIciなどを見ていると、本当に雑な感じがしてしかたがなかった。製造元の確認は取れなかったが、コンパクトマックの時代は日本でも製造されていた。
 不思議なことはもっとある。僕の確信のようなものだが、こと、PowerBookはシンガポール工場での生産分は仕上がりがあまりよくない。5300を購入した後、190を触ったことがあったが、本当に同一の筐体を使用しているのだろうか。キーボードのタッチも190の方がよかった。そういったことから共通パーツも同じグレードのものだろうか、と疑問に感じるぐらい、190の方がよかった。後ろのラベルを見てびっくりした。台湾で製造だ。
 このこと以来、台湾製造のMacはいい、と感じるようになった次第だ。もちろんApple本社の方針によるところも大きい。最初に申し上げたSE/30の後期モデルはアイルランド工場で出来ている。僕の持っているアナログボードはイギリスのパーツがふんだんに使われているのが手に取るように分かる。韓国製のアナログボードはラフだが全体にかっちりしていて、ICチップが出来る頃の日本製のプリント基盤のようだ。保護ニスの塗装もごつい。ついでに確認すると、僕のNewton MP-130も友人のPB1400も、そして、今回のPB400も台湾製造(アセンブル)であった。
 余談が過ぎたが、こういった意味からも、台湾工場から出るMac達には一定「良」の評価を僕は与えている。
 さて、そういった中で、PB400にも少しだけ外装に修正を施すことにする。用意するものはカッターナイフの小さいの1本。耐水ペーパーの1000番ぐらいを少々。これだけだ。まず、裏側の#8のトルクスビスが埋まっている穴の周囲にカッターナイフを軽く当ててエッジの修正を行う。その後、ペーパーをその部分に軽く当てるだけでいい。合計7本である。裏側を掌でそっとなでていてビスの穴の部分にかかったとき、処理をやる前とでは、ずいぶんとフィーリングが向上しているはずだ。
 もう一点はDVD-ROMとバッテリーののリッド部分だ。特にDVD-ROMドライブのリッド部分はきっちり収まらないから、先に処理した内側部分のエッジの鋭さがモロに感じる。ここはカッターナイフの歯を立てて数回削り、ペーパーを当てると、見違えるようになる。
 バッテリーは細い溝だが、ここはカッターナイフの背の部分でDVD-ROMの時と同じようにしてやればいい。
 最後にどのマシンにも共通していることだが、とにかくボルト・ビスの締め付けトルクが強すぎる。eMate 300などアホかいな?、と感じるほど締め付けられていた部分があった。これを全体に緩めてほぼ均一に締め替えしたところ、合わせ目がぴったり一致した部分もあった。古いPlusのキーボードなども同様のことが起こったし、作動さえスムースになるときがある。信じられないが本当である。
 PB400も同様だ。裏側のトルクスビス7本を#8のトルクスドライバーで少し緩めてみよう。中にはしっかり締まりすぎているビスがあるはずだ。そして緩めたビスを締まるところまで締めて、フィーリング上ドライバーの握りをそこから1/5回転ほど余計に締める程度でいい。「すっと力が入るところ」といえばお分かりと思うが、ここまで締め付けをお願いしたい。それで十分だ。締めすぎはよくない。特に発熱の大きいPowerBook400ではなおさらだ。
 内部も同様に、メモリー増設時のヒートシンクなどプラスドライバーの歯が一致するものを必ず使い、締め付けに注意していただきたい。ヒートパイプからヒートシンク一体になった部分はネジロックが塗布されているので、ほどくときに堅い、と感じて、締めるときに強く締めないことも肝心だ。
 液晶フレームのキャップのあるビスはあらかじめ動かない位置で固定してあるので、この部分は分解して締め替えをしないようにお願いしたい。
 PB400でもこういった処理をしてやる。普段は見えない部分だし気にすれば気になる部分ではあるが、バイクとか、自動車とかのトルク管理がまだMacなり、電器製品なりに行われていないのは不思議な感じがしないでもない。
 しかし、僕はこういったオーナー側の処理で一層愛着が沸くようになる気がしてならないのである。あくまで改造の範疇になるとは思うが、どうぞ自己の責任の範囲で行って欲しい。

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