PowerBookの件

 Appleが出しているノート型パソコンは"PowerBook"というシリーズになっている。僕の持っているのは、100、Duo2300c、それに息子からの借用物である150の合計3台である。一時期5300csがあったが、これは必要とされる方にお譲りした。僕にとってのPowerBookはホトホト良縁がない。どれもこれも御難続きで修理に出す回数の方が多いのはどうしてだろうか。DuoやPB150は全く同じものを購入するハメになってしまった。5300csは全く新品同様にしてしまわざるを得ない代物であった。最初から快調に動くものが欲しいところだが、もう旧機種ばかりになったから、ここでモンクを言っても致し方あるまい。
 さて、今ならディザイン秀逸なPowerBook G3を即座に購入しているはずではないか、と思われる方が多いはずだ。ところが、こいつはディザインが先に来て、肝心の内部の状況がおろそかにされている。その最大のものは「放熱」である。この放熱には二つの意味があるのだが、ここでは以下のように僕は考えている。
 一つは、CPUをはじめ内部のパーツが発する熱である。もう一つは、その熱を逃がす方法である。前者はどうしてもクリアーできない。これほどの高速マシンになってくると、一日中オフィスで電源を入れっぱなしで使用する場合も出てくる。小説家先生とかライター諸氏はこういった使い方をなさるであろう。
 最初のPowerBook G3もすごかった。これは3400の中身をG3の中身に入れ替えたマシンで、薄幸のマシンの代名詞みたいになっている。このマシンでも内部の空間が少ないために多くの熱が逃げずにたまってしまっていた。
 そして、現行G3の最初のバージョンでは、信じられないほどマシンが発熱する。特にパームレストとかキーボードからその熱が伝わるのにはびっくりした。当然のことではあるが、底の部分は大変な熱さになるわけである。アルミの放熱板とかファンの付いた放熱板などが開発されたけれど、これに数万円も出すこと自体がおかしいことのように感じていた。
 現行のG3PowerBookはかなり改善されてきているが、それでもキーボードからなま暖かさを冬に感じるのだから相当なものが内部で発熱しているのには違いがない。専門店などで確認を取っているものではないが、G4のマシンが結構好調なのはCPUの銅配線はもとより、空間と空気の流れを考慮した設計になっているからではないだろうか。そして、iMacはファンモーターさえ外してしまう。これぐらいのものになっている。iBookにしてはまるで静かだし、どこも熱くならない。
 僕は小さくなると同時に、この熱問題は重要な意味あいを持ってくるのではないか、と信じている。現行のG3 PowerBookにはファンモーターが付いていて、熱は外へ逃がす仕組みになっている。では、新鮮な空気はどこからはいるのだろうか。かつてのMacはフロッピードライブの口が空気取り入れ口になっていた。G4マシンも隠れたところに空気取り入れ口が存在するのだ。
 僕の記憶が正しければPowerBook5300の筐体はPCカードの取り付け口がそのまま外部との空気関係の通路という話を耳にしたことがある。ところがG3 PowerBookにはどこを見渡しても空気の入り口はないのである。暖かい空気は上昇する。したがって、キーボードとかパームレストが熱を持つ。全面机などに接している底板はどうなるかは申し上げなくてもいいだろう。
 では、どうしてiBookは熱くならないのだろうか。原因はよく知らないのだが、どうもPowerBook1400と同じ様な考え方で作られているのではないだろうか、と想像するのである。
 1400は筐体そのものはサードパーティーのものだ。そいつをAppleが入手した、と聞いている。モデムから何から取り付けると結構後ろはゴチャゴチャするが、ちょっとグラマラスな姿はいいもんだ。MP130と同じ様なスタイルだし、今でも愛用者が多いはずだ。そして、G3のカードを装着されている人も多いはずである。が、装着すると発熱は一気に上昇する。致し方ないことであろうな。カードそのものを装着するにはあの辺の大きさが限度なのかも知れない。と、同時に最初のPowerBook G3マシンのことに戻るわけだ。
 iBookの発熱量の少なさは本当にびっくりする。ノーマルの1400と比較すると、両者には結構金属の部分が多いことに気がつかれるはずだ。そして、CDドライブの部分から空気が入り込むのが分かるはずだ。それに、比較的広い一枚の基板に多くのものが取り付けられている。クロック数も少し少ない。ね、およそのことは理解できるでしょう。
 この文章は原稿なしの状態でPowerBook150を使用して1時間程度で作っている。現在はハードディスクが1GBになっているし、メモリーも最大、そしてバッテリーが少々心許ないから、少し発熱はあるけど気にならない。Duoにしても同様である。
 5300が中古市場で人気が下がらないのはこの辺のところ、ボタン一つで足が出て、空気の流れはよくなるし、A4のサイズで、厚みが均一だしで、けっこう微妙な点で熱の問題がクリアー出来ているからではないだろうか。パーツも今の所は抱負だしネ。関係ないが、ACアダプターの取り付け部分が旧式なのがダメなだけだ。この点は今のCEOもかつて言っていたことがあったはずだ。
 とにかく、PowerBookというヤツは熱だ。この発熱がおさまればいいのだけど、それほどシェアは大きくないから容認されていることかも知れない。けれども、僕個人は発熱ということに対しては重要問題、と位置づけている。

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