66と80についてなど...

 1994年頃だったろうか、「おいおい、こんなのにこんなゼニ出さないといけないのかい?」っていうのが最初にこのマシンを雑誌で見た印象だ。すでにセントリスとかII-Viでもう嫌になっていたMacのIIVリーズのスタイルだったからPowerPCというマシンには興味があったが、性能はいざ知らず、価格そのものに閉口した、というのが偽らざるところである。
 僕もいい加減古いタイプが好きだったので、名前と性能にホダサレて購入したい、と思ったマシンは多い。Quadraシリーズなどがそれだ。特にQuadra 700、950などもっともたるもので、近年になって購入したのは我ながらよくやったと感じている。その流れからすれば、Quadra 650は700が入手不能の時期、喉から手が出るほど欲しかった。
 しかしながら、この頃からMacの新しいモデル対する期待感などは消え去ってしまったのも事実だ。「これだ」というインパクトを与えるものが全くなくなったような気がしてならなかったのである。今のPowerBook G3/400にしても、PowerBook G4が出てさえ、「この方がどうもいいように感じる」という気分で毎日使っている。事実、PowerBook G4が出ますが... 、という時期にG3のPowerBookを購入したのだし、それも熱的に十分対応できるシステムを装備した2000年モデル、ということで、自分としては待った甲斐のあるものであったわけだ。
 いずれにしろ、こういったインパクトがあって、なおかつ長期間同じ外観のモデルが当時は本当になかったのである。
 さて、PowerMac 7100との最初の出会いはQuadra 700の筐体を一部改造して7100のロジックボードを入れるという作業を試みた時だった。何しろ、その当時から7100のロジックボードの新品より、7100そのものを購入した方が安かったのである。問題は今でも高価なQuadra 700がその当時でも30,000円もしたことだった。
 最初の改造は闇雲に手を出したために失敗し、結局Quadra 700は3台購入したことになる。幸いにも、全てのQuadra 700にはゴムの縦足が備わっていたから、この面でも僕とQuadra 700は縁が深い。二度目の改造品が現在残っている。シリアル接続関係のものは、こちらで作業をしているが、非常に快調である。
 オリジナルのQuadra 700にはApple純正のPPC601のアップグレードカードが装着してあるが、これがなかなか快調で、捨てがたい魅力がある。
 本来なら、7500シリーズが出た時にPCIのバスになって、これからはCPUのアップグレードなども有利ってことは百も承知だったのだが、7100に比べて1.5倍ほどの筐体の大きさは、我が家での置き場所が拒んだのである。最近生産中止になったキューブは小さすぎる。一般家庭で使う場合、7500からのデスクトップの筐体は大きすぎる。7100は古いモニターと新しいCPUなどとの関連からなかなか捨てがたい魅力を持っている、と僕は最近感じ始めている。
 同様に8100のミニタワーもなかなかいいな、と感じ始めた。このミニタワーは8500までは許せるが、置き場所は拒まないまでも、横幅を何とかすべきでなかったのか、というのが偽らざるところである。後述するが、CPUの熱暴走も8100でも起きるから、この点でも難があったのではないだろうか。
 前書きが長くなったが、PowerQuadra 700とPowerMac 7100についてはこのホームページで紹介しているところだが、最近になって、7100 /80の綺麗なものと、 そのロジックボードを札幌のDo-夢から格安で購入したので、以前から持っている66MHzとの違いなどを報告したい。

 66と80の最大の違いは外観からは分からない。内部にアクセスして最終段階で分かってくる。トップカバーをはずした状態で、サブフレームの横、CPUの放熱板に風が当たるように小さめのファンが装備されている。これが最大の違いだ。電源は内蔵ハードディスクの電源ラインから取られている。
 したがって、外観では分かりづらいが、作動音が80MHzの方が大きいから、この時点で分かるかもしれない。

■ 下の写真は左が80MHz、右が66MHzの同じ部分を写したものだ。少し位置が異なるのはピントの関係、とご理解願いたい。

     

●CPU冷却ファンについて
 WorkgroupServer 9150ではPPC601/120MHzで強力な電源と筐体がQuadra 900、950とほぼ共通なものであっても、CPUの熱暴走はくい止められず、PowerMac 7100/80と同様にCPU冷却ファンが装備してあった。特に発熱量の多いPPC601では100MHzに近づくと、冷却ファンは必須なのであろう。フロッピードライブの挿入口から入る空気が電源部のファンから流れる方式で、比較的風の流れのいいQuadra 700の筐体への移植では問題がないかもしれないが、7100の筐体に80MHzのクロックだとCPU冷却ファンは絶対必要なものなんだろう、と想像する。
 こういったところを理解して、PowerMac 7100をアップグレードしてみよう。
 まず必要なのは、セカンドキャッシュである。80MHzではどうも標準装備のようだが、66MHzでは装備されていないようだ。66、80MHzに関係なく装備されていなければ、ぜひ装着していただきたい。
 SIMMは72ピン。最近では大容量が少なくなったが、4個のスロットに装着すればいい。ただし、トップカバーをはずした上にサブフレームをはずす必要があるが、もう、アバタモエクボ、手間は考えずに行おう。
 しかし、昨今難しくなったのはハードディスクである。このSCSIハードディスクはピンの数から、おいそれと製品をチョイスできない。ピンの変換器を使用する必要も出てくる。フォーマッターを別として、非常に有効なのはセンチュリーがリリースしているハードディスクに背負わせるタイプで、IDE-SCSI変換カードがあるので、これを使用するのも一案だ。また、少なくとも1Gは欲しい。
 今の時代だったら、CD-ROMドライブももう少し速いのに交換しておく。
 これだけのものが用意できたら、いよいよ整備に取りかかることとする。
 
 分解方法はクラシックボックスさん、みつよしさんのページで紹介されているので、これをまずダウンロードする。

◆ いつものとおり、ここからは改造の範囲になる。そのため、何があろうとも、手を下した方ご自身で責任を取られるようお願いしたい。

■注意点は次のとおり
1.最初の注意は、サブフレームのエッジで指などを切らないようにすることだ。どうしても手袋をする場合は写真材料点などで売られている布製の手袋を使用すること。
2.発売されて5年以上経過しているので、トップカバーにあるプラスチック(ABS)部分の溶着ダボのうち、はずれているものは、ホットメルトなどで取り付けを確実にしておく。
3.CD-ROM部分の取り付けシールドの細い足を折らないようにすること。
4.ロジックボードはアルミホイルなどで包んでおくこと。

◎全てが分解できれば、エアーで埃を吹き飛ばす。特にトップカバーのフロントベゼルの内側は相当な埃が入っているはずだ。その後で、濡れティッシュなどで拭った後、乾いた布で拭き取って、しばらく乾燥させる。

 これで組み付けてもいいが、このままでは掃除の範疇であって、本来の整備にはならない。整備をやるのはPPC601と放熱板の間である。
 放熱板は単純にCPUに直接被さっているわけではない。CPUの表面に雲母を乗せ、その上にシリコンを介して放熱板が取り付けられているのだ。シリコンが劣化してくると、接触が完全ではなくなるから放熱作用が劣ってくる、というわけだ。
 弱電エンジニアなら、トランジスタを放熱板に取り付けるときを考えていただければお分かりになるだろう。
 
ロジックボードの修正
1.CPU放熱板はマザーボードの裏に出ている「X型」の取り付けクリップを基盤から、外側へ押し出すようにしてはずす。

2.放熱板、CPUに付着しているシリコンを剥がす。この時マイナスドライバーなどの金属を使用してはならない。割り箸を削ったものなどで、ていねいに取り除く。雲母版を無くさないこと。取り付け順序を確認しておくこと。

   

3.エアスプレーなどで、シリコンのカスを吹き飛ばす。
4.CPU-雲母-シリコン-放熱板の順で取り付け、クリップで固定する。
5.クリップは正確に穴の上に置き、クリップの足を上から押さえればいい。

これで、当分の間は快調に使用できるはずだ。この上を行くとなれば、G3、G4のNUBUSカードを取り付けることになる。この時はマザーボードに取り付けたセカンドキャッシュをはずさなければならない

、最適なOSは、といえば、僕は動作が少し遅いと感じるかもしれないが8.1を使いたい。一つ下がって7.6もいい。各々で確認をしていただきたい。PowerQuadra 700では8.6で使用しているが、きびきびとは動かないから、やはり8.1ぐらいがいいのかもしれない。

 こうやって古いマシンを使っているのだが、スペースファクティブなどの関係で、今(2001年8月時点で)のMacは大きすぎる。できれば、iMacのような一体型ではなく、キューブのようなものでもなく、コンシューマー向けのコンパクトなモジュラータイプのMacをそろそろ希望する時期なんだが... 。
 冒頭言ったように、そこそこの大きさで、過不足ないコンシューマー向けのコンパクトなモジュラータイプを出せば、Macの人気も一団と上がるのではないだろうか。現在のG4Macを初心者がいきなり家庭に持ち込んだところで、その大きさと十分すぎるスペックに、僕は何とも言えないものを感じるのではないだろうか、と思う。たとえコストパフォーマンスに優れていても。
 そういった意味からかもしれないが、最近の中古市場で、この7100/80 AVっていうのをあまり見かけなくなった。

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