IIciにQuadra700のロジックボードを入れるの巻
 パソコン界のポルシェ、それはIIci。こいつが中古で現在8,000円程度だ。
 たまたま、職場の職員団体にIIciがあり、ソネットスピードスター68040アクセラレータを装着して使用していたが、どうしても漢字トーク7.5.1以上にOSを引き上げられない。スピードスターのエクステンションも7.5.3以上はアップデートがない、などから、現行のソフトを使用して、たまにクラッシュする、プリントアウトできない、などの症状が出てきた。ご存知のとおり、作業中にこういった症状が出ると、セーブを頻繁に繰り返すなど、別のものに気が回ってどうしようもない。
 様々な方法を考えたのはいうまでもない。一時期はPowerMac 7100/66(80)AVを考えた。これならG3まで引き上げられる。でも、そこまでするなら、新しいものに全面変更した方が後々のためにもふさわしい。が、何分にも備品の予算がない。7年前の購入時、IIciにはモニター、プリンターなど含めて70万円もつぎ込んでいる。それにIIciという一般に言われている名器を使い続ける必要も出てくる。
 そういったことと、たまたま、修正前にQuadra700に置き換えて使っていたとき、モニターの位置が下がるとなかなか使いやすい、と書記さんがいうもので、それらのこと考えて下した結論がQuadra 700のロジックボードを装着することである。ここでCentris 650とかQuadra 650のロジックを考えたのだが、現在4MB30PのSIMMを保有していること、外付けのCDプレーヤーなどそろっていることなどから、無駄な出費は最小限に押さえたいことと、改造の手段が最小限になることを考えて、Quadra 700のロジックボードを選んだ次第だ。
 まずは外回りだが、次のようにする。

 注意! 
 いつも申し上げるが、こういった行為は改造に当たるため、Appleの保証の対象から離れるし、各種ショップなどで修理を受け付けてくれない場合は往々にして存在することをお忘れなく。
 あくまで、自己の責任で対処することはもとより、いかなる結果になろうとも、当方はいっさい関知しないことを前もって申し上げておく。

●IIciの内部パーツを総て取り除く。ロジックボードはSIMMなどを取り外し、アルミホイルで包んで大切に保管する。このとき、バックアップ用のバッテリーははずしておくこと。

●後部のシールド板の取り付けダボをニッパーで切り取り、両端にプラスドライバーを入れて少しずつはずす。

●とりあえず、Quadra700のロジックボードを入れて、アウトプットポートの位置を筐体の外から鉛筆で印を付ける。(IIciの取り付け用フックの数と位置が違うので、アウトプットの位置決めだけにとどめること。)

●仮装着したQuadra700のロジックボードを出して、IIciの筐体のアウトプット部分を金切り鋸、ヤスリ、サンドペーパーを使用してポートを広げる。簡単にいうと、外部フロッピーの位置にモニターが来るだけで、電源スイッチに近い方を少し削り込むことと、長くカットした部分の一番右側のシリアルポートが来る位置を丸くするだけで、おそらく収まるはずだ。 IOポートの改造完了を写真で示す。

●シールド板を仮装着する。ここで、先ほどのシリアルポート部分の一カ所が来る部分に穴を開けなければならないはずだ。穴空け加工の後はシールド板からバリなどを完全に取り除いておくこと。

●Quadra700のアウトプットのシールド板がジャンクなどで入手できれば、IIciの不必要なダボのカットを行って簡単に装着できる。ただし、この場合は一番中側のNUBUSスロットはシールド板が塞いで、このポートは使えなくなる。もっとも、Quadra700のロジックはNUBUSスロットが一つ少ない。

 IIciのロジックボード
 
 

 Quadra700のロジックボード 
                       

●シールド板をはずし、この時点で筐体が汚れていれば洗剤で丸洗いをし、十分乾燥させる。特に水分は各パーツに重大な影響を及ぼすので、細心の注意を払うこと。エアーコンプレッサーがあれば水滴を簡単に吹き飛ばせる。
 このときIIciの開発者のサインを確認のこと。(今では必要ないかもしれないが)各種キーの組み合わせによって出される顔写真は、Quadra700のロジックボードを装着すると出なくなるので、このサインは貴重なのだ。

       

●Quadra700のロジックボードは筐体底板のフック状ダボの入る穴が、IIciに較べて少ない。実に二つだけなのである。そのため、不要な部分を注意して切り取る。そのときに、フック状のダボがあったベースの台座とツラ一になるようにしておくこと。特に業務などで熱がこもる場所で使用されていた場合は、筐体の可塑剤が飛んで材質がもろくなっていることがあるので注意を要する。

●万一ショートを防ぐため、Quadra700のロジックボードの裏側、先ほど切り取った取り付けフックの台座が当たりそうな位置にセロハンテープを貼っておく。
●加工したシールド板を取り付ける。

●Quadra700のロジックボードを加工したIIciの筐体に取り付ける。

●スピーカー、インタラプト・リスタートスイッチを取り付ける。

●SIMM、VRAMはQuadra700のロジックを、加工したIIciの筐体に取り付けた時に装着しておくこと。でないと、電源部、ハードディスクなどをもう一度取り外すことになる。

●フロッピードライブをサポート板から取り外し、エアスプレーで埃を飛ばし、金属板の摺り合わせ部分にD-40をスプレーし、エラーで使えなくなったフロッピーディスクを入れたり出したり数回行った後、余分なWD-40を拭き取っておく。

●総てのパーツを取り付ける。

 以上で完了だ。
 
◆この改造で欠点がないわけではないが、優れている点がそれらを上回る。とにかく、リアパネルのアウトプットポートは最小限の加工をするだけ、という点が、一番優れているといえるのではないだろうか。
 ただし、リアのシールド板の加工はいたしかたない。

◆もう一点、スピーカー端子がIIciとQuadra700では少し異なるので、端子をショップなどから調達すること。Quadraシリーズの"グゥワ〜ン"という起動音を聞くと、おそらくスピーカーは何とかしてでも作動させるはずだ。

◆影響はないと感じるのだが、ジャンクなどで、フロッピードライブ、ハードディスクサポーターが導通メッキされたものを入手されることをお勧めする。

◆できれば、電源部分もPowerMac7100のものに交換されることを勧める。この電力差は妙なところに出てくるものである。

◆もし、2mm厚程度のプラスチック(スチロール)板が入手できるなら、カットした部分の上下を繋ぐサポート板を作成されて、エポキシ系の接着剤で固定すると完璧だ。こうすることにより、純正の13インチカラーモニターを上に載せても堅固になる。

▼こういった最小の加工で、かつての名器を生かせてやる方法は非常に大切であると考える。整備するにも簡単に内部にアクセスできるのだ。カードがエラーを起こさせる要因を考えると、この改造の方が廉価である。
 今回の改造はPowerMac7100のロジックボードをQuadra700に装着するときと同様の方法だが、改造方法のリスクは断然少ない。
 Quadra700自体は中古でも高価だが、ロジックボードは比較的安い。72Pのシムとされるのなら、Centris650、Quadra650のロジックボードをチョイスすることも可能である。しかし、それなら、PowerMac7100以降の製品、特に7500以降のドーターカード方式のPCI Macを購入した方が気が利いている。これだと、カードそのものが本体にフィットするから、リスクはそれらの投資金額だけだ。

▼蛇足ながら、通常の方法で、この改造マシンを作動させるには70ナノで4MBのSIMMを4枚という16MBにして、内蔵の4MBと合わせて20MBで使用されるのが一般的だ。このときのOSは漢字トーク7.5.5をお勧めする。もし、70ナノの1MBしか入手できなければ、漢字トーク7.1で使用されればいい。いくら軽いから、といっても漢字トーク6.0.7.1の最終6シリーズは受け入れないので念のため。

▼現在のG4Macを見ていると、外見はもとより、内部アクセスの難易度など、全体のディザインは、えらく回り道をしてここまでになったように感じてならないのは僕だけだろうか。




 チップスをいくつか

WD40を使用する際の注意

 WD40もいいことばかりではない。清掃の課程では洗浄と潤滑をこなすが、粘度を要求してダンパーの役目をするところには向かない。今回の場合だとフロッピードライブの摺動部分などは、WD40だけではだめだ。
 したがって、フロッピードライブの摺動部分に白っぽいグリスが塗布してあるところは、吹き付けたWD40をよく拭き取り、エアスプレーで余分なWD40を出す、ということを数度繰り返した上で、その部分にグリスを薄く塗布していただきたい。
 特にサイドの溝に沿って挿入時に動くローラー、表面のスプリング、左側のアームの擦れ合うところなどが重要だろう。できれば、ヘッドを動かすスパイラルの溝が切ってあるシャフトにもグリスを少しくれてやる。
 グリスは硬くもなく柔らかくもなく、というもので、半透明なシリコングリスが良いが、できれば模型店へ出向いてもらい、タミヤのRCカーとかミニ四駆用のグリスがいいかと思う。モリブデン混入の黒いグリスは必要ないと思う。
 また、エアーで埃を飛ばすとき、業務用のコンプレッサーは、ことフロッピードライブには用いないでいただきたい。完全にヘッドは狂うし、他に影響を及ぼすようだ。もちろん、電気掃除機も御法度である。吸い上げるのは吹くよりもっと始末に悪い。この場合は、綿棒で埃を取ったり、画材店にある狸の毛の平筆で埃を除去するだけでいい。でなくって、合成樹脂の穂先は静電気などの関係で好ましくない。掃除をした後、本体に装着して湿式のヘッドクリーナーでヘッド回りの掃除をすればいいか、と思う。
 どうしてもオートインサート、イジェクト方式のフロッピードライブを持ったMacは、この部分が空気の取り入れ口になっているので、作動上、埃の多い場所ではフロッピードライブの故障は避けようがない。どうか、中古のフロッピードライブをリプレースパーツとして持っていてもらいたい、と希望する。

ロジックボードの最終調整

 不要なロジックボード取り付けのフックを切り取った場合、切り取りの部分はその台座とツライチよりわずかに下げた面に整形すること。そして、細かいがセロテープで覆っておかれるようお願いしたい。
 単純な理由だが、筐体の導通のメッキ部分が、IIciではロジックボード下側のパーツ部分に該当しなくても、Quadra700のロジックボードではそこに抵抗などがあったり、半田付け後のパーツの足が来たりして、レアショートになりかねない。ロジックボードにセロハンテープを貼ったように、筐体にもセロハンテープで覆うことはその防止策でもある。

WD40のこと

 この製品と僕との関わりはもう20年以上前になるが、ヤマハの純正部品で紹介されたときからだ。その前はヤマハマリンで、船外機の整備には必需品であった。これが、たまたま、露出したバイクの電送関係に有効であることから用いられ始めた頃からである。
 当時からCRC5-56は発売されていたようだが、僕は臭いからして、このWD40が好きであった。そうこうするうちに、ヤマハが自社製品のMF-1シリーズを発表して、ヤマハマリンからもWD-40は消えてしまった。時を同じくして、日曜大工洋品店などでWD-40が発売され始めたときから、僕の必需品として復活したわけだ。
 どうしてWD40かというと、この製品だけオイル分が残るからである。CRC5-56と比較するとよく分かると思う。少し負荷のかかるところでも用いることが出来る。わが家の浄化槽にエアーを送るポンプのモーター部分から異音が出始めたとき、これを吹き付ける。(今はないかもしれないが)説明書どおり20分後に音が消える。こういったたぐいのものだ。それが待てない、整備性を向上させる意味からその浸透力を強くしたのがCRC5-56で、オイル分も少しというのがMF-1ではなかったのだろうか、と推察する。
 先に記述したとおり、WD-40にも困った部分があるし、ある種のプラスチックを犯すことも報告がある。何か忘れたが、WD40は絶対に使ってはならない、の記述を見たことがあるが、それほど有名だし、一部の製品、パーツには有害な潤滑剤でもあるということだ。
 
 

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