PowerBook G4 アルミ 12インチ

 相変わらず長いネーミングだ。よく見ていただくとお分かりのとおり、愛 用のPismo(PowerBook G3 2000 FireWire)までは、PowerBookの前にMacintoshが記載されるのである。「違いがネーじゃないか」とおっしゃるだろうけど、次のチ タンが使用されたG4のPowerBookは確実にPowerBookとしての独立したモデルとして位置づけられているわけなのだ。Appleのマシンで あるが、これまでのようにMacintoshを可搬型にしたモデルではなく、独立したモデルであることを主張し始めたということではないだろうか。
 Appleは未だにこの手のモデルの総称を「ポータブル型」としているのも、アメリカが生んだエポックメーキングなコンピューターだから、英語のカテゴ リー表現を崩したくないのであろう。英語圏の人に「ノートパソコン」あるいは「ノートコンピュータ」と言ったところで理解されないのと同様であろう。一つ のこだわりかもしれない。
 では、このPowerBook G4 12インチはどのように表記されるのであろうか。Appleのサポートサイトで確認すると、今回のモデルはPowerBook G4 12" 867となっている。
 こんなウンチクを申し上げるには意味がある。

 初めてのG4 PowerBookはチタン素材で誕生した。なかなかいいマシンであったが、そこからのクロック数の度重なるアップは、購入する者に対して、あまり気分の いいものではなかった。もう一点、筐体の作成上、キーボードの周囲に余裕がありすぎるため、どことなく間延びした感じがして、僕自身はあまり好きになれな かった。
 この15"モデルのCPUが867MHzになったモデルで、内部の構造が変わった。このモデルは持っていても良いな、とターゲットしていたが、あっとい う間にアルミになって、17インチと12インチモデルが加わった。ついには1.25〜1.5MHzぐらいまでクロックアップが行われた。
 そんなもので、僕の頭の中には「欲しい」と思う感情が浮かばないモデルであった。1.25MHzモデルが出始めた頃、ヴィンテージコンピュータ社から Pismo用のファーストマック社製G4カードが売り出され、550MHzになったものを購入して装着。
 先に二個一にしたそのPismoを結局8年間も使用することとなった。これらのことと、Pismoへの入れ込みようなどは本文をご一読願いたい。
 そんなことで、このPowerBookがほしいとは思わなくなっていたし、その上にMacBookというintelのCPUを搭載したモデルが PowerBookに取って代わる。しかもCPUの変更が甚だしい。そして、OS X 10.5がリリースされる。その対応が867MHz以上を要求しているし、MacBookのCPUの変更が激しいため、これまた同様に購入をためらってい た。

 ことは2007年12月の中旬に起こった。
 OS10.5の件もターゲットディスクモードでインストール... 、という記事の検証などのことがあり、少しばかり回り道をしていた。その上に、MacBookがバージョンアップするたびに高性能になるため新規導入をた めらっていた。ちょうど、そんな時だ。
 ヤフオクで同級生から頼まれていたWindows2000のOEMディスクを入札締切時間を忘れてしまったので落札できず、何となくブツを見回していた とき、多少内容装置が変更されたPowerBookの12インチモデルがヤフオクに出てきたのだ。時を同じくしてストック状態の同モデルも出てきた。
 こういった類のものはいつものように相当に安い金額からスタート。普通だと5諭吉ぐらいだが、今回は3諭吉ぐらいでOKのはず、という動きであったのだ が、終了前に「これまで」の価格まで上げていくと着いてくる奴が出てきた。
 こっちが指定の最低上乗せ額で入札をすると、相手もその倍(500円なら1,000円)で入札をしてくる。この繰り返しを3〜4回やったであろうか、少 し上げると10分の延長。本体の状態から考えると、1枚一葉が加わるところが僕としての最高額だ、というところで降りた。
 先に言ったようにG4のPowerBookはチタンの15インチの時から興味の沸かないモデルだったので、僕自身はもう少し上乗せしてやっても...、 と強い気持ちでゲットしたいとは思わないため、終了価格を見ることも無くオヤスミした。これが12月17日(月)だ。

 翌日、仕事から帰ってメールの確認をしたときだ。Yahooから「出品者が2ndのあなたに権利を与えるが落札するか?」と昨日の12インチモデルに関 しての通知メールが入っていた。
 目を通すと、手を引いた額から2英世アップ。付属のメモリー、ドライブなどがアップグレードになっているから即座に落札した。
 出品者いわく、昨日最高額での落札者(1位)の「悪い」評価が占める割合が60%を超えているらしく、即座に断って2ndの僕へ通知をした、ということ らしい。
 このようなことは過去1度あった。今回は僕の落札予定額より少し金額がアップしたものの、お互い信用関係で成り立つオークションだし、落札者を精査した 上で、即座に次点の僕に、という出品者の気分に落札を決意した次第だ。

 その夜、酒道場でこの一件を話すと、女将さんが「そんなことがあるんですか?」という。もちろん、ひどいのになると「マケろ!」とか、数日してキャンセ ルしたいとか、ジャンクですよ、と表記しているのに、その度合いがヒドイので文句を言う奴とか、沢山ありますよ、と説明すると、「なかなか難しいものです ね、今回はラッキーとしますか」と言ってくれた。
 そうか、そういった意味からするとアップグレードモディファイだからラッキーかもしれない、と思った次第だ。
 
 19日に入金。翌20日に到着。宅配便も今は競争だから、大阪程度だと1日はおろか半日で配送ポイントへ届く。物流の世界は相当なものだな、と感じる。
 丁寧な梱包を解くと、思いのほかキレイ。確かにビスが数本無くなってはいるが、モバイルをしないのなら強度上影響のあるものではないようだ。が、気には なる。
 OSのインストールをどうするか?。少々悩んだが、OS 10.5をインストールすることとした。インストール用件を満たすクロック数の最低条件の867MHz。いかが相成りますか。

 組合の定期大会の後に早速インストール。およそ1時間半、上手く行った、と思ったのもつかの間、どうしてもログインのダイアログが出てしまう。インス トールディスクから新しいアカウントを設定してもダメ。こんなこともあるのだろうな、と思いつつ、何度もやるがダメ。愕然としてはいられないのだが、どう も考えが多方面へ回らない。
 こういったときはイジルのを止めるに限る。1時間半が無駄になったか...。少しの時間だが、Pismoでアメリカのヴィンテージコンピュータ社のサイ トを少々。大半のマシンが上書きで上手くいく、と記載があったが、中にはクリーンインストールが必要のものもあるから、ケースバイケースであることを知 る。G4でも最低クロック数が867MHzということから、この時点でPismoで10.5は無理かな、と考えた。



 救う神はやはり居る。22日の土曜日、松山出張から帰ってインストール。およそのインストール時間は分ったから、まずはハードディスクをイニシャライズ してからやってみることとした。つまり、クリーンインストール。
 インストールDVDをセットしてインストール開始。イニシャライズは簡単だが、どうしても検証は30分程度かかる。この分を除いてインストールは1時間 半という次第だ。
 9時過ぎからインストール開始。結局終わったのが11時過ぎ。作動させるといつもどおりの進行でOKとなる。動き自体もなかなか調子いい。初めての経験 であり、残念ながら「ことえり」での「はたけ」タイピングは中止をした。
 さて、Pismoからの移行で爪づきが出始めた。幾度と無くターゲットディスクモードで移行を試みるも、2つのパーティションのうち、OS9のハード ディスクは認識するのに、OS Xのディスクを認識しない。ハードディスクの名前がダメなのかしら、と思いMacintosh HDとしてもダメであった。続いてファーストマック社のCPUがダメなのか、と思って純正のG3に変更したが、やはりダメ。
 どうやら相性がフィットしないのだろうか?。考えられることを調査したが、ダメはダメというところで、移行は中止をした。

 気を取り直して一つずつ移行したのだが、その一つずつを作動させなければならず、結局は個別に移行したままにして当初の確認作業を終えた。

 続いては、主に外装面での確認である。不足の皿ビスが4本と純正以外のビスが1本。このビス選びはネジ径とピッチ、それに長さはフィットしたものがある ものの、頭が筐体表面と面イチにならない。(下左が純正の沈頭の皿ビス)
 思い切ってナベビスにしたが、今度は頭の1/3が外へはみ出す。いかがしたものか、と思ったが、無難なところか ら、頭は面イチにならないものの皿ビスを用いることとした。(下右代用品皿ビス)
 Mac関係は当初よりことのごとく厄介モノである。チタン、アルミの筐体になってトルクスビスが少なくなったが、今度は皿ビスの角度と頭の大きさが、筐 体への沈み込みの面取り部分とフィットしない。この面はいつまでも個人では一切触るな、という証であろうか。この辺がApple製品をマニアライクとされ ている日本と、支障が無いなら触るなというアメリカとの国民性の違いだろう。

 

 全般として、このPowerBookは使いづらい。ことに筐体の端までキーが迫るキーボード、しかもJIS配列が一般のキーボードでの操作を阻害する。 パームレストに手を置いて左手の薬指や小指で「A」のキーを押しているはずだのに「S」を押している。そんなことから使ってやろう、という気分が高まらな いのだ。また、その大きさの割にしては重いため、ちょいと片手にオフィスをうろちょろするには少々まどろっこしい。
 したがって、我が家では相変わらずPismoを使用している。

 OS X 10.5との相性からすると、OSの要求どおり867MHzというのは妥当なところであろう。ということはクロックが1GHz付近であればいいわけだ。下 位をどのくらいまで、ということになると、何とかインストールに成功しても700MHz程度まででないと、動作そのものがカッタルイものとなり、使うに耐 えないことになるのではないか、と感じる。
 古い話で申し訳ないが、Power Book 540CをPPC化して、OS 8.1までしか対応しないものを、レスエディットでスクリプト変更して8.6まで引上げたはいいが、結局作動が緩慢で使用を断念したことがある。今では懐 かしい思い出である。

 さて、わずか数日間のことではあるが、PowerBook の12インチ、しかも初期の867MHzマシンだ。形はこの間まで販売されていたマシンと同じだけど、僕にとって「良いマシンだ」とは言えない。
 が、もう少しこのマシンを検証して、どうすればいいか、を導き出してから決定しても遅くはない。何しろ、この手のマシンの最大の問題点である「発熱」を 夏に感じていないからだ。結論を出すのは来年2008年の11月頃になるのだろうな。その頃にはMacBookの方が落ち着いているのかもしれない。
 というところで、最初の記事を終える。


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