苺丸が不調を訴える
 虫の知らせというものがあるのだろうか。あれほど快調だったPowerbook150がどことなくおかしいように感じて来だした。そう、作動とかの機能面は全く快調なのであるにもかかわらずだ。当の僕でさえ気づかないことなんで、気分よく使用できていた。ところが、あろうことか、使用を終えて、ディスプレーをたたんだときに気が付いたんだ。
 「あれ、ここんとこは完全に閉まっていたのにどうして開いたんだろう」。それはディスプレーヒンジのカバー部分であった。Duo2300cでもこの部分がおかしいという経験は一度ある。古い話になるが、PowerBook5300csのときも経験している。構造上の違いから、これらの後期の機種は合わせ目をきっちりして、液晶からの配線を整えてやると見事に収まる。
 が、PowerBook140以降、190を除いたモデルでは、メモリーの増設などでロジックボードにアクセスするときに、ディスプレー部分を開いて行うと、時によっては触っていないのにダメージを受ける場合が出てくるようだ。今回のPB150も同様のことが起きていた。
 ことはディスプレー開閉のセンタースピンドル(シャフト)を取り付ける最終の膨らんだカバーの隣が口を開けている。確かに以前は合わせ目はきちんと閉まっていたのを僕は確認している。凸凹のディスプレーカバーのロックがあるはずだから、強く挟んでは見たがダメであった。メモリーを付けた順を飛ばして、前面のカバーを止めているボルトキャップをはずして、#10のトルクスドライバーを掛けたときに驚いた。
 なんとカバーに亀裂が走っている。白っぽいから表面はつながっているが、内部は割れていることになる。一応ドライバーで1/4回転ほど締めたり緩めたりして確認すると、口を開いた側の取り付け凹がスッポリ抜け出てきた。これって相当にヤバイ状態だ。幸いにも以前の150が保管してあるので、そいつからディスプレー部分だけを移植して元通りに組み込みをしたのだが、どうしてこういったことになるのだろうかを検証してみた。
 まず、筐体そのものの強度について、おそらくグレーの筐体はABSが主体ではないだろうか、と予想する。この筐体が変更されるのは日本国内だけ限定で発売されたPB550cのグラファイト塗装のモデルまで待たないとならない。ブラックバードと呼ばれる500シリーズ、Duoは一連のマグネシウム合金のサブフレームに助けられて、この部分の故障はあまり聞かない。グラファイト塗装の5300以降のモデルからは、最初のPowerBook G3のスプリング強度不足を除いて故障そのものは聞かない。PB100は500シリーズからと同様のキーボード取り付け処理がなされており、この部分はスプリングの劣化までは故障が起きづらい構造になっている。
 このことを頭の中に入れておかないと、140以降の100シリーズ(190を除く)はどういった状態でディスプレー部分の故障に対処するかを知らないショップに出すとダメージが出てきそうな気分になる。つまり、内部アクセスするときは、ディスプレーを閉じたままでいい。そして、そのままの状態でキーボードもディスプレー本体も筐体部分から離すのである。この閉じたままで作業を行わずにディスプレーの開閉をやらかしてしまうと、おそらく僕のPowerBookと同様の結果になるようだ。
 ユーザーも100シリーズの取り扱いはもう少し考えて行う必要がある。まず、右効きなならディスプレー開閉ロックを親指で右にやって解除した後、わずかに開くと左手は本体の左手前を持つようにする。右手はロック部分のディスプレー中央部分を押し上げるようにして開ける。とにかく両手で開けてほしい。これは鉄則だ。角度を変えるときも必ず両手でお願いしたい。やむなく片手で行う場合は右手は必ずロック部分を持ってディスプレーを開けるようにして行っていただきたいものだ。片側に偏ると、ヒンジ部分は左右別々だから、わずかにねじれを生ずるのは目に見えている。
 そういえばPB5300が出現したときは、どうしてロックを左に持ってきたのだろう。当初左効きの人が設計したのだろうか、と思ったのだが、どうやら人間様の多くが右効きのため、あえて両手でディスプレーの開閉操作を行ってほしい意味あいを込めて作られているのではないだろうか、と考えてしまった。
 PowerBook100シリーズの欠点、といえば言えなくもないが、思いの外、書物に書かれていない使用法方を実行しないとならないのか、と思うとがっくりくると同時にもっと丁寧に使ってやらないと、精密キカイだからなー、などど物言わぬキカイの気持ちを掴み切れていない、と感じた次第。

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