苺丸(PowerBook150)再び

 6月の2日にかねてから熱望して探していたPowerBook150(以後PB)が東京のマクサスから職場に届いた。苺丸というのはこのPB150に入れ込んでいるグループが名付けた本機の愛称である。Macintoshというリンゴなのにどうして苺なのかは知らない。
 当然、僕もどうして今時PB150なのかを聞かれると確たる理由はなかった。息子の誕生日と高校入学祝に僕がプレゼントした機種である。そのときも「もう今では古い機種だが」といって新しいシリーズを勧めてはみたが、頑として受け入れなかった。理由のもっともたるものはトラックパッドが使いづらい、高価である、の二点で、これらを除外してこのPB150を選んだのであった。僕も少しの不安はあったけれどこの機種のリワーク品を購入した。Duo2300cを購入するまではPB150の隠れた良さは僕にも気付かなかった。
 昨年末、帰省していた息子がPB150が動かないということで本機を僕に託した。まず原因はハードディスクであった。これをDuoからはずした1GBに換装してよくなったが、今度はバッテリーから起動できない。考えられる点は数点だ。まずはバックアップ電池、こいつはリチウム電池でまだ大丈夫。次は本体のバッテリー、これもメモリー効果が皆無とはいえないがまだまだ使用できる。次はACアダプタ、テスター当てると規定の7.5VDCが出ていない。くそ、こいつが放電機の役目をしていたし、つなぎっぱなしになっていたのでバックアップ関係の電力と混合されてどこかに変調をきたしている。簡単な問題ではないようだ。
 それで、本機を購入した東京のショップに修理の見積り依頼をする。これが失敗であった。アダプタも送ってくれ、というので送る。で、見積りが10万円。おまけにPB150では使えないACアダプタを送り返してきた。もう、頭にきて、いくら専門ショップであっても、二度と購入してやるものか、と思った次第。会社が大きくなっても、少額商品購入ユーザーを大切にしないショップはダメであることが今回よく分かった。事実、僕はそのショップにも足を運んでいるのだ。その点、札幌のDo夢はなかなかいい。Duoのトラックボール化を12,800円でお願いして以来、僕のことが顧客のデータベースにインプットされている。だから、電話代は少し(といっても300円程度)かかってもここに注文した方が安いし、中古品の多くはMacすべての専門卸業者から入ってくるので安心できるわけだ。
 そこからこのPB150の中古探しが始まるのだが、全くないのである。本当にQuadra700のときと同じであった。馬鹿にされているのではないか、と思えるほどだ。
 考えられるのは数点である。まずは安い。何しろ総てそろっていても後からお金のかかるマシンであること。丈夫な筐体、Duoと同じ発想感覚、機能を絞り込み拡張性を無視したコンセプト、などである。これが逆にシステム7.5シリーズを総てサポートする、IDEの内蔵ハードディスク、Duoと一定互換性のあるメモリーなど、PB150固有の実力が分かり、急に人気が出てきたのではないだろうか。それゆえ苺丸同好会のようなグループが存在するのである。
 待つこと5か月、Quadra700を購入したマクサスに問い合わせると5月の末に入荷の予定を聞いた。にもかかわらず、一向に金額の提示がない。もういいだろう、と電話を入れて冒頭のことになった次第。金額は17,800円。
 入手して早速、ん、カラカラと内部で音がする。しかし、今回はQuadra700の改造のときと同じく、苺丸同好会のPB150に関することを総てダウンロードしてプリントアウトした資料を持っていたから心配はしていなかったのだ。
 とりあえず作動確認だけ行う。ACアダプタから電源を入れて起動することを確認。シャットダウンして分解にかかる。金属ものを僕の体からはずして、てきぱきと分解する。消しゴムのカスが内部に入っていたりして元のオーナーの使い方がよく分かる。思いにふけっていてもダメ。
 メモリーをハーテックから購入していた20MBに上げる。このハーテックも親切なショップだ。ハードディスクはもとの1GBに換装。カラカラ音の原因は苺丸同好会リポートのとおり、キーボードを止めていたネジの脱落であった。総てを元に戻して電源を投入する。見事に復活したが、今度はアダプタが熱くならない。やはり、バッテリーを通過している。つまり、バッテリーがダメになっていることだ。再びシャットダウン。
 バッテリーを入れ替える。ここで、故障の原因であったバッテリーから起動できるかどうかの確認をする。祈るような気持ちでスイッチを入れる。MC68030マシンのくせにQuadraのグワーンという起動音を聞いたとたんに肩の荷が下りた。この間30分。その日は家に持って帰りシステムを7.5.1にして充電をしながらオヤスミになった。
 翌日はザックのかさは張るが軽いこのPB150を職場に持っていく。実は息子にしばらく使わせてくれ、と言ってある。ありゃ、動かないソフトがある。原因を追究していたところ、どうもそれはシステムを7.5.3にしなけりゃ動かないようだ。その日のうちにアップデートしてOKとなった。
 使い始めると非常に快適である。信じられないかもしれないが、このPB150は今が旬であろうと思う。おそらく、僕が申したようにこの機種が持っているいいところが見直されてき始めているのではないだろうか。MacFan誌の「林檎かわいや」の紹介記事が出るとおそらく市場には出なくなりそうな気がするのだ。同様に紹介されたDuo230はとんと出ない。スタイルが同じの280cも出ない。2300cは僕がやったのと同様のことをすると金が余計にかかる。過去の美しいPB540cの流線型スタイルにもフィットするIDE-SCSIカードのハードディスクが出現したし、そろそろPowerPC化する最後のチャンスだから、この機種も少ない。
 ま、これはこの地方でのことで、秋葉原などをくまなく捜すと出てくるだろうけど、それなりに手を入れずに使うとなると、やはり苺丸の方がいいように思われてならないのだ。そうそう、このPB150のトラックボールの支持は何とルビーが使われている。こういった点でも捨て去るのは惜しいところである。
 ン、苺丸ってPowerBook150そのものじゃないか。1・5・0なーんちゃって。   
 
 

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