PowerBookのゴム足について

 僕の持っているPowerBook G3 400MHz 2000年モデルは、ほぼ毎日使用して1年が経過した。最初のメモリー不良から始まって、P.T.Kの初期不良、保証が切れる直前のACアダプター(ACケーブル共)の交換、これらのこと意外はなかなか快調である。
 使用状況はほぼデスクトップ機と同等の状態だ。極論すると、最初に購入したSE/30の時と同じ状態、同じ頻度での使用だ。酷使しているわけではないが、使用頻度は非常に高い。ACアダプターの不良の時のように、バックアップするセカンドマシンもない状態だから、これが壊れるとなれば、僕の対コンピューター関係は一瞬にして壊滅状態になってしまう。USB、FireWireのポートがある現用Macがないために生じることだ。
 前書きが長くなったが、通称ピズモを使用しての概略状況のほかに、最近になって筐体の不具合が生じて来始めた。合成樹脂筐体だが、堅牢さなどは申し分ない。もちろん、内部はマグネシウムのサブフレーム装備で強度、CPUの冷却ヒートシンクなどで熱の問題もほぼ大丈夫である。ディスプレーのヒンジ状態も問題はない。では、問題はどこにあるのか。
 実はゴム足なのである。この手のPowerBookでは筐体のゴム足はパームレスト側のドライブベイとバッテリー部分の下、それに左右のスピーカー部分の下にある。薄手ながら、中心部が盛り上がってピンポイントに設置する巧妙な形状をしている。今年(2001年)の6月頃から、何となくスピーカー下側のゴム足が気になり始めた。ゴム足は周囲に段が付けられた位置に両面テープで止められている、非常に簡単な方法である。したがって、ゴム足の端は段が付いた筐体部分とツライチになるから、無理に剥がそうとしない限りゴム足の端が取り付け位置をはみ出すようなことはない。しかし、スピーカー側のゴム足の縁が時として触るようになった。特にケースに収納するときなど、ずいぶんと気になって来始めた。そして、とうとう片側が大きくずれてきた。
 剥がして見ると、両面テープの接着剤がことのごとく緩んでいる。テープのベースは問題ないんだが、接着剤が熱で溶けだしてしまう。どうやら内部の熱が筐体を伝わって、両面テープの接着剤を溶かして、PowerBookをケースに収納するときなど、ゴム足が動いた位置でそのまま冷めてしまうから、動いた位置の状態で固定される。この状況の繰り返しで動いてしまったのではないだろうか。
 そこで修正を試みたのだが、保証期間内なら触らない方がいいのは言うまでもない。が、今回は仮に修理したとしても、同じ両面テープのゴム足が取り付けられて戻ってくるのは明白だ。また、剥がれかけたゴム足は変形を少しでも抑えるために、早く対処した方がいい。
 ところが、再取り付けをするにもどういった方法で行うか、簡単なようで意外と難問なのである。
 
 言いたくはないが、以下のことを行っても改造は改造だ。こんな小さなことでもプロショップでの修正ではないから、結果の如何に関わらず責任はご自身でお取りください。

接着剤の選定 
●自動車部品などで使用する耐熱の両面テープを考えたが、残念ながら、薄いものでもテープ自体の厚さがゴム足ほどあって、これは使用できない。
●比較的丈夫な両面テープ。これもベースが厚いため筐体のワクをはみ出してしまう。

この時点で両面テープの使用は断念した。

次に行き着くところは接着剤だ。
◆瞬間接着剤はそのまま接着できるだろうが、接着面のフレキシブルさと接着後の修正が行えない。最悪の場合は筐体のボトムケースを交換ということにもなりかねない。
◆合成ゴム系の単純な両面塗布タイプのもの。はみ出しに若干の不安があるが、筐体そのものがスチロールではないから、接着剤が侵すこともない。
◆高性能の合成ゴム系の接着剤。これもなかなかいいようだが、ベースとなる接着剤そのものが厚い。当然、はみ出しも多くなるし、こういった細々した、片方がゴムというフレキシブルなものと硬い筐体には不適当なものも考えられる。

こう羅列すると、合成ゴム系の接着剤が一番手頃だ、という結果になって、早速やったのだが、これがダメ。バカなことだが2〜3回やった。結果は推して知るべし。うまく取り付かないのである。

 原因がどういたところにあるのか最初は全く分からなかった。接着方法なんて、僕が中学時代から商品名ソニーのボンドマスターで行っている。それから、セメダインコンタクト、そしてコニシのボンドG 17だ。やり方は知ってのとおり。でも、うまく張り付かない。2回やったから一晩ずつ二晩は間隔を置いているので接着後の強度上など間違いないはずだ。どうしてだ。
 
 最初からやってみることとして、注意深く剥がしてみる。「あっ、元のテープの接着剤がわずかに残っている」。これだ、これが接着の確実さをスポイルしていたんだ。さすれば、ゴム足の方もわずかだが接着剤が残っているかもしれない。小さなことだが侮れないな。
 
▼筐体はどうやらABS樹脂で、ブラック(実は濃いこげ茶=エボニー)の塗装を含めて、ラッカーシンナーで溶ける。万一のこともあってイソプロアルコール、あるいはナフサが主成分のZIPPOオイルを使用して、ゴム足の接着面、筐体の取り付け場所の清浄を行う。
▼両方の表面をわずかに細かいペーパーで当たっておく。カスを吹き飛ばす。この時、指で触ってはいけない。
▼後は双方の表面に合成ゴム系のく接着剤を薄く塗って乾かし、お互いを接着すればよい。
■このとき、ゴム足の円周部分を筐体のワクの中に押し入れるようにすることが肝心である。
 
 この修正から2か月経過するが、今のところゴム足は動いていない。早めに対処せよ、と言えないのはこの部分は個体差があるからだ。底板を指で触ったとき、ゴム足の周囲が浮いて指に触れるようになったときは、この方法での修正をやられるといい。

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