Black Birdがまた飛んできた
 520cの全てを何とかして動くようにしてやろう、と意気込んでかかったのだが、ちょっとした理由で、購入した520c単独では上手く行かないことが判明。その理由は、筐体の一部の大きな破損であった。何がどうなっているのかは、最初のうち全く分からなかった。清掃がてら筐体をバラしたところ、外側の左奥(ディスプレーに向かって右奥)に一部土が付着していたのが、どうやら落下によるものらしく、筐体の足の部分で金属(マグネシウムらしい)フレームへの挿入部分の上半分が全くなくなっていた。同様にサイドを囲むコの字の部分も、それと一体になったフロッピードライブの蓋も一部割れていた。コの部分を含む筐体のボトムケースそのものは新品ででもかなりの金額を要する。以前Hard Offで見つけておいた520のジャンクは既に誰かの手に渡っていて、スペアパーツ用の520そのものの状態のいいものは金額面からしても探すのが困難であった。

 520購入から1か月後、東京出張の折、何気なく秋葉原の秋月電子でリード付きのNi-MHバッテリーを1個120円で見つけ、12本ばかり購入して帰った。これ以後、500シリーズ関係が一気に浮上し始めた。まず見かけたのは札幌のDo-夢で中古が8,000円ほどで出ていた。すぐさま売れるだろう、と思っていたが、これがしばらく残った。やはりCPUのMC68040と作動OSの関係から、どうしても一般受けはダメなんだろうな、と思う。同程度の金額なら、5000シリーズの方がはるかに一般受けするのだろう。
 もう一点は、幸い僕が入手した520cは540のマザーボードに置き換わっていたから、絶対のCPUパワーはそんなに遅いとは感じなかった。
 そうしている内にPowerBook G3が修理から帰って、抜群の能力を発揮し始めだしたし、その間、Duo 2300cでずいぶんと苦労していたので、どうしても日常使える業務の一部をサポートする、そこそこのマシンが必要になったところだったんだ。それゆえ、Duoと同程度でイーサーネットが使用できるもの、として500シリーズを選んだ。もちろん優雅なスタイルにも気を引かれたし、ACアダプターの接続部分が独特だが、いい機構になっていたからに他ならない。ハンディキャップは使っていなければ、メインのインテリジェントバッテリーが逝ってしまい、逝ったまま使用しているとPowerBook100のバックアップバッテリー同様に500シリーズもこの内蔵のバックアップバッテリーを消耗してしまう。これらのことを気につけて、細かに使用してやっていれば、なかなかの性能を持っているマシン、ということがいえる、と僕は確信している。
 しばらくの間インターネット上でも、Yahooのオークションででも、500シリーズはなかなかいいものが出ない。そうした矢先、2002年 2月 8日に松山は勤労開館で同日に二つの会議が連続して開催された。その休憩時間の15分を利用して、隣のHard Offへ出かけた。店内に入る前は不思議と何も意識してなかった。そして、ことはやって来る。

 いつもどおり、ジャンクコーナーのスペシャル部門(?)のような右奥のコーナーに「ここに520がこの間3,000円で出てたのに... 」と思いながら、以前置かれていた場所を見ると、同じ500シリーズが1台... 、ひっそりとマニュアルとAC付きで置いてある。リッド(ディスプレー)を開けられないような方向に透明のラッピングがしてあるから520か、540かはっきりしない。550cはグラファイトの筐体だから一目同然だが、500シリーズの全ては外見からでは一切判断できない。表示された金額は10,000円だ。高いか安いかは考えない。しかし、異例に綺麗なんだ。
 フ〜ム、どうしたものか?。まずは可能な限り調べてみる。AC、マニュアルがいっしょになっているから重さも判断できない。しかし、どことなく全体が重いのである。やおら、通常と逆の左のバッテリーベイを外して叫んだ(オーバーなウソ)!。何とツインバッテリー仕様だったのだ。バランスが良かったのはツインバッテリーだったんだ。
 ここまでになると、信頼のおけるショップで少しでも中古の保証期間のある場合だと、まず合格点が与えられる品物だ。特に少し古い機種を知っているところなどでは、担当者の経験で、外観からだけ判断しても一発でOKを出すような、それほどの品だったのである。隣では富士通のこれまた美品のFMシリーズを抱えてらっした60手前の方がそそくさとレジへ運んでいた。
 520でも540でもいいではないか。このマシンはなかなかの代物だ。今を逃しては、そう、この15分後でも無くなっているかもしれない。考えるのはここまでにして、この500を鷲掴みにしてレジへ急いだ。金額は消費税込みの10,500円。チト高かったかな?、と思ったが、時間が時間。会議開催5分前に会議室へ入った。この品物がとんでもないものだった、とその時はまだ気付く由もなかった。
 心は少しばかり晴れた。購入したものが期待外のものだったりするのが一番良くない。今回の500シリーズはどことなくこの感じを抱かせるものが少ない。皆無といえないのは520か540か分からない、というこの一点だけだ。
 会議も懇親会も今の僕の精神状態からすると最高のひとときになった。松山駅前のサッポロ大将のラーメンチェーン店で軽く夕食を摂って20時25分発のアンパンマン列車で帰路についた。

 帰るやいなや、やおらシールを外す。リッドを開けて「おお〜」と息を飲んだ。何と540cではないか。これだけなんだが、まるで向こうから僕に使ってほしい、とやってきて僕が受け取った、という気分に陥ってしまったんだ。
 とにかくバッテリーのチェック、これは520のところででも申し上げたが、インテリジェントバッテリーという、バッテリーパック自体に頭脳(もちろん電子の)を持たせ管理させているものだ。
 当時はそれで良かったが、バッテリーセル自体の劣化もしくは使用頻度が低い場合の頭脳の判断ミスによって生ずる「バッテリーはダメです」のメッセージを無言で言い続け(?)、しばらく後にバックアップバッテリーまで消費劣化でACのみでしか作動できなくなる、そういったメインバッテリーなのである。それゆえ、とにかく電源投入とバッテリーが生きているかどうか?。これが今後の重要課題となるわけだ。
 ACアダプターを接続して作動させる。相変わらずタッチの悪いキーボードに閉口しながら、SimpleTextで文字入力を行う。メニューバーのバッテリーアイコンに稲妻が入っているから充電しているのは間違いない。幸いJeremy's CSMのバッテリーチェッカーが入っていて、左右両方のバッテリーは生きている。これは実にお目出たいことだ。OSは7.5.1とわかり、シャットダウン。このまま一晩ACアダプターを接続したままにしておいた。
 翌日、朝一番バッテリーがフル充電を確認。午前中に540cをどのようにするかを検討。昼前に確認の意味もあってバラす。内部は全てに渡ってApple出荷当初のままだ。12MBのメモリーモジュールは赤いリンゴマークのシールが貼ってある。内蔵モデムも確認。フムフム、添付のマニュアルをめくっていると、前々オーナーから前のオーナーへのガイド的な一文が落ちてきた。とすると、前のオーナーは結局のところ、この540cはどうも使えなかったか、使う気にならなかったので放出してしまったのだろう。すると前々オーナーはADBのキーボードとマウスを使用して使っていた、と判断した。流石に大画面のディスプレーに負けて新しいAppleを購入したため、前オーナーに譲った、と推測した。
 まずは、ハードディスクを520cに搭載していたSCSIカードを背負わせたIBMのIDE1GBと16MBのメモリーモジュールを入れ替えする。同じ状態で使用できているPowerBook 150とローカルトークで接続し、じゃんじゃんと540cへ移す。遅いのなんのってありゃしない。この作業で半日が潰れた。夕刻インターネットをどうするかで悩んだが、結局AppleがリリースしたInternetスタータキットをインストールして設定を行って接続可能とした。
 これで、すべからく僕用のPowerBook 540cの使用環境が整った。PowerBook G3ででもずいぶんと重い内容だな、とバックアップの時に感じるが、この540cの当時は、ずいぶんと手こずったに違いない、と感じてしまった。特にフロッピーディスクに分割してのバックアップだから相当数のフロッピーディスクが必要であったはずだ。そういえば150に附属していたバックアップユーティリティで息子が使っていた当時のをやったことがあるが、総量で120MBのハードディスクをバックアップするのにフロッピーディスクを20枚ほど使ったのを思い出した。
 いずれにしても、今回の540cは出物腫れ物ではないが、いい買い物であった。しばらくはDuoとどうするか、で悩まなければならない。そう思った矢先、とんでもないところで540cを使用しなければならなくなってしまう出来事が起こる。そして、ノーマルの540cの実力がナカナカのものだ、と確認する一件が待ちかまえていた。
 



 

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