バッテリー接点について
2002年11月も末になった頃、突如としてPower Book 540cの動きがおかしくなった。というよりは、起動しなくなる回数が非縦横に多くなってきた。バッテリーを外しACアダプターで起動するとうまくいくとき。その後バッテリーを装着し、シャットダウン。翌日は起動しない。何とか成らないものか...
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まずは、バックアップバッテリーを疑った。しかし、ものの数時間作動させると時計などは上手く動く。この面は劣化してはいるが、大丈夫の部類ではないだろうか、と判断した。しからば、メインバッテリーか?。
いきなりのことで申し訳ない。冒頭のように動かそうとするとピロピロリ〜ンとくる。時にはギャーともいう。この困った症状に手が出せない状態であった。原因が分からないのだ。総ては上手く作動しているのに...
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とりあえずやったことは、次のとおりだ。
1. ピロピロリ〜ンが鳴るままで数回リセットする。
◆これは何度やってもこの状態から抜け出せない。
2. 強制終了させてアダプターを抜いてスタートさせる。
◆これも1と同じように何度やってもダメ。
3. バッテリーを外してアダプターで作動させる。
◆この場合は上手くスタートする。
4. 作動させてバッテリーを装着し、シャットダウンの後スタートさせる。
◆これも上手く行く。
このことから考えられるのは、問題の多いメイン(インテリジェント)バッテリーだろう。
さて、このメインバッテリーなのだが、まだ生きている。もう一個持っているが、これと交換しないまでも、1時間程度は持つ。それゆえのことだ。連結可能な端子付きのNi-HMバッテリーがあるので作成してもいいかな、と思っている。今の所バッテリー自体は問題がない。では、どうしてか。
本体との接触端子は数回磨いた。その都度数回は良好に作動する。それで上記の結果だ。
丹念にバッテリーを見てみると、どうやら、点接点によるバッテリー側の端子の劣化だ。黒ずんでいる接触部分が微々たるものだが深くなっていくように感じる。
とりあえずは、接触面を磨いて良質のハンダを少し盛ることにした。少しばかり両側の絶縁面が熱で広がるが、一か所ずつの作業が終了し、数分置いてからにすれば多少回避できる。段は細いヤスリでならしておこう。
接触しているか所の実際ではどうなのか?、という素朴な疑問が僕の頭に生じた。
当然と思うが、接触部分は金メッキである。金は錆びないという。最近の接点部分の多くはこの金メッキが施されている。たとえ24金であっても22金であっても金の含有率は多い方に属するからこれはこれで大丈夫だ。
しかし、マザーボードの端子との接触面に黒いくぼみが出来るのはどうしてだろうか?。
別項でも記載しているが、この部分がPower Bookの欠点の一つでもある。これがほぼベストな方法で改善されるのはPower Book G3になるまで待たねばならない。 もう一つはメッキされる材質の問題だ。500シリーズの場合はどうやらマザーボード側の端子の材質の方が良質のものを使っているからではないだろうか。そして、メッキの材質もいいもののように思う。おそらくはリン青銅板に錫メッキ、その上に金メッキが施されているのではないだろうか。
対するバッテリー側は、もしかして鉄板にニッケルメッキの後で、金メッキをしたものではないだろうか、とも感じるのである。
このハンダ(メッキ的)処理をして数週間、ピロピロリ〜ンは一切でなくなった。このことは特筆できる。
ところが、どこかのサイトですでに発表されているかもしれないが、P-RAMバックアップバッテリーとメインバッテリーの関係での問題が生じてきだしたのである。順調な作動に関わらず、バックアップバッテリーが不安定な動きを示すのだ。
しばらくの間、Power Book G3ででもACアダプターを使用して使っているから、このことには僕もあまり感じなかったのであるが、500シリーズに使われているインテリジェントバッテリーというのは、(オリジナル)Power
Book 100のように、メインバッテリーがおかしくなると、最終面、そう「10秒後にスリープに入ります」というメッセージが出せるまで、メインバッテリーに微量な電力を送り続けているのではないだろうか。そして息絶えたとき、このメッセージが出るのではないか、と感じた。
すぐさま、ACアダプターを装着する。それで作業終了まで使用を続け、数時間後シャットダウンする。ACアダプターを外して保管。
翌日ACアダプターを装着して使用すると、起動はするが時計などがデフォルトになっている。メインバッテリーはOKだ。どうしてだろうか?。
と、いうことは、500シリーズの回路設計上、ACアダプターからの電源は、メインバッテリーを充電しつつ、メインバッテリーを通してバックアップバッテリーを充電している。しかもその制御はインテリジェントバッテリーのROMに支配されているのではないだろうか、と考えたのだ。
したがって、まずはメインバッテリーの状況が悪い場合は、本来ならバックアップバッテリーにのみ充電されるのだが、メインバッテリーのROMがそれを許さない方向に働いているのではないか、と想像してみた。
何かキツネに包まれたような話だが、見かけ上、メインバッテリーもバックアップバッテリーもダメといった場合は、次のように確認をお願いしたい。
○メインバッテリーをテスターソフトで確認すること。
(両サイドにバッテリーを装着している時は右のベイにのみ装着して確認する。)
○少しでも生きていれば、そのまま二昼夜ACアダプターを装着したままにする。
◆ここで、バッテリーから立ち上げができれば、シャットダウンし、ACアダプターを装着し立ち上げて、時計などがデフォルトになってしまう場合は、次のようにしてみる。
□メインバッテリーを新品に交換して二昼夜充電する。(充電途中で使用する場合は必ずACアダプターを装着したままにしておくこと。)
□バッテリーから立ち上げて、しばらくの後シャットダウンする。
□再びACアダプターを装着するか、もしくはバッテリーから立ち上げて、時計などがデフォルトになっていれば、バックアップバッテリーの交換、ということになる。
僕の想像では、この確認法方はあまり公表されていないのではないだろうか、と感じる。はっきり言って、バカげているかもしれない。500シリーズがリリースされた当時は現在のようにAppleのサイトでもこういったことの確認はなされていなかったろうし、保証期間が経過したものなどは、相当な金額を支払っての点検(修理)をされた上でバッテリー交換、という結果に落ちついたのではないだろうか。
こういった例でもっともたることは薄型のモデルLCで確認されたことだ。
起動はするが、ディスプレーは真っ暗の症状が出た場合、その結果はマザーボード交換であった。このことが頻繁に起こったため、Appleでもおかしい、と感じ始めたのだろう。原因はバックアップバッテリーの交換だけで終わるのだが、それに気付くまでに相当数のLCのマザーボードが交換されたり、新品に買い換えされたりの状況になったのは有名な話だ。
500シリーズが廉価で一般に普及していれば、インテリジェントバッテリーの状況、回路上の特性などがもっとディスカッションされていたのではないだろうか。残念ながら、たとえPPCマシンへの変換を約束されていた500シリーズだが、1年と数カ月を待たずに5300シリーズが世に出てきた。
もちろん、大きな欠点を5300シリーズが抱えているのだが、603eのPPCがもたらす基本性能自体は向上していたのだから、いくらディザインが優れ、PPCを約束されていた500シリーズであっても、決して帰ることはなかった。