Power Book 520c 不思議な縁(その1)

第1幕
第1場 あらすじ
 前号(No.50)でPB 500シリーズの粗方の欠点のようなことを出して、540cの息の根が止まったことからお蔵入りをさせた報告をいたしました。その後、手持ちの520cからのロジックボードの移植なども考えたのですが、いかんせん、分解してみると、やはり筐体の一部が内部破損しているし、インテリジェントバッテリー、内蔵バッテリーなど、多くのものがダメになっているのを確認して、「これまで」としていたわけです。時を同じくして、PPC Duo 280c の購入も手伝って... 。
 でも、「やはり、いいな〜」、と記載したところで、どうしてもDuoでは感覚として500よりも古い感じがしてならなかったのです。わずかに2か月の間でしたが、HP上での日記などの更新の少なさなどからもお分かりのように、Pismo以前のメイン機種だったDuoがこんなに使いづらいものだったのか、と改めて感じてもいました。この感覚の裏には540cを使っていたから分かることだったのだろう、と思います。
 何とか500シリーズを再び家庭の中でのんびりと使いたい、そのためには何としても筐体をはじめ、全体として程度のいいものを見つけ出す必要があるのではないか、と考えていたときでした。ヤフオクにも数点出てまいりましたが、どうも帯に短し襷に長しで、入札を躊躇してしまいます。2台をぶっつぶした経験から、500シリーズ本体の粗方の欠点は分かっていましたから、何とか自分の目で直接確認しての購入をしたかった、というのが、偽らざる気持ちでした。
 もちろん、思い切って1400シリーズを購入すればいいのですが、ここまでになると、大きさの点などからPismoをバッグに入れて家と職場を往復させればいい、ということになってしまいます。また、ちゃぶ台から大きくはみ出す筐体よりは一回り小さいオールインワンのPCとして、5300で苦汁をなめさせられた私としては500シリーズの方が好ましい、と勝手に考えているだけのことなのですが... 。

第2場 思いがけない出会い
 2003年 5月17日、所用で松山へ出向きました。本来でしたらオートバイで出かけるところだったのです。が、朝っぱらからパトカーのサイレンの音と「○○○○止まりなさい」というスピーカー音。そうか、交通安全月間だから、JRで行こう、と決定したことから始まりました。
 目的の場所が定かでなかったために、早い時間の列車で出かけたのですが、その場所も確認でき、時間の余裕があったため、宮田町のハード・オフへ出かけました。
 店内にはMacをはじめ、Apple関係はいっぱいあったのですが、連休で都会からの客などに買われていったのか、タマはずいぶんと少なくなっていました。Quadra 650は瞬く間に売れたのでしょう。
 ところが、最新機種がチラホラ見受けられ、特に少し前にリリースされたiBookは粒が揃い始めていました。ふしぎですが、こういった最新の機種は都会の方が中古は廉価で店頭に並ぶのでしょうか。
 ジャンクの棚に行きますと、「ここで520cを入手し損ねて540cを見つけたんだ...」と思った矢先、ディスプレーが閉じられたままの見慣れたマシンに目がとまりました。「そんなバカな」、そうなんです、手に取ると520cではありませんか。目立ったキズもなくきれいです。何となく訴えかけているような、そんな気分を醸し出しているのです。バカげていますが、においを嗅ぐといつもの新品の匂いがあるのです。もしかして、とリッドを開けると「5,000円、起動しました、ハードディスクはフォーマッタ済み、AC以外全くなし」。
 人間コンピューターが即座に動き始め、手持ちの520c、540cが浮かび上がり、「どれをどうすれば生きる」、の決定が出来て、あわてて棚の上から取り上げてレジへ運んでいました。

第3場 後悔先に立たず
 帰りの列車の乗客が少なくなって、520cを取り出して確認しました。筐体はシンガポール工場で組み立てられたものです。金型の違いなどもありますが、エッジが若干立った筐体になっているようです。
 そうこうする内に、ディスプレー下のフロントカバーがポロリと落ちてきました。リッドのディスプレー側を押さえると、案の定ガタついています。この場合は完全に内部のいつものところ(フロントカバーのノッチ、もしくは位置決めのダボ)が破損しているのは間違いないところでしょう。
 キーボードはかなりテカっていますがトラックパッドは綺麗。ということは、マウスを使っていたのは明白です。
 リアカバーは非常に綺麗です。もっと驚いたのは、ACコネクターの端子が光り輝いていることでした。前号で申しましたとおり、この部分はDuoと同じようになる1400シリーズになるまでは「要注意箇所」なのは言うまでもありませんから、相当に助かります。
 この時点で、「もしかしたら... 」という感じが沸いてきました。おそらく購入した当時のままを保っているにではないか、ということです。
 帰宅して、とりあえず電源投入を試みます。ACを接続してしばらく後、スイッチオン。いつもの起動音の後フロッピーマークに?ですから、表示に偽りはありません。が、思わぬ落とし穴が待ちかまえていました。OS 8.0のCDから起動を試みるのですが、何度やってもハードディスクを認識しません。確実に回転音、シーク音が聞こえるにもかかわらずです。
 手持ちの320MBのハードディスクと換装していれば... 、と悔やむのですが、その時は別の面に注意が行ってまして、ハードディスクの交換なんて考えつかなかったのです。

第4場 やはりダメか
 いきなりですが、バラしてみることにしました。
 バラして確認すると、同じIBM製の320MBハードディスクにもかかわらず、取り付けられていたのはアイルランド工場製のもの、メモリーはアップルが保証した12MB、CPUは68LC040の25MHzといったものでした。
 まずは、メモリーを外す手前、CPUドーターカードを手持ちの33MHzと16MBのメモリーに交換しました。そして仮組でOS 8.0のCDから起動。やはりダメです。
 次はハードディスクを交換。今度はハードディスクにインストール済みの7.5.5で起動するのですが、そこから文字化けと爆弾マークが出て、リスタートを要求します。つまり何度やってもダメ。結局CPUをもう一度別の33MHzに交換して見たのですが、やはりダメでした。
 次に行ったのは再び元の25MHzのCPUと12MBのメモリーに戻して起動してみたのですが、やはりメモリー不足でボムします。
 アチャー、どうもマザーボードそのものがダメになっているようです。もちろんドーターカードとメモリーは疑うものでしょうが、私の感覚からどうもマザーボードの方がイカレている、と感じたからの行為です。
 後は野となれ山となれだ。エ〜イ!3台のマシンからパーツを取って1台のブラックバードを作ることしてやれ。

インターミッション(休憩)
 どうしてブラックバードをこれほど気にかけるようになったのでしょうか?。一つには出会いがあります。最初の520cがのいきさつと2番目の540cの関わりから始まったようなことでした。特に540cはずいぶんと整備してきたつもりです。
 そして、2台目となるはずの520cを見つけ、この間まで生きていた540cを購入した同じ場所で再び520cを見つけて購入し、今回のことになった、というわけです。何かの縁としか言い様のないものです。我ながら不思議なのです。
 折りしも、ヤフオクで520cのPPCにしたものが出ていたのですが、入札時間最終1分前で、結局のところ20,000円近くにもなってしまい、入札を断念したのです。そうまでするなら、最良と思われる本体を持っておいて、別に中古のPPCカードを購入した方が、よほど気が利いているのではないでしょうか。
 その裏には私なりの経験と勘が働いているのですが、これは後ほど記しましょう。
 もう一つ加える必要があります。それは(2003年5月の末に)クラシックボックスさんのウィークリースペシャルに、「あっ!」と言うほどの520cが出ていたことでした。少々値は張りますが、ちょうど思いがけない入金があったし、これまで手を入れてきたブラックバードだから、少しでもよりよいものを手元に置いておきたい、という思いから購入に踏み切りました。
 
 つづく
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