映 画「南海の狼火」の...
/// 映画ロケから(その1) ///

 何てったて宇和島でロケやったんだ。小学校3年当時だから、おぼろげな 記憶を頼りにすると、夏休み中の暑い晴れた午後だったように記憶している。今では場所は移動しているが、和霊小学校の竹筋コンクリート製プールを別とし て、当時、母校の鶴島小学校は新しい学校プールを持っていた。本来なら海で泳ぐだろうが、と言われるのはごもっともだが、当時ですら、南海の狼火に出てく る桟橋付近で泳ぐことは困難であった。それほど海は汚れていた。
 先に赤松遊園地のことを記したが、ここへ行くにはお金が必要。当時の道路事情からすると「はまちどり」という焼玉エンジンの小型ボートが主であった。赤 松遊園地で泳ぐには数百円は必要だったんだ。
 その意味では塩水を飲まなくてもいいし、自転車で行けるし、無料で泳げる学校のプールは格好の遊び場所だったのである。

 そのプールからの帰り、「ロケやってる」ということを聞きつけ、数人の仲間とともに鶴島小学校から西南へルートを採り、レンコン畑の中道を通り、長池か ら明倫町のガスタンク... 、と子供ながらに考えたが、このルートはダメ。今の陸地は当時は海、住吉町へ行くには少なくとも栄町(現栄町港)にあった渡し舟を利用しなければ短距離で 対岸へは渡れない。
 そのことに気付くまで数分もかからなかった。急遽、東高校の横から山田別荘前(現在のリサイクルショップ)を通って御浜公園前の通りを走り平和薬局(今 の松下釣具店)から少しのところを左折、迂回をして臨港道路から築地の埋立地へ行く。
 空は若干の雲があるが、青空が支配していた。すでにロケ現場は黒山の人だかり。その見物客はカメラに入らない撮影場所の近くの位置に立っていた。今僕た ちがいる場所とは向かい側になる。そこへ行くにはロケ現場を横切る必要がある。
 ところが、よくしたもので、位置は遠いが、間もなく僕たちの目の前で打ち合いシーンのリハーサルが始まる。ロケ現場がシ〜ンと静かになる。人物は小さい けどゆっくり見られる。柵代わりのロープも無いし、この場で何の苦労も無くロケが見られる。もはや異動する必要はない。自転車に施錠をして炎天下に突っ 立っていた。

 俳優が「パーン、パンパン」と口で言いながら拳銃を撃つアクションをやり始める。2〜3人の人がえん堤の方へ走り始める、としたシーンを数回リハーサ ル。誰が小林旭やらさっぱりわからない。「キッとあの中に居るんだ。そうに違いない」。
 これは面白いことになってきたぞ。が、次のシーンが一切始まらない。向いの観客がざわつきだした。
 帰るか?。そうしよう。「ロケってつまらんものだな」と思いつつ帰宅した。

 そう、実はこのシーンが映画の中では明るい夜、小林旭がえん堤に座って「さすらい」を爪弾いているとき、悪役が来る、という場面である。当然、リハーサ ルをやったシーンは編集でカットになっている。映画でもこのときの打ち合いシーンは無い。
 大塚邸の裏が滝付きの豪華な庭=滑床渓谷の雪輪の滝、闘牛大会のとき、ダムサイドへ来い、という手紙にしたがって行った場所は大洲の鹿野川ダムという、 地元の人間にとっては不思議なシーンだが、僕の見たロケが実はあの夜のシーンであったと気付くには大人になってからのことであった。

今のその場所は
 ともかく、お早うサイクリングで見たとおりに、大塚邸はそのまま残っていることは判った。商店街の丸常洋品店も、丸の内パチンコも健在だ。店構え、周囲 の状況などは変わってはいるが、同じ場所に同じものがあるというのは、今の時代としては珍しいものだ。

 

 そうすると、こういったことから、僕流に南海の狼火をネタに、観光目当てとして小誌www/Gridで紹介してみよう、と決めたのだった。
 な〜に、簡単なこった。三浦丸はすでに廃船。盛運桟橋は今は陸地になっているが、手前にあった隣の建物は形は違うもののホテル石橋としてそのまま存在し ている。旧宇和島運輸前で野村=小林旭が闘牛をトラックに上げるシーンはあそこ...。このように自信たっぷりで「現在のその場所探し」に出かけたのはい いが、闘牛を運ぶトラックが海沿いの道を曲がって来る。
 悪役側の連中に襲われ、海女さんがサザエを投げつける。そして念仏の政=宍戸錠が現れる最初のシーンで大きくつまずいた。
 トラックが来る、悪漢が襲う。そして海女さん...。一目で「ここだ!」という場所が思いつかない。いくら「ここらしい」と設定しても、どこか違う。入 梅前の2007年6月。全く八方塞に追い込まれた。何でこんなに焦るのだろう?。自問自答するが明確な理由は出てこない。
 一連の流れからして、場所を変更してフィルムを合成(合体)したとはとても考えられない。小林旭=野村が登場して政とやりあうシーンまではタイムラグが あるにせよ、同一の場所だ。一体どこなんだろうか?

 と、したところで、続きは次回へ。


 
inserted by FC2 system