2001年 1月29日
どうも合点がいかないから、メインジェットを#180に上げる。異論はあるだろうけど、元の感覚があれば、上げてみてダメな場合は下げればいいから、数種類の番手を用意しておけば、この方法の方が簡単ではないか、と感じている。
コースは宮下の堀切からのショートコース。加速が急に鈍くなる。それでも息付きが4000rpmぐらいからに上がっている。アイドリングも1300付近で最適回転だ。
しかし、加速の感覚があまりにリッチ過ぎるようなので、急遽、元の#165に戻す。その時にパイロットスクリウの戻し回転を2回と5/8にセットした。市街地なので飛ばすことも出来なかったが、妙にいい感覚であった。
インターミッション
昨年11月からバイカーズステーション誌のキャブレター特集を読んでいる。TMR、FCRなどと以前のキャブレターと形式が異なるキャブが多いかもしれないが、付帯していないものは飛ばせばいいのだから、結構参考になるところが多い。
12月号で、モトリバティーがリリースしている「ダイノジェット」の紹介記事が出ていた。ハーレー用だったが、ここにはSRのキャブと同じような形のものが出ていた。ステージ1のキットパーツの内容を見ると、「スライドピストンの負圧取り出し用穴の拡大ドリル刃」、「ダイアフラム反動作スプリング」、そしてニードルとジェット類、それに、トップキャップという構成だ。
最初は何のことか分からなかった。が、キャブをバラして再組み立て、テスト走行を行っていくと、概要がつかめだした。SUなりCVの負圧キャブレターはアクセルワークに対して寛容だから、VMに比べるとかなりカッタルイ思いをする、というのが通説だったが、最初に記したように、この面は現在かなり改善されているようだ。通常、この手のキャブはアクセルを引いてもジェットニードルのあるピストンは動かない。その前にある円盤状のバルブの開度が変化するだけだ。
混合気が引き込まれる速度に応じて、ピストンが上下する。したがって、それを元の位置に戻すのが反動作スプリングである。そうか、ピストンの動きを活発にするために負圧取り出し用の穴を開けるわけだ。そして、ダイアフラムの動きを活発にするためスプリングを弱くする。
もちろん、ジェットニードルの材質と形状、メインジェットの形状などが違うが、キャブレター本来の動作を改善させるための基本として、ずいぶんと参考になった。
2001年 1月31日
午後、モトリバティーにダイノジェットの件で電話。SR用はなかったのだが、ずいぶんと実際面でのことを教えていただいた。SRが現在でも継続生産車ということもあり、開発を行っていた方がよかったかもしれない、ということだった。
また、ジェットニードルがダイノジェットの場合は重要と考えている。いたずらに、スライドピストンの穴を広げてもいけない。やるとしたら、(ダイアフラムの)スライドピストンを押さえるスプリングを若干緩いものにすれば、結果が出るかもしれない、というサゼッションをいただく。
急遽SRに取りかかる。
フロートチャンバーをはずしてメインジェットをはずす。「あれ、どうしてこのメインジェットの穴の周囲はロート状になっていないのかな?」。ダイノジェットの紹介記事で見落としていた部分があったようだ。同じミクニのキャブでもメインジェットの種類によってどうも仕上げが異なっている。燃料取り入れ口は、SUDCO
MIKUNIのジェットのようにロート状に仕上げてあるべきだ、と判断した。
以下は改造になります。作業中、作業後の状況で、いかなることになろうとも、手を下したご自身で責任をとっていただくよう、お願いします。
考え方はこうだ。
(今回、写真が間に合わなかったので図示した。ご了承の程を。)
とりあえずの処置として、ざっとした作業だが、次のように行う。
早速ショートコースでテスト走行を行う。ウ〜ン、息付きが出ないゾ!、不思議なことだ。
2001年 2月 3日
節分の日、松山出張の前にSRの確認を行う。
いつも通りのエンジン始動、何のことはない。全くいつも通りだ。1分ほどのアップの後、ショートコースを含めて、そこら近所を走り回る。どのようにしても、息付きはしない。妙に排気音もWR426に似た音になってきている。もちろんエンジン自体が違うが、ストックのWR426公道仕様の音質に近い。今までのようなパンパン、パタパタというかなり乾燥した音ではない。吸排気系が上手くいっているのではないだろうか。
ちょうど、ストックのエキパイに4インチのロングスーパートラップマフラーを装着したような音だ。シリンダーの温度も外気の冷たさを差し引いても上昇はしていない。若干1速と2速の間が広いと感じていたが、それもある程度リカバーしているようなエンジンの回転上昇である。
まぁまぁのコーナーはリアタイヤがスライドする感覚が完全につかめるようになった。運動性能も車体とエンジンとのマッチングが少しずつ良くなって来だしたようだ。
しばらく乗っていると、思い出したことがあった。何だろう、そうだ初期のSR500にヤジマの3インチロングスーパートラップのマフラーを付けていたときのような感じだ。エンジンがスッとストップしだしそうになったりするところもよく似ている。そうだそうだ、こういった状態だったんだ。そう、こういった感覚がSR500の本来の姿だ、と決め込んでしまう。
まとめ
好調さはいいのだが、ひやりとする場面も出てきた。ブレーキの確実さを出すためにはブレーキをかけるタイミングを若干早くしないとならない。もはや、ストックのブレーキでは限界かもしれない。
先のエアダクトの改造と今回のメインジェットの加工だけで、これほどの変化をするとは実際信じられないが、事実は事実である。しかし、一般にはお勧めはしない。理由は、シャシーダイナモなどの計測装置もないし、ストックの500と乗り比べることも出来ない。僕の感じたものだけでのことだからである。大型二輪の免許所有者も少ないから、僕のSR500に乗ってみてくれ、といえる相手もこの辺では少ない。
おまけに、僕のSR500は排気系点火系を変更し、乾式クラッチにして、重量フライホイールを装着している。これらは若干の関係があるのは事実だ。しかし、変化は変化として存在する。この辺の兼ね合いは現時点では証明できない。
僕としてのこの板挟み状況が分かった上で、実験をされた方がいらっしゃれば、結果を報告いただきたい。
唯一の事実はダイノジェットのキットに付属しているメインジェットは僕が行ったものが施されている。この手のメインジェットはパイロットなどのようにホルダーの中に入り込む装着方法は取り入れられていない。
現在、ダイヤフラムの反作動スプリングとジェットニードルを検討中である。すでに、数種類手元に来ている。次回はこれらを装着しての結果をお知らせしたい。
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