SRのタイヤ 交換インプレッション

 これほどタイヤで悩んだのは珍しい。かつてのインチ表示がめっきり少なくなってしまい、メトリックでは扁平率とリム幅の関連がモロに跳ね返ってくる。一つでもサイズを間違うとタイヤ本来の性能と車体の性能がアンバランスになってしまう。写真で見るのと、実際では大きく異なるのである。そういった中で、今回はダンロップのGT501をチョイスしたのだが。大成功であった。理由は装着した時に報告したが、加えて、アサカワトライアンフにエイボンの同じようなパターンのタイヤが装着してあることも参考にした。
 さて、装着前にやっておかないとならないことがある。それは、ふんどしと呼ばれるニップルパッチゴムの確認である。SRにドイツメッツェラーが装着されていた頃は、この部分は合成樹脂製のふんどしになっている。そいつがうまくニップルの頭にきていればいいが、案外蛇行をして、ニップルの溝部分を超えているものが多い。トライアンフなどはこの部分が幅広の良質ゴムでできていて安心なのだが、SRでズレているような場合はテーピングするか、ふんどしを取り替えて欲しい。
 装着はいつものように行う。が、メッツェラータイヤの耳が相当強くリムに合わさっているので、はずすのに苦労することを憶えておかれるよう、お願いしたい。出来ればタイヤチェンジャーマシンを使用した方がいいかもしれない。実際、僕もプロの手を借りた。
 さて、走行に移るのだが、一皮むけるのに、やはり1000kmは必要である。それまでは通常のグルーブパターンではないから、横へ流れる感覚が支配する。おまけに、リアはGT501推奨のリム幅より小さいから、一般路では接地面も少なくなっているはず。そのために低速でコーナーを抜けるときに数十センチぐらいの感覚でスーっと横に滑るのだ。この特性だけ頭の中に入れておけばいい。
 1000kmを越えると、この特性が体の中に入っているし、上下の重心点が今のバイクより少しばかり高いSRではヒラリヒラリより、パタンパタンの感覚でコーナーを過ぎる。この感覚は僕など、昔からバイクに乗っていらっしゃるライダーは、フロントが19インチタイヤだったから腰を入れてバイクを寝かせてコーナーを抜ける方法を知っているから大丈夫だろうけど、今の教習車で免許を取られたライダーはオヨヨというおかしい気分になるはずだ。
 ところが、GT501では同じパタンパタンでも、路面に対しての食らいつきがいいし、滑りも緩やかだから、倒していないつもりでも、ターンパイクなどを走った後、バイクから降りてタイヤを見るとけっこうサイドまで使っていることにびっくりするはずだ。
 また、SRは4発の400ccなどよりはるかに軽い車重だし、古い設計のアライメントだから、タイヤ交換によっては、サスペンションのセッティングを再度煮詰めなおした方がいい場合も出てくる。
 僕の場合はすでにフロントの突き出しで調整を行っているので、この上はハンドルバーとシート、ステップ、あるいはフロントフォークオイルなどで調整した方がいいのだろうが、本車がストック状態で、オリジナルのメッツェラータイヤに対してサスペンションの交換を考えていらっしゃるのなら、その前にタイヤを僕のようにリプレースしてからの方がいいと思う。20周年記念東京スペシャルではオーリンズのサスに変更されていたのだし、リムも変更されているのだから、本来はタイヤだって交換されていていいはずだ。ところが、それをやっていない、ということは、オーリンズとH型リムであっても、タイヤはメッツェラーでよい、ということなのだろう。
 もっとも、SRは発売当初のマグモパスからはじまって、そのモデル毎OEMのタイヤは少なかったように思い出す。

 まとめとして、以下に記す。

タイヤ選定
●フロントが18インチなら、タイヤ幅は3.50、19インチなら3.25を選ぶこと(メトリックは この限りではない)
●メトリックサイズはタイヤ幅のみならず、扁平率にも考慮すること
●チューブレスはチューブを入れて装着可能
●リアはブレーキトルクアームとのクリアランスに注意

タイヤ装着
●リムパッチ(ふんどし)の点検交換(特にニップル部分が露出していないことを確認)

補足として
●タイヤを選定した後、サスペンションの交換、チューニングを行う
●ドラムブレーキはハブ内部の点検、清掃を行っておくこと
●できれば、ベアリング、スペーサーも点検すること

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