絶対に見えないものへの対処(2)

 そんなバカなことがあるものか?。
 事前のテストを行う前に嫌なものが頭の中を過ぎりました。そ う、オルタネーターです。T-140Vは、ステーターコイルが外側にあるタイプで左のクランクケース内にあって、オイルに浸かっているため、そんなに壊れ る代物ではない、と私は感じています。配線図 から眺めてみますと、まずはバッテリー直前のレクチファイアー。これはブリッジ接続になっていますし、実際のパーツは丸い円盤状の放熱フィンを持った作り がなかなか良い ものです。
 ツェナーダイオードは。いわゆるレギュレーター的な役割を果たすものですが、1970年モデルまでの650にはフロントフォークのヨーク部分にマツボッ クリがあったように、かなり大きいダイオードです。残念ながら750モデルでは、エアクリーナーボックス部分に移動させられ、ボックス(アルミ製)そのも のを放熱板としていました。
 私のおぼろげな記憶からでは、ダイオードの端子にテスターを当てて、「電気の通る 方向は針が振れるが、その逆は針が振れない」、が特性でしたから、それ をやってみると生きているんですよね。それでも、解決策が何かあるのではないか、と思って、SRを走らせ、西予のT君宅まで持参しました。
 余談になりますが、SR500で出かけたものの、ポジションがイヤに決まりません。しばらく乗っていないせいもありますが、モット根本のところが違うよ うな気がしてなりません。
 と、しばらくして内股が濡れた感じがしました。ウッソー、コージーシートって、水には強いんだったよな~、と感じたのは事実ですが、T-140Vと比べ る と、なんかダメなんですね。このことはSRの項で申し上げることとします。

 早速、測定。彼は、すでにシリコンのブリッジスタックと、50A程度のツェナーダイオードまで用意してくれていました。(実際はポジアースのためダイ オードは交換しても 使用できなかったのですけど... 。)
 持参品をテストしますとOKです。レクチファイアの確認にAC電源が取れなかったので、DC12Vを両方向へかけてみますと、見事に両方とも整流しま す。どうや らレクチ ファイアーもツェナーダイオードも大丈夫のようでした。となると、一体どこがおかしいのか?。
 回路図とニラメッコしながら、電気がどこからか漏れてい る。おそらく、メインスイッチか、ランプが直結ってことから、ヘッドランプナセルのトグルスイッチ部分がリークしているようだ、と結論付けられました。
 彼からのアドバイスは、一度オルタネーターのテストを行ってほしい。プライマリーチェーンケースのグロメットから出ているラインがプライマリーチェーン に 触って傷がついているかもしれないので確認を、というものでした。

 帰宅して、オルタネーターのチェックをしました。
 古い資料ですが、別冊MC誌でのT-140Vエンジンのリビルトで、トリニティースクールの富成校長が 行ったチェック方法で確認すると、この部分はシングルフェイズ(ラインが2本出てい るモデル)のモデルは4V出ていればOKとのことですから、テスターを 交流の10Vレンジにセットして、点火プラグをはずした状態でキックすると、4V±0.3V程度を示しますから、ほぼ合格。オルタネーターは生きているこ とを確認しました。スリーフェイズでは3Vということですから、参考 までに。
 オルタネーターが大丈夫だったので、随分と助かりました。ここを交換となると、プライマリーチェーンケースをはずして、少なくともコイルだけを交換とい うことになるからです。最悪の時は、ローター部分も交換となりますから、労力と結構な出費を覚悟しなければならないからです。

 ここで一つの提案です。まず、メインスイッチを確認します。キーを回すと導通が確認されます。そこで、バッテリーを接続してアース側へ電流測定レンジへ セットしたテスターを入れてチェックしますと、キーをONにしますと針が振れるわけです。次はヘッドランプナセルにあるトグルスイッチのテストです。
 バッテリーを接続せずに、現在つながっているヘッドランプ関係の接続部分に抵抗値レンジにセットしたテスターを接続してスイッチを入れるとOKだろうと 思います。ホーンのライン、ウインカーのラインを統括している部分も同様にチェックしますと、直結部分の全てが確認できるわけです。ヘッドランプ以外は ON OFFのみですから、テストは簡単です。
 これでやった結果、ほとんど漏れていないことを確認しました。

 じゃ、どこが漏れているのだ、ということになりますと、これはほとんど不明です。全く困ったところです。
 もう一点、見落とし出来ないものがあります。それはヘッドランプのハロゲン球です。これがH4バルブで60/55Wを使用しているためかもしれません。 というのは、トンネルで点灯するとき、一瞬電力が落ちるような感じがするからです。(この時は充電をしていないことに気づいていなかったのです。)
 この点を含めて、最高値での電力消費を算出してみる必要があるように感じました。バッテリー容量の9Aからすると、相当に電気を喰らうのはハロゲン球 60/55Wのヘッドライトぐらいで、他はほとんど影響が無いのです。
 ン~、難しいな。電気が漏れているということから、メインキースイッチの上に電源(入・切)スイッチを取り付けるとなると、スイッチの防水に対しては少 々難しい面 が出てく る。ネット上でスナップスイッチの防水カバーは出ているのですが、この辺での入手は少しばかり難しいものがあります。
 こういったことを考えると、電気そのものへの対応が単純で数世代前の方式であることを含めて、何か安心できない、まずは、こういった整流関係を同等パー ツでリフレッ シュしても、経年変化すると再びやってくるのではないか?。何とか巧いく方法はないものか、と考えてしまうのです。

 こういった点を含めて、まずは変更すべきものは何かを考えますと、どうやらレクチファイアのようです。現在T-140Vに起こっていることは、何という か、真空管アンプでのトランスのレアショート的なものがレクチファイアに起こっているのではないか?、と考えたからです。
 つまり、見かけとスタティックな状態では正常なのに、電流(圧)が加わると調子がおかしくなるというのがそれです。
 そして、放熱に対しては、古いサイクルワールド誌に、松ぼっくりを取り付けたT-140Vの改造車の写真を一度だけ見たことがあるのですが、これがなか な かのもので、現在の点火コイルステーを利用して装着できる、と考えて、この二つの件でサイドバルブさんへ電話を入れ、例のユニットを入手したのです。(名 前をパワーモジュールといいます。)

 アチャ~、やられましたね。
 サイドバルブから購入したこのモジュールですが、購入したときは、これが簡単に装着できるだろう、と思っていました。ところが、この大きさを収める方法 がT-140Vな ど、オイルベアリング(イン)フレームに装着するのは、なかなか難しい面がある、と気づいたのです。

 このパーツ全体が写真のとおりです。英文の説明書から、このモジュールはブラックと赤のコードを変更するだけで、ネガ・ポジアース共用で使用できるもの で あることがわかります。
 注意する点は、発熱するのでカバーされたところとかの熱がこもるところを避けて設置すること、それに、回路上での接続ミスをしないこと。この2点が重要 のようです。



 T-120までならタンクの下あたりに収納可能ですが140では本当に場所が無いのです。たかが7cm四方とはいえ、それを納めるための場所まではメリ デン工 場の皆さん(労働組合員)は考えてくれてはいなかったようです。
 これに似たのを装着していた方のサイトを見ますと、バッテリーケージのサイドに鉄板を溶接しその上にコの字型の鉄板を溶接。最初の鉄板にボイヤーのアン プ部分をタイラップ止め。コの字の部分にユニットをボルト止め、という仕様でした。
 私もこの方法を考えましたが、少々気乗りしないんです。理由はリアフェンダーから外していって..、と相当に手間なんです。
 何かいい方法があるんじゃないか。(実のところ、この収納方法に費やした時間が相当に長かった、という次第です。)

 まず、考えたのは点火コイルステーからサポート板を出して取り付ける方法です。
 この方法からするとコイルのステーが長いのですが、これが上手い具合に収まっていますから、コイルの上下とも空間が取れないことがわかってダメとしまし た。

 次はウインカーリレーを取り付けているサポート板と横にコの字に折り曲げたアルミ板でコイルのステーとを結ぶ。この方法はなかなかいい、と感じたので、 厚紙で型を作って試したところですが、取り付ける場所がチェーン側になったことと、ブリーザーホースからのオイルの飛散が考えられ、少しばかり難点がある として断念。

 こんな状態で、ある程度取り付け位置は把握できたのですが、ウ~ム、難しい..。

 そんなとき、現在休止しているバイク馬鹿の国、千葉さんの以前所有されていたオイルベアリングフレームのタイガー650に、これが取り付けられているの を思い出しました。
 彼のはリアフェンダーの取り付けステーとフレームを一部共用して取り付けられているようです。これはこれでいいんですが、取り付けが斜めになってい る...。
 そうなんです。私はバカでしたね。水平・垂直の取り付け方向しか眼中に無かったもので...。

 もしかしたら、あの金具がフィットするかもしれない。私の頭が急回転し始めました。ぜんは急げ。DIYセンターへ走ります。ありました、ありました。仮 に水平・垂直に取り付けるようになっても変更はスムースです。
 これを、コイルステーの右側に6mmの穴を開けてコイルと共締めする。イメージとしての姿が見事に出来上がりました。
 購入したものはエーモンのL型ユニバーサル取り付けプレート1枚。6mm15mmのなべビス4本セット1袋。大きい平ワッシャー4枚。これだけです。

 まずは取り付け位置を確定して、コイルステーに6mmの穴を開けます。これは永井モータースのK君へお願いしました。DC電動ドリルの素晴らしさを感じ た次第。私も購入しなければ、と感じたところです。
 仮組みしたのが次の写真です。



 いよいよ本組みにかかります。ふたたび結線したときに火を噴くとか、爆発するとか…の気分が支配します。実はそんなことは無いんですよね。最悪、バチッ という音と、全く作動しなくなった本体が残るだけです。

 平板端子で結線を完了。注意事項としては、今回の設置場所でも、ラインがギリギリの長さになります。後ほど修正を加えることとして、まずは結線が完了。 実のところ数分です。バカみたい。



 私のt-140Vはポジアースです。その結線を行います。オルタネーターからのラインは図説と違い2本とも白/緑です。これはAC電源ですから、本体か ら出ている赤と黒のラインを間違えなければOKです。ツェナー ダイオー ドのラインが残りますが、そのままフリーとして、これで正解です。
 T-140Vへの配線は次のようになります。説明書の和訳を記します。(図は省略しています。)


パワーモジュール


 単相12V 160W レクチファイア・レギュレータ一体ユニット紹介
  • ルーカス製レクチファイアとツェナーダイオードと簡単な変更でOK。
  •  マイナスアース・プラスアースを問わず作動します。
 取り付け説明

  1.(車種によって変わりますが)バッテリーのグランド(アース)端子をはずします。
  2.不用になる、(たぶん金色の)ツェナーダイオード(ヒートシンクとも)をはずします。
  3.これまた使うことがない、セレンのレクチファイアをはずします。レクチファイアへは3本のコードが結ばれています。
     緑/白 と 緑/黄 はオルタネータのステーターコイルへ行くラインです。
     通常電源供給のラインは通常なら 茶/白 です。このラインがバッテリーの供給側と結ばれます。
  5.上記2本のラインを、本機(レクチファイア・レギュレータ)から出ていると結びます。
  6.本機を通風の良い場所へ取り付けます。(風が当たらない場所への取り付けは避けてください。)
     注意;ヒートシンクは電気的に離されているので、アースを取らないように願います。
  7.プラスアースの場合は、赤いラインをアース(プラス端子)、黒いラインをプラス(マイナス端子)へ結んでください。
  8.マイナスアースの場合は、黒いラインをアース(マイナス端子)、赤いラインをプラス(プラス端子)へ結んでください。
     注意;接続方法を間違えると、レギュレーターを壊します。
  9.結線の確認をして間違いがなければ、バッテリーのグランド(アース)端子を結線します。

 6V仕様を12V仕様へ変換するには
 初期のオートバイで、オルタネーターから3本のラインがが出ているLUCAS 47204は12V仕様へへ変更が出来ます。

  1.緑/黄のラインと緑/黒のラインを結びます。これが、このシステムでの1本となります。
  2.残りの白/緑のラインがもう1本のラインになります。
  3.この2本をユニットから出ている黄色のラインと結びます。
     注意:必ず、バッテリーをはじめ、電球などを12V仕様へ変更してください。


 私のT-140Vでは、結線上、若干収まりが悪いために、15cm程度の延長線を作りました。黄色のラインは同方向のギボシクリップです。赤と黒(延長 線は青)はオス・メスを別にしました。この結果、レクチファイアーが治まっていた場所へ上手く束ねることが出来ました。

 

 ここで、バッテリーを搭載します。今回はバッテリーのマイナス端子を接続した後でプラス端子を接続します。
 さて、エンジン始動ですが、2か月ほど動かしていませんから、プラグをはずして、数十回空キックを踏み、あらかじめエンジンオイルを循環させてやりま す。これで準備完了。
 プラグから火が出ることを確認。ウォ〜!、今まで見たことのないような強力な火がボヮ〜っと出るではないですか。スゴイことになる予感が走ります。

 若干ガソリンが古いのですが、ま、異常は無いとして、タップをオンにします。ツ~っと燃料が降りてきます。
 SUDCO MIKUNIのセオリーどおりエンジン始動を行います。(イヤですね~。キャブのセッティングなんて忘れてますよ。)
 チョークを引いて、キックを3回程度。チョークを戻します。圧縮のかかる位置へキックアームを持ってきて、キーをON。チャージランプが点ります。
 キックを踏みおろすと、いとも簡単にエンジンが始動しました。すかさず2000rpm近くでキープします。
 2分ほど後、アクセルをプレップします。いい状態です。(ホント、今度は前回のテスト計画など忘れてますよ。)
 左に回ってクラッチの貼り付きを解除します。いつもこれがつらいんですが、今の状態ではいたし方ありません。

 発進します。ヤバイので裏道を走ります。この時です!。
 何だ〜?、ごく普通に走っているぞ。待てよ、キャブのセットってパイロットだけ#32.5にして、メインは#200のままだったよな。それで、上手くい けば3000rpmほど回してクラッチミーとさせていたんじゃなかったのか…。
 これが、同じオートバイか?。不思議な感覚が支配し始めました。すでに、国道56号線へ合流する手前まで来ています。とりあえず、ガソリン補給をしよ う。
 寄松のエネオスまで走って、ハイオク5リッターを入れて帰宅しました。

 別項で申し上げるのですが、どうしてこういったことになるのかを考えつつ、モジュールの取り付けを完了しました。
 次は一つ間をおいて、キャブの状況を報告するとして一段落したのですが... 。

 



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