電極突出型点火プラグについて(その2)
個
人的な思い
現実にT-140Vのエンジンはどういったものでしょうか。エンジン形状等は昔のOHVのハイカムエンジンです、ではなく、ごく普通のOHV750cc
エンジンです。
確かに650は一つに完成されたエンジンです。が、750化されたT-140系エンジンは相当に高いポテンシャルを持ちながら、それを落とした状態でし
かリリースできなかった。
これはNVT(ノートン・ヴィリヤーズ・トライアンフ)がダメになり、メリデン工場のトライアンフの職員労働組合がリリースした車両ですから、そこにあ
るパーツでリスクの少ない車両、なおかつ受け入れられ易い車両づくりを行わなければ、労組自体が生き残れないことから出た結果の産物であった、と私は理解
します。
現実には、これがよく売れたし、パワー云々は別にして、頑丈な車両として生き残ることが出来た今を迎えるになったのは、皮肉なことです。
このT-140系の車両は当時のイギリスのオートバイづくりの手法を踏襲してはいるものの、650とは全く別物として考えた方が妥当ですし、(たしかに
30年の歳月は経過していますが)通常のトラ
イアンフツインの750ccオートバイをいかに現代に生かせるかが最大のテーマです。
走ってこそオートバイの考え方ですから、オリジナルを極力生かせて今を走る(旧い)オートバイとするのが私のポリシーです。
そういったことから発展させたのはキャブレターの交換と、点火方式の変更です。ことに点火方式はボイヤーのトランジスタ点火にした上に、ダイナコイルに
変更し、プラグコードも低抵抗の物(テイラー+ツインコア)に変更しています。
二次側電圧と電流が大きすぎるために、プラグが死ぬ?。
このことは、以前にSR500ででも思い浮かんだことでした。しかし、ノーマルの点火プラグでは、ことさら問題があるわけではありません。当初のポイン
ト点火の時はプラグコードなどに抵抗は一切入っていない。電気は通常のハイテンションコードを伝わってコード自体の抵抗のみを介してダイレクトに点火プラ
グに行っていたんです。国産車では、10KΩ程度の抵抗がプラグキャップに入っていたのですから、いかにラフであったかが解ります。
低圧縮に濃い目の混合気、低容量のプラグコード、そして同時点火。この内容でノーマルプラグと電極突出型なら、突出型の方が効率が高いといえるのではな
いかと思います。
「ノーマルプラグ指定のエンジンに突出型を使用すると点火時期が早くなる」と言われていますが、レーシングマシンならいざ知らず、私はその影響は少ない
と考えます。ましてやフルトランジスタでピックアップ部分の通過で点火タイミングを取り、その信号をアンプ部分で増幅し進角制御するトランジスタ点火で
す。それに火
花が長く続くとされています。
もちろん、SR500のように、ACGとピックアップ部分がいっしょになったCDI点火方式では、確かに早期点火になる可能性はあると思います。
このSRにBR7EVXを使用したことがありますが、非常に快調でありました。一方、BPR6ESを使用しているのですが、BR7EVXよりもダイレク
トに火が出ている気分がしました。
最近では抵抗入りの点火プラグを使用する車両ばかりになりましたが、オートバイでは大半が抵抗の入ったプラグキャップを使用しています。その上に抵抗入
りの点火プラグを使用する必要があるのだろうか?。
四輪自動車では、電子化されている機器が多く使用されています。そのために、他車への配慮も考慮して、抵抗入りの点火プラグを使用することとされていま
す。一方、メーカー側もこれらの
点は配慮していることは事実ですし、絶対数が少ないオートバイの世界であっても避けて通るわけにはまいりません。
点火プラグメーカーにおいても抵抗入りと、ノーマルプラグの差は別段ありませんよ、と応えています。でも... 。
私のT-140Vでは点火方式のグレードが上がっていますから、点火方法自体には何ら問題は生じない、と確信します。これまでのことを思い返すと、点火
プラグ自体に問題があるのではにか、ということが再び浮上してきたところです。