アールズのブレーキホースのこと
 お題目にアールズという名称を使用したが、これがグッドリッジでもけっこうだ。今回はブレーキラインを#3のステンレスメッシュで覆ったテフロンチューブのブレーキホースを使用した、ということだ。
 とにかく、国産のバイクがマスターシリンダーからブレーキキャリパーまでのラインを1本のホースにしよう、とやり始めたときに、T-140Vではフロントブレーキなら、金属パイプ2本、ゴムホース2本の合計4本の構成でキャリパー、マスターシリンダーまで接続部分は4か所にも及ぶもので構成されている。パイプの内径がことのごとく変化するから、ブレーキフルード交換の際の簡単なはずの泡抜きにも苦労していた。
 で、最近になってステンレスメッシュのホースをリプレースしてみて、ブレーキタッチの差を体感するといい、という記事を見て、一つやってみるか!で計画を立てたのだ。折しも、現在のゴムホース部分に亀裂が入り、行く行くは交換しなければならないのは分かっていたんで、タイミングも良かった。
 で、ホースをどうするか、困った困った。何しろ純正ロッキードとT-140Vに装着してあるものは少々異なるのだ。この点の調査、並びに、マスターシリンダーのオリフィス経など、計測確認にずいぶんと時間を取られた。併せて、ホースを自作するのかどうするか、この点にも費用の関係で大いに悩んだ次第だ。
 これらの解決が一気にできたのはプロトのカタログからであった。このカタログから必要パーツを引っ張り出して費用計算をすると、オーダーした方が安いことも分かった。本体のネジの種類は、現行APレーシング(ロッキード)とT-140Vの違いはマスターシリンダーのバンジョーボルトの違いだけだった。これらの確認ができたので、早速フィッティングを含めてオーダーした。
 わずか3日で手元に到着。ビックリしましたね。その早さたるや。内容物の確認をして、早速装着にかかる。参考資料は別冊モーターサイクリスト誌の10月号。そこに浅川さんの記事があるので、これを参考にした。フロント・リアを合わせて泡抜きまで1時間。楽しい作業であった。どんなに変化するのだろう?、わくわくするような気持ちが支配する。この改修は必要なことなのだが、ノーマルマシンの上に24年も前のバイクにはたしてこういった行為を行っていいものかどうか。
 当然、リアショックはSRのものに変更しているので、はやる気持ちを抑えて試乗を行う。な〜んだ、ノーマルと同じじゃないか。そう、最初は慎重だから、ブレーキングしても感じなかっただけ。そのうちに、あれれ、レバーの遊びが違う。こいつは調整してやらないとパニクったらひとたまりもない。停車寸前で少し強くブレーキングすると車体がよじれる。高性能のブレーキパッドに変更して当たりが出始めると大変だ、と感じた。レバーの遊びを調整して、穏やかなブレーキングを始めると、ダイレクト感が気持ちいい。信じられないほどの安心感がある。2〜3度ちょちょっとレバーを握ることがあったが、見事に反応する。オミゴトである。
 早くからやっておけば良かったのに、と感じることではあるが、とにかく最初に記したように昔はフィッティングそのものが非常に高価だったし、ネジのピッチもいい加減だった。そのために自分で作るとなると非常な困難を呈したわけだ。当時はネジの部分にシールテープを用いるような書き方をした書物もあるほど。わずか10年ほど前のことだが、この手のホースは装備するにも大変だったんだ。
 それぞれのライダーの好みにもよるけれど、少し古いバイクで、ブレーキ関係を何とかするのなら、このブレーキホースの変更を行ってみられるといいように思う。ただし、ノーマルのようにクランプだらけでホースを止めなければならないマシンにはふさわしくない。もっとも、取り回しから必要長、フィッティングの種類など、一生懸命考えなくてはならない、これも楽しみの一つなんだが。
 今回の費用、フロントホース\.8,500.-、リアホース\.7,500.-であった。これが高いかどうか、判断はご自由に。ただし、心のブレーキ以外に実際にバイクを止める最終物はブレーキで、命に関わるものなのだから。

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