エキゾーストパイプの取り付け

 トライアンフの内でも、オイルベアリングフレームになった1971年モ デルからのエキゾーストパイプの取り付けは実に巧妙な手段を採るようになった、と思います。どこが?、と思われる方は、新品のエキパイとバランスパイプを 用意していただいて、どういった状況で組み付けられているのかを検証されるといい、と思います。エッ、お金がない!?、そんなことは知っちゃいない... 。
 ア〜タ、それは困りましたね。そんなことだからバラすときに少々困るんですよ。と、いうわけで、私の方がやってみましょう。しかし、装着してあるのを外 すのは少し大変なんですよ、ということで、ポイントのみ記載しますから、やってみたんさい。
 まずは組み付け前にエンジンを正面からヨ〜ックご覧ください。お前さん、さっき1971年以降の、って言ってたじゃないか?。そうですけど、トライアン フのツインエンジンはこの形式になっているからすぐに解ります。何かおかしいな〜って。



 どうです?、左の方が右の排気口取り付け口より高い位置にあるでしょ。当然、バランスパイプ付きのエキパイではバランスパイプの取り付け位置も微妙に高 さが異なっているのがお分かりになると思います。エキパイの取り付けを簡単に確実にするため、これを 巧みに利用しているんですね。
 で、もって、新品のエキパイが無いから、エキパイを外すためにはどうするか?。用意するものは木の棒、そう、一寸五分程度の角材の木っ端でよろしい。あ たしゃ、ハンマーの柄を使いましたけどね。そしてハンマー、なければ通常の金槌で十分。WD-40。それに、小さいスパナとドライバーぐらいかな。プラス チックハンマーもいいけど、必ず添え木が必要になります。ソフトタイプのゴムハンマーならOKかもしれません。



 再びエキパイを交互に叩きますと、本当に少しずつ出てくるはずです。最後は、どちらかのエキパイにバランスパイプが着いたままエキパイがはずれると思い ます。
 これでも取れなければ、新品に交換された方がいい、とされるのが賢明です。

 以上でおしまい、にはならないわけ。
 じゃ取り付けは... 、となるんですけど、バランスパイプとエキパイの取り付け口がスムースにはいるように若干の調整をします。これはメッキの厚さが関係しますし、取り外した のを取り付けるときには、バランスパイプとエキパイの取り付け口の修正は必須です。ヘタをすると排気ガスが漏れますからね。
 片方のエキパイを、上の写真と逆に木っ端を当てがい、エキパイの曲がり口を少し叩いて排気口入れます。このとき、フランジを先に入れておくこと。次にバ ランスパイプを差し込みます。この時も先に クランプを通しておきますね。バランスパイプを少しエキパイ側へ寄せておきます。
 もう片方のエキパイを排気口に差し込み、木っ端を当てがって叩いて入れます。おそらく先に取り付けたエキパイとバランスパイプの位置が合わないはずで す。
 後から入れたエキパイをバランスパイプと揃うまで叩いて入れます。位置が揃うとバランスパイプを後から差し込んだエキパイに差し込みます。
 バランスパイプを修正していないと、エキパイが傷だらけになること請け合いです。
 もう入らない、というところまで、左右交互にエキパイを叩いて入れ込みます。これにて一件落着。

 どうですか、フランジを装着しなくっても十分強度が保たれてるでしょ?。残念ながらT-140Eからは旧来のアダプターを介して止めるようになります が、排気口に差し込むことと、バランスパイプで止まる方法はなかなか簡便な方法であった、と感じています。

 一層取り付けを確実にするために、緩めておいたクランクケースのステーに取り付けます。ここで問題です。
○どうしてこのステーは直角に曲げられていないのか?、ということなのですが、お分かりになりますか?。
 そうなんです。この部分を直角にしてしまうと、エキパイの仕上げの精度によってはエキパイまでの距離が不足してボルト・ナットがフィットしなくなるから です。そのために緩いアールが付けてあるわけなんです。ゲスの勘ぐりですが、振動をある程度逃がしているのかもしれません。中古車で、このステーが直角に 曲げられているものはこの部分の特性を知らないのでしょうね。
 この部分は先にエキパイへステーを止めてからクランクケースのナットを締めつけます。エキパイの取り付けダボ(かな?)はステーの前になるはずですが、 排気口の深さと、エキパイの仕上げによってはダボより前にステーが来る場合もあります。
 これで、ほぼ完全にエキパイは装着できました。

  

 こうやって、エキパイの取り付けだけ挙げてみても、必要な工具ははスパナとドライバー、ハンマーに木っ端ぐらいです。今の国産オートバイではほとんど考 えられないことですね。T-140Vを触ってますと、やはりキカイに対して人間が関与してこそ上手く行くことをヒシヒシと考えさせられてしまうのです。
 もっともこれが簡単整備の一つでもあり、それがオーナーの楽しみをも満足させる一つの要因になっている、と言わざるを得ません。どうしてテクニカルな方 へこのことを入れなかったか?。
 バカげたことのようですが、こういった重箱の隅をつつくのも楽しいことなんです。だから古い英車は止められないのかも... 。

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