その後のSUDCO MIKUNI (その3)

 ジェット類のセッティングはこの辺だろう、というところまできた。3月 下旬から4月上旬までは何とも言いようのない職場の雰囲気で、少しばかりイライラしてくる。毎年のこととはいえ気分が滅入る。
 2004年度もこういった状態だったし、春独特の晴天が続かない上に春寒の日が続くために連続してテストが出来ないでいた矢先であった。
 何か打開策はないか、としてコベントリーからスプリットファイアのツインコアプラグコードを購入した。

2004年4月3日(土)
 朝からエキゾーストパイプの交換にかかる。悪戦苦闘とは名ばかりの、僕が交換方法をすっかり忘れてしまっていたことで時間を食らっただけだ。
 要はゴムハンマーならダイレクトに、ハンマーなら木片をエキパイの曲がり部分の内側に当てがって叩き、シリンダーヘッドのエキゾーストポートから抜き取 るようにすればいい。片方が出ると、もう片 方をその位置まで叩き出すを繰り返すと、バランスチューブがどちらかのエキパイに取り付いたままで簡単に抜ける。取り付けはその逆をやることだ。これは以 外に知られていないことなので、近い内に別項にて記載することとしよう。

 本題に入って、もう一度ここまでの課程を考えてみると、完全なのはどうやらニードルポジションぐらいでしかない。メインジェットは今のところ#220で 落 ち着いている。
 もちろん、エキゾースト関係、点火プラグの関連も見逃すことは出来ない。どうすればいいのか?。疑問対処の方法が混然となって収拾がつかなくなってし まっているような状況だ。
 それなら交換しても今のまま、というものはマフラーとエキパイだけ。点火系はボイヤーのトランジスタ点火に同時点火方式の3Ωダイなナコイル。そして何 も手を加えていないT -140Vのエンジンそのものだ。

 そういえば、今回交換したコベントリーから購入した中古のエキパイは妙に片栗粉のようなカーボンが付着していた。はずした僕のはメリケン粉のような感じ だった。本来はメリケン粉のようにさらさらしたものであるべきだ。
 となると、コンタクトポイント点火方式でアマルのキャブなら、こういった状況では少し濃いめで調子イイ、とすべきなのか?。

2004年4月4日(日)
 天気予報のとおり午後から青空が広がってきた。昨日の考えを念頭に置いてキャブレター調整を行う。パイロットスクリウを1回と1/5戻しでOKとなっ た。
 それで走ってみるのだが、何かおかしい。そう、イマイチ「来ない」フィーリングなのだ。これは乗ってみなければ分からないけれどね。
 プラグを見ると真っ黒。濃いとか薄いとかの範囲ではない。「不完全燃焼」状態だ。
 始動後のツキとか発進の易しさをねらいすぎていたのではないか。そうだ、この手のエンジンは始動後5分とかではなく、リアホイールにロードがかかっても 2000回転以上のツ キが安定するまではダメとあきらめればいい。そうすると、何をすべきか?。
 パイロットをもっと下げるのだ!

2004年4月10日(土)
 午前中、BR6ESが昇天した。おそらくカーボンリークによるものだろう。それに、電流が流れづらかったのではないだろうか。
 直ちに、パイロットジェットを#22.5に変更し、ツインコアのコードに交換した。プラグはスプリットファイアのSF-405Dである。スプリットファ イアのホームページで熱価を見るとSF-405DはNGKではB5ES〜B6ESだ。そんなに低いの?、となるのだが、SR500がSF-426Cだか ら、末尾のCはNGKの7〜6番を標している。となるとDは6〜5番となる。当然Bでは8〜7となる。Aは9〜8番だ。以前使用していたSF-405Fは 5〜4番だ。このプラグは死んだ。
 もっともスプリットファイア自体がアバウトだから、一概にNGKで言う7番が高いから6番に落とすことにはならない。
 いつものテストコースへ導く。何だ何だ、すごくいいではないか。自画自賛ではない、確実に何かが変わっている。
 帰ってスクリウ調整。パイロットはさんざんやった結果1回と3/5戻しで落ち着いた。アイドリングは1200回転とした。AMALでは1000回転付近 だろうけど、アクセルのツキとアイドリング時の安定性からすれば1200回転付近がいいように感じる。近くを走って、夕刻から松山での会議に出席するため JRに乗り込んだ。
 明日はこのT-140Vで再び松山での会議に出席する。これが、春のBritish Runへのプロローグになるはずだ。

項目
状況
内容
キャブレター
SUDCO MIKUNI VM32
ハイパフォーマンスキャブレターキット
メインジェット
#220
キタコより購入(ミクニ純正)
パイロットジェット
#22.5
SUDCOのキットに付属(ミクニ純正)
ニードルジェット
6DP17 SUDCOのキットに付属(ミクニ純正)
ニードルクリップ位置
下から2段目

インマニアダプター
SUDCOのキットに付属 エンドより1段目の滑り止めをカット
インシュレーターラバー
50mm長
東洋ゴム製耐油(耐熱) 内径38mm
エアクリーナー K&Nテーパーラウンド 間もなくラウンドタイプに交換予定
エキパイ
ノーマル

マフラー
メガホンタイプ
リプレース品

2004年4月11日(日)
 結局、ワイヤーのタイコ抜けの対処にハンダ鏝まで持参しての出発であった。エンジンの不調はほとんど感じない。
 吉田町手前まではどうしてもグズる。完全に調子を取り戻したのは西予市宇和町へ入った辺りからである。
 大洲道では100km/hも難無くクリアーできた。
 帰路かなりのペースで帰ってきた。全てが順調である。
 ずいぶんと時間が経過した。一応の落ち着きは出たがまだまだ煮詰めるところはあるはずだ。しかし、僕はさわらない。次はキャブを交換すべきだろうか。

2004年4月17日(土)
 明日はあいにくの天候が予想されるため、春のBritish Runが開催地、香川県さぬき市へ出かけるのに躊躇する。数種のメガネレンチ、両口スパナ、プライヤーにラジオペンチ、そして30芯コードにハンダ鏝、 ケーブルのタイコ抜けから僕が抜け出られないでいる。とりあえず、出発。すでに心の中には全て一般国道を走る考えが支配している。
 西予市宇和町を抜ける辺りから調子が一定になり始めた。これまでのエンジン内部の垢のようなものが拭いきれないようなもので、もう少し走らせる必要があ るようだ。
 この調子を維持したまま、中途半端になったおにぎり昼食も摂ることが出来ず、6時間ほど乗ったまま、目的地の大串へ到着した。
 早速、鉄分が多い温泉に浸かって思い出してみると、帰りは高速でも通るかな、と考えていた。
 関係ないが、こういった年代のオートバイの調子は端から見ても判らないものだ。シルバージュビリーがここへ来るまで事故していたし、考えられるところ は、フロントブレーキの高性能化、フロントを18インチ化が一番操作性に対しては効果的な方法であろう。もはや19インチの時代ではない。
 夕刻からの懇親会で気分良くなってバタンキュー。

2004年4月18日(日)
 朝食の後、帰路につく。どこで高速に乗ろうか、と考えながら走っていると松山を過ぎてしまった。ことのほか天候の悪化が早まってきたのが判る空模様に なってきた。いつものとおり、伊予市から高速に乗る。90km/hでの巡航速度で別段不安はない。快調である。
 燃費は電子制御のごとく、20〜27km/l の数値を示す。非常に快調になってきたのが判る。大洲道で一端料金が別になるし、残り40分程度なら通常の道を帰ってもいい、と判断し、西予市宇和町から は一般道を走る。走行フィーリングとしての高速道との差異は感じられない。
 午後4時前に到着。早速プラグを見ると、見事にタン塩色に焼けていた。なかなかのコンディションだと判断できる。熱が冷めるまでカバーを上にだけかけて おくと同時に雨が降り始めた。

まとめ
 いろいろのことが頭の中を回り始めた。まとまりがつかないが、このSUDCO MIKUNI VM32mmキャブをT-140Vに装着した場合に起きる様々な問題は、どうやらインマニアダプターの長さに起因するものではなかった、と感じられる。
 もし、取り付けマニュアルが付属していれば、おそらく僕のような間違いは起こらなかったはずである。
 また、いつも言われるとおり、キャブレターなら、キャブレターのみを交換した結果を最初に行うべきである。僕の場合は、あれこれつつきすぎた。ボイヤー の点火システムに変更し、キャブを変え、最終は点火コイルを交換し、プラグコードを変える... 、と。しかも間髪を入れずに行ったものだから、再び何がどういった影響を与えるのか、その考えと結果が一致しないまま今日までになってしまった。
 まずは、上記の表をキャブレターセッティングの最終としたい。
 そして、ボイヤーの点火システムでは、プラグの熱価が変わるため、この点かシステムにすると、AMALの場合でも再調整した方がいい。
 点火コイルを変えても同様にキャブレターのセッティングを行ってみる必要性がある。おまけに、点火の状態からすると、プラグコードを変えてもプラグの熱 価を考慮する必要が生じる。
 こういった込み入った状況の中で、判断するということは、一番重要なキャブレターを交換すると、(今回のSUDCO MIKUNIなら吸気系も変わる)そのセッティングを十分に詰め、その都度、結果をメモっておくことだ。
 これを参考にして、点火システムに手を付けると、作業が非常に楽になる。
 以上、つたないレポートではあったが、キャブレターを換装する際の参考にしていただければ幸いである。

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