T-140Vのタイヤ
 一定、ミクニのキャブレターが成果をあげ、プラグについては、現在施行中、というところから、先日タイヤ交換を行ったので、今回はタイヤについて申し述べたい。
 さて、ずっと以前より、万能スポーツタイヤとしてダンロップK70がトライアンフには装着されていた。その前は名前の通りダンロップユニバーサルが装着されていたのは言うまでもない。僕の感覚からすると、1960年代中期のころからK70に変更したのではなかったか、と記憶している。ちょうど国内ではカワサキのW1-Sがヒットしていた頃だ。重量車の代表モデルであった。
 ご多分に漏れず、T-140Vにもイングランドダンロップ(おそらくイングランドでつくられていたからだろう)が装着されていた。僕が経験している住友ダンロップのK-70とは明らかに異なっていた。ゴム質が微妙に違うのである。たとえが悪いが、ゴム質のカーボン分より柔軟性に力をおいたような感覚であった。おまけに2プライであった。国産のK-70はカワサキのマッハIIIに装着したり、ホンダのCB750に装着されたりで、K-70がバースト(ブリスター)したりして結構メーカーで頭を悩ました末、K-77、K-87(MK-II)、が開発されるまでのつなぎのような感じになって、4プライを維持してきた。
 さて、国産のK-70は、古いライダーにはお分かりと思うが、おそらく断面が四角に減ってくるのである。緩やかな丸い断面に深いグルーブのタイヤなので、そのままの形で減っていく、と思われていたが、ほとんどの重量車では四角い断面に減っていくのである。
 この原因はサイドウォールが弱いため、と考えられていた。おそらく、リム幅が2.50ではなかったか、と思う。そういったリムで車重のあるバイクに装着すると、先ほどのようになってしまうのである。リム幅を少し狭めて2.25にしたり、2.00にしたりすると、若干丸く減ってはいたが、抜本改革にはならなかった。むしろ、舗装路に対してのコーナリングなどのトラクション性能は落ちたのではなかったろうか。
 こういった経験があったので、T-140VのK-70には一抹の不安があった。が、驚くかな、それが出なかったのである。結局8000km以上を走らせた。もっとも、期間はかなりかかったが、曲がりなりにも長期間使用できたのである。これには少々びっくりしてしまった。
 次のリプレイスタイヤをどうするか、と悩んだときに、有名なダンロップハK-81、通称TT-100が出現していた。迷わずこのタイヤにした。ちょうど、T-140シリーズがメリデン工場で最終出荷になる段階の頃のモデルにも装着されていたからだ。ところが、サイズで悩んだ。特に扁平タイヤがメートリックサイズの呼称ではなく、インチサイズで表記されていたからだ。悩まなければ、ここは前後とも4.10のサイズを使用するところなのだが、残念なるかな、フロントに3.60を選んでしまった。
 とりあえず、住友ダンロップにしたが、このタイヤはすばらしかった。なぜ、今回は国内の住友だんろっぷにしたか、というと、想像の域は出ないが、セミレーシング的なTT-100は国産の方が一般路で使用するのにふさわしい作り方をしているのではないか、と感じたからだ。
 このタイヤも8000kmほど使用できた。特にサイズが一つ小さいためにクイック性能は格段に向上したが、スリップサインが出たのを機に今回の交換を思いついた次第だ。
 さて、リプレイスタイヤをいかなるものにするか。答は簡単であった。「英車の集い」「英車を愛でる会」に参加している僕のトライアンフと同年代のトライアンフにはメッツェラーが装着されていたからである。千葉のストーリーに電話を入れても、このタイヤを推薦される。現在SRにはこのメッツェラーが装着されているのはご存知であろう。
 が、一抹の不安がなかったわけではない。ことにSRでのリヤタイヤの減り方が四角い減り方をするのを見てだ。が、T-140Vでは見事にその不安は払拭された。
 リム幅がフロント1.8、リヤ2.0で小数点以下一桁のダンロップのリムだからだ。この点と車重がSRより軽いという事実だ。この二点で迷いはなかった。したがって、ヨーロッパとか、以前からの慣例に従って、フロントにはME-11、リヤにはME-77を装着した。
 チューブはそのまま使えるのだが、この際だから、と新品を使用した。チューブの材質そのものも非常にねばりのあるもので、内田自転車のスタッフISさんに国内と同じバルブの取り付け方法にしていただいて、使える状態で保管してある。何しろネームのプリントもはがれていないからだ。
 走行してみると、安定感がすばらしい。一皮むけるともっと良くなるのだろうが、このことは特筆できる。コーナリングでも、曲がり方がクイックなのだ。これは、フロント加重が少ないT-140Vにリブのフロントタイヤを用いた結果が大きい点でもある。

          

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