MP130のバッテリー2

 それならバッテリーパックを作ってみよう、と考えるのだが、肝心要の書物がない。手持ちのテクニカルデータを参考にすると、「ボタン電池とバッテリーを同時に交換してはならない」というのと、「充電式のバッテリーでは充電できない」というものである。
 富士フィルムがリリースしているリチウム・イオンの乾電池があって、すさまじい性能のこいつを使うとよい、なんてある。仮にこれを使うとなると、MPで使った後、段階的におろして、次にトランジスタラジオ、最終の時計までになると有に年単位で使える。しかし、これは充電式ではない。が、ここで分かるのは、仮に充電式のニッケル水素(以下Ni-MH)の電池をその専用充電器で充電して使うことは可能なのである。もちろん、1995年当時、この方法をAppleは推賞してはいないが。
 僕はニッカド電池は性能ダウンするのが、ジワリジワリと早くなり、使用できなくなる時が一気にやってくるので大嫌いだ。同じロットの製品にでもばらつきがあり、この現象は如何ともしがたい。このバッテリーのメモリー効果のせいで、MP130を満足に使うことさえできない。この手の充電式ニッカドバッテリーの管理となると、当時のAppleでは推賞しないことになるのは明白に思えるのだ。
 残念ながら、これらは推測の域を出ない。Newtonテクノロジーの開発、MPの生産をやめてしまった現在、こういったことをAppleに問い合わせてみてもうまい答えは返ってこないであろう。
 が、現在ではNi-MHのバッテリーセルが4本組で1,500円程度の金額で売られている。そして、現在では、最低1500、定格1600mAというとんでもない容量になっている。eMate300のときは1200mAの設定であったのが、何と1.3倍にもなっているのである。メモリー効果も起きづらいし、何しろ、残留容量をほとんどクリアできる。このリフレッシングできることはeMate300でも明白だ。「充電しろ」のダイアログが出て、充電を1時間で完了し、ほぼ毎回同じ時間の使用、ということを何度行っても同じ結果になるのだ。
 ならば、僕の予想からしか申し述べようもないが、このバッテリーセルを使用して、バッテリーパックを作ってやろうではないか、と考えたわけだ。とりあえずは、純正のバッテリーパックが必要だ。理由は、金属製ホルダーの本質の確認が取れてないので、この部分を自作するとなるととんでもない手間と材質の吟味が必要だからである。
 この点だけが僕としては残念な点である。僕の実験結果によって、このホルダーの製作を行ってくれる人が出ることを期待したい。

 ここで、インターネットに接続して、Newton AtMark(www remus.dti.ne.jp/~sugiyama/index.html/)のAssistの項をご覧いただきたい。MP2000、2100でのバッテリーの記述がある。

 
 さて、まずはオリジナルのバッテリーパックの吟味からまいろうか。

     

 
 オーット、今回のは改造とは言えないかもしれないが、バッテリーを触る、それを本体に組み込む、という二点にわたる改造であり、強いていうと最悪は本体破損になる。十分に注意するとともに、自己の責任で作業を行っていただきたい。
 改めて申すまでもないが、純正のバッテリーパックが入手可能なら、今の内に購入されておくよう申し上げておきたい。
 あくまで、今回のは末永くMP(110)、120、130を使う目的のため、と強く申し上げておく。
 
 オリジナルのバッテリーパックの隙間にプラスドライバーの細いのを入れてジワリと金属製のコーションプレートを持ち上げてみる。ジリ〜っという音がしてはがれ始めるところでやめる。
 今ドライバーを入れている方向の向かい側にドライバーを入れて、先ほどと同様にやる。これを交互に数回繰り返すと、指ではがれるようになる。もう一面のプレートはバッテリーを前後してゆっくり動かしてやると取れるはずだ。
 このとき、バッテリーセル同士をくっつけている接着剤が、プレートの黒い両面テープ(らしい)の接着面に付着しているときがあるので、そのダメージを最小に押さえることと、このプレートは再利用するので、黒い接着面に埃などが付かないようにして保存するなど、取り扱いに十分注意すること。
 
 バッテリーセルを確認すると、そこには上段にAHE、下段にJAPANの文字が入っており、バッテリーパック生産上の効率のためか、プラス部分の凸はない。コーションプレートからもニッカド電池ということが分かる。説明書にはスーパーニッカド、の表記がある。まず、ニッカド電池として間違いないだろう。日本のどこの製品か確認していない。
 
 いよいよ製作にかかるのだが、意気込む必要などさらさらない。
 ●Ni-HMのバッテリーを4本。同銘柄、同ロットで選ぶよう、4本組をお勧めする。
 ●4本並べて置ける程度のメモ用紙
 ●物差し、油性マーカー、合成ゴム系の接着剤、鉛筆など
 これで十分だ。

 僕はMP130のバッテリーはどうも東芝製と思う。理由として、ボタン電池が東芝製だったことと、TakaharaレポートからeMate300のバッテリーも東芝製というのを知った。現在のところパナソニックよりは、東芝製の方が充電タイプはいいようだ。
 話は飛ぶが、電動アシスト自転車のヤマハのPASSでも松下の充電バッテリーより、サンヨー製の方がいいらしい。アルカリ電池の性能はパナソニックがいい。一般の安売りアルカリ電池は富士電気だろう。そういえば、MP130にはデュラセル製品が付属していた。このアルカリも廉価版ではなかなかのものだ。
 今回、僕はオリジナル(と思う?)に準じて東芝製を使用したが、この辺りでは在庫が少なくなりはじめた。これは1200mAの時と同様のようで、このバッテリーの性能がいいことの裏付けかもしれない。

◆MPのバックアップをPC側にバックアップしておく。これをやらないと、万一の場合は日本語パッチから始まる一連のインストールに加えて、データは1から記載になる。


 
 それでは....、

●バッテリーの中央に引いた線をメモ用紙の線に合わせてバッテリーを+ -交互に置く。  
●正確にバッテリーセルの長さを計り、真ん中にマーカーで印を付ける。東芝製ならTOSHIBAの"I"がセンターの位置に近いので、参考までに。
●合成ゴム系の接着剤でバッテリーを交互に接着する。確認のためにセルを立てて接着する。
●2枚のコーションプレートの端の1/2のところにマーカーで印を付ける。
●メモ用紙に一本鉛筆で線を引く。
●接着したバッテリーセルをメモ用紙に引いた直線とセルの中心線をあわせて置く。(このときケースに装着する向きに電極を合わせること。)
●幅の広いコーションプレートの1/2のところに印を付け、バッテリーの線に合わせて上から置く。(ケース内ではこれが上側になる。)
●もう片方に幅の狭いプレートを先に張り付けたプレートの端と合わせて張り付ける。

 これで終了だ。
 ものの20分もかからないであろう。
 
 


 

◆自作バッテリーパックの幅の狭い金属製コーションプレートを下にしてMP-130に装着する。
 ケースに表示してあるバッテリーの + - 表示と必ずフィットすることを確認する。これをやらないと本当に壊れる、か充電しない。 
◆MP130ではチャージングステーションを持っていらっしゃる方は、こちらを使われるようにお願いしたい。
 この場合、充電を始めて50分程度でオレンジランプがグリーンに変わる。 おそらく何度やっても同じはずだ。センサーはその設定になっていて、容量的にも一応は大丈夫ということになる。
 出来る限り正確にランプがグリーンに変わった時までの時間を計測しておくこと。(この行為は数回かかって確認するため、シコタマMPを使いまくるか、バックライトを点灯させて使用する。)


●インジケーターもそうだが、充電容量は真の満タン状態ではないかもしれないので、そのまま使用して、数日後にMP130のインジケーターが下がればその位置を確認しておく。ここからいつもの状態でどこまで使用できるかを確認して、同じ結果を得られるなら現状ではOKとすべきかもしれない。
●数回行った結果では、インジケーターを信じてもいいようだ。少しずつインジケーターが下がり始めるため、容量的にも十分のものではないだろうか。
 僕のこのTOSHIBAのバッテリーを使用しての実験では、最初の極端な容量減のインジケーター表示は出なかった。
■ただし、ニッカドと違い、バッテリー残量はインジケーター上で左から3mm辺りになると「充電しろ」のダイアログが出る。ここからはニッカドの感覚とは急撃に減る度合いが違うため、注意していただきたい。Ni-MHはダイアログが2回ほど出た時点を過ぎるとウンともスンともいわなくなるので、充電しろのダイアログが出ると、作業を中断され充電されることをお勧めする。



 じゃ、ニッカドを使用すればどうか。現実として、いくらニッカドの性能が上がっても、メモリー効果がぬぐい去れない実状ではニッカドは使用したくない。その上に、MP130ではバッテリーパックとして使用するのだから、使えなくなるかもしれない、という気分になるインジケーターの位置をにらみながらMPを使用するのは情けないような気がしてならない。先に記したがノーマルのバッテリーパックでも同様の結果が待っている。使用できなくなる直前はひどいものだ。
 それゆえ、ニッカドが1年前のNi-MHの性能に近づいているが、そういった理由から僕はニッカドを使用しない。もし、純正がニッカドだからニッカドでやる、といわれる方がいらっしたら結果の報告をお願いしたい。
 今のところ順調に自作バッテリーパックは作動いている。非常に気分がいい。純正バッテリーパックの状況、MP130の内部機能の把握など、完全な裏付けがないので、すべての方に対してお勧めの方法とは言い難いかもしれない。が、バッテリー対策として、MP(110)、120、130のユーザーに対してはお勧めの改造というかバッテリーパック製作かもしれない。言い回しがおかしいが、MP130の偏屈愛用者の感覚として受け止めていただければ幸いだ。
 すでに、この方法で行ってらっしゃる方がいらっしたら、ご意見なりをお寄せ願いたいところである。

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