Newton Messagepad 130のこと


 僕はAppleがオーソライズしたNewton Messagepad 130(以下、MPで)を愛用している。通常だと今頃は2100になっているはずだが、これは見送った。理由の一つはAppleが見送ったものを唯一の日本語サポートディーラーのEnfourが相手にしてくれるかどうか、がひっかっていたからだ。現在これは今でも盛んにサポートしてくれているし、製品のバージョンアップも多いので、無理をしてでも何とかしておくべきであったかな、と反省している。後述するPalmIIIも同じようなことかもしれないが。
 さて、こういった状況にはなってしまったが、そもそも、1990年頃にことは遡る。当時、イギリスのファイロファックス社が堅牢なシステム手帳を出していた。これは本当にすばらしい製品で、中身だけをその年毎に入れ替えすればいい、というたぐいのものだった。けっして胸のポケットなどには入らない。そして、Zippoのオイルライター同様に内ポケットに入れていたそれは銃弾を貫通させなかったという逸話も残っている。ここからが肝心なのだが、これを日本の人が手帳ではなく本にしてしまったから困ってしまう。ファイロファックスはスリーブが多くても1インチの厚さぐらいだ。そこを日本の人は1寸にして、B 6版程度のものをつくってしまったのだな。それをセカンドバッグの中に入れてビジネスマン風の男性が小脇に抱えて街を闊歩する。この姿が実に嫌でならなかったため、システム手帳は持ちたくない、と考えていた。
 そこへ、最初のMP100が紹介された。飛びつきたかったが、いかんせん高価であった。当然、日本語は使用できない。それが、110、120 になったけれど、一般にはとても無理だし、シャープのザウルスの方がはるかによかった。でも、僕がザウルスにしなかったのは、MPには手書き認識とかスケジューラー、アドレスなどが各々分離しているにもかかわらずリンクしていたり、書き込み、検索などが(英語で)寸時にできることに最大の関心があったからだし、自分なりにカスタマイズできる自由度が高いのだ。
 ようやく、1996年にMP130をEnfourのUniFEPを付けて日本語のロムにしてAppleから発売する、というアナウンスがあって飛びついた次第だ。
 が、今ではそういったことはない。AppleはNewtonテクノロジーの開発を止めてしまって製品もなくなった。相変わらずMP2100の人気は高価にもかかわらず高い。やむなく息子には3ComのPalmIIIを使用させた。これが、ことのほか快調で大きくブレークしたのは周知の事実だ。しかし、IBMのブランドで日本語仕様がリリースされたときはがっくりきたが、これはいつか申し上げたい。
 MP130を購入してからはずいぶんと僕の感覚も変わった。相変わらず古い物好きといわれるがそういったことも気にならない。一度なんか今年の行事計画に必要なため2年前のスケジュールをすぐさま引っぱり出したが、書面の資料探しでは何から何まで探し出すこと以前の問題になってしまう。この点同じ月ならMPだと検索ができる。イライラは130だと動作が遅いことぐらいだ。たとえば、新屯氏から電話があり、それをMPに手書きして最後に英語でNewtonとタイプしておく。で、アシストのボタンをタップしてMeet Newtonを選択するとスケジュールの画面に変わる。
 日本語はもっとすごい。これをどうしますか?というMP側から問いかけてくるようになっているのである。本当に小さい、いわゆる電子秘書(Personal Digital Assistannt)と呼ばれる次第だ。
 これが、MP2100だと快適に速いわけだ。しかし、無い物ねだりではないがMP130でもそんなに遅いとは感じない。頻繁に出ていたリセットアナウンスもバックアップのバッテリーを交換してからは全くいわなくなった。このバックアップバッテリーも3年に一度の交換で行けますよ、というのが理解できた。近々僕はこのMP130のクロックアップを依頼しようか、と考えている。そして、Appleが本当のコンシューマー向けのPowerBookを出してくれることを願っているのだが、出ない場合はイギリスのピジョンにするかもしれない。こいつはキーボードも付属していて、こいつ用のUniFEPが開発されている。したがって、今が美味しいときではあるのだ。しかし、Macとの兼ね合いもあってすぐさま云々の結果は出ない。ちょうどMP130を買う、と決めるような感覚がないのである。 

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