それでもMP130が好き

 僕はNewton、最初のモデルを見たとき「欲しい」と思った。英語しか使えなかったけれども、僕は僕なりにいいものだ、と感じていた。その後、このNewtonに関してはぷっつり情報が途絶えてしまった。数年前に、僕の感覚からしたら降って沸いたようにNewton MP-130をAppleから発売、ということになって、俄然色めき立った。東京出張の折、秋葉のイケショップ(現モバイルプラザ)で購入して以来、ずっと僕の傍らで働いてくれる有能な秘書になっている。
 不思議なことだが故障は一度もない。非常に丈夫だし、ネジを外しただけでは容易に分解できない点も特筆できる。後はバッテリーの管理だけだが、専用の充電電池もビクともしていない。メモリー効果のようなところもあるが、その時は、「充電しろ」というダイアログが頻繁に出るまで使い続けると治るようだ。
 交換したのは内蔵のバックアップのボタン電池だけ。これも3年のサイクルで大丈夫だ。こいつの困る点は電圧は正常でも容量が無くなると一気にダメになるので、電池の製造年から計算して長くて4年ではないだろうか。
 こういった状態で使っていたのだが、Action Namesをインストールして日本語表記にするパッチを無くしてしまったため、当のMP-130を日本語表記にするUniFEPとの相性が悪くて、パッチの入手までに数カ月かかった。
 すでに本文でも記載しているとおり、この間にUniFEPのシステム構成を再編集したりしていたのだが、浮気心が出て、Palm Pirotを中古で購入。これの(いい意味での)いい加減さに心底おもしろく使っていたが、どうしてもMP-130に及ばない点が出てきた。
 それは、取り出してフリーハンドで入力できない点にある。MP-130はこれができる。映画「暴走特急」で主役のセガール氏がこのMP-130(120)でタイピングした文章の下にサインをフリーハンドで入力して、列車の電話で送信するシーンがあったが、これは真面目に実際のものなんだ。信じられないであろうが、タイプ文字の上のサインはスクラブで消すことができるし、タイプ文字は消えない。スクリーン上でMP-130の画面にサインが浮いて見えたのはそのためで事実だ。
 Palmではスケッチ関係のものをインストールしておかないとだめだし、インストールしていても、これを呼び出すことから始めるので二度手間になる。もっともスピードがすごいから、こういった点は免れているのは事実だが。
 したがって、少々大きく動作はのろくても、記載したものは後でまとめることができるのだから、逆割り切りで僕はMP-130をよく使用するのである。おまけに手がでかいからこの辺がちょうどいいんだ。
 当然現在ではディスコンになっているけれども、最近はこのMP-130を中古市場で見かけなくなってきた。もっとも、AppleもNewtonテクノロジーの開発は止まっているので、一つの完成製品としての存在というポジションもあるし、MacFan誌でもPDA特集として最近記事になったせいも関係しているかもしれない。それに、僕のようなユーザーはもとより、現在でも仲間内でサポート関係、アプレット(ソフト)の開発も続いている。こういったことで、中古で出ないのかもしれないし、出てもすぐに右から左なのだろう。
 もし、このようにMP-130に入れ込みがなければ、今頃はMP-2100に変更になっていたであろうが、できなかった。両者を比べると、ある種の完成度からすると僕はMP-130に軍配を上げたいのだ。スピードとかは確かに2100に及ばない。しかし、この一台で日常の業務、スケジュール、アドレス帳、連絡とか予定のアシストまでこなしてくれるのだから、すばらしいものなのだ。もっとも、もう一台のeMate 300があるから、長文はこいつに任せておけば、速さこそとろいが、キーボードもしっかり備えているし、なかなかいいものである。手元において、本当の意味でPDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)として使うのに今の所MP-130で十分だ。
 こういった理由で、どうしてもMP-130は手放せないのである。

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